チワワちゃん(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

チワワちゃん(ネタバレ)

チワワちゃん



2019/日本 上映時間101分
監督・脚本・編集:二宮健
原作:岡崎京子
製作:間宮登良松、瀬井哲也、堀内大示、小佐野保、清水啓司
エグゼクティブプロデューサー:加藤和夫、岡本東郎
企画・プロデュース:岡田真
プロデューサー:山邊博文、行実良、岡本圭三、矢田晃一
音楽プロデューサー:濱野睦美
撮影:相馬大輔
照明:佐藤浩太
録音:反町憲人
美術:小泉博康
装飾:伊藤悟
スタイリスト:前田勇弥
ヘアメイク:中山有紀
サウンドデザイン:浅梨なおこ、野村みき
主題歌:Have a Nice Day!
挿入歌:Pale Waves
助監督:山下久義
キャスティング:杉野剛
出演:門脇麦、成田凌、寛一郎、玉城ティナ、吉田志織、村上虹郎、仲万美、古川琴音、篠原悠伸、上遠野太洸、松本妃代、松本穂香、成河、栗山千明、浅野忠信
パンフレット:★★★(720円/宇野維正さんのコラムがタメになった。ラストシーンの写真が載っているのも好き)
(あらすじ)
ある若者グループのマスコット的存在で「チワワ」と呼ばれていた女性が、バラバラ遺体となって東京湾で発見される。チワワの元彼や親友など残された仲間たちは、それぞれがチワワとの思い出を語り出すが、そこで明らかになったのは、チワワの本名も境遇を誰も知らないまま、毎日バカ騒ぎをしていたということだった。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




70点


今年の1月18日に公開されて、すでに配信がスタートしている作品の感想を今さらながら垂れ流しておきますね。ハッキリ言って、この手の青春映画を観る気はまったくなかったんですが、2月1日放送のムービーウォッチメンのリスナーカプセルに選ばれましてね。今年もリスナーカプセルに選ばれた作品を観ることにしているので、3月4日、新宿で「七つの会議」「女王陛下のお気に入り」を観てから吉祥寺に移動して、アップリンク吉祥寺で鑑賞いたしました。「若い… ( ´_ゝ`)」と思ったり。


スクリーン1、客入りは半分くらいだったような。


なんとなく僕の気持ちを代弁するマウント斗羽を貼っておきますね(「グラップラー刃牙」より)。



お話を雑に書いておくと、東京湾バラバラ殺人事件の被害者が“チワワちゃん”の愛称で親しまれていた女性・千脇良子(20歳)だったことが判明しましてね。彼女の本名も知らなかった友人のミキは、「みんなで600万円を強奪した過去」を思い出したりしながら、一緒につるんでいた仲間たちに話を聞いていくと、モデルデビューした後にカメラマンとデキたり、煮物を作るのが上手かったり、AVデビューしたり、友人に金を無心しまくったりと、チワワちゃんの様々な顔が浮かび上がってくる…ってな調子。最後は、友人たちと一緒にチワワちゃんのバラバラ死体が捨てられていた海にいって追悼して、車で帰る時にボンヤリと窓の外を眺めてみれば、大金を強奪した夜のようにチワワちゃんが元気に走っていたのでしたーー。


なんとなくHave a Nice Day!による主題歌「僕らの時代」を貼っておきますね↓




昔、この作品の構成とラストにスゲー似た洋画を観た気がするんだけど、まったく思い出せない…ということは置いとくとして。本作が合うか合わないかで言えば、全体的に僕には合わない感じではありました。ただ、青春映画としては結構良かったと思っていて。「32ページの短編」ということで、岡崎京子先生原作漫画を購入して読んでみれば非常に面白かったんですけど、映画版はそんな「90年代に描かれたもの」を上手く現代テイストにしたなぁと(まぁ、原作自体が普遍的な内容ではあるんですが、パンフによると監督はあまり意識しなかったそうな)。それと僕は「日本の若者のパーティ描写」というのを映画であまり観たことがないんですけど、本作のパーティーシーンは、なかなかリッチかつ勢いのある映像になっていて。「ブリングリング」とか「スプリング・ブレイカーズ」を連想したというか(どちらも未見なんですが、勝手なイメージで)、良い意味でMVっぽくて、ちょっと感心しましたね。


チワワちゃんが踊る公式動画を貼っておきますね↓




そりゃあ役者さんたちも良かったですよ。特に“チワワちゃん”に抜擢された吉田志織さんは可愛かったし、どことなく幸薄そうなのも良いキャスティングだったなぁと。最近よく見かける成田凌さんも「カッコいいクズ男」を色気たっぷりに演じていて面白かったし、「お前だけなんか違う」のキラーフレーズはぜひ使ってみたいけれども僕には装備できない武器なのでした (ノ∀`) ザンネーン あと、映画オリジナルの現金強奪シーン、正直、“普通の若者たち”を描いていた原作漫画からすると飛躍が過ぎる追加要素のような気がしないでもないんですが、それがラストの「チワワちゃんの疾走シーン」に繋がるとするなら、僕的には良い改変なんじゃないかと。ちなみに、原作漫画では「チワワちゃんが殺された理由」が最後まで空かされないんですけど(別にこの話のキモはそこにないので、不明のままで良いんですが)、特殊出版編集者の田野辺尚人さんが「映画秘宝2019年2月号」のレビューで「映画版は『現金を奪った落とし前』として殺された」と解釈されていて、「なるほどなぁ (・ε・) ウーム」と思ったり。


映画冒頭の現金強奪シーンを貼っておきますね↓




なんて言うんですかね、一応は門脇麦さんが演じたミキや村上虹郎さんが演じたナガイのような「内向的なキャラ」も配置されているけどさ、「隣り合わせの灰と青春」といった10〜20代を過ごした僕からすれば(なんだそれ)、全員が何の感情移入もできない「パリピ」であって。数多ある青春映画の中では「合わない方」ではあるんですが、とは言え、ラストの疾走するチワワちゃんの姿が誰にでもあった“青春の輝き”の残滓のようで、何か心に残ってしまって、不思議と嫌いになれなかったという着地。まぁ、僕もすっかり46歳のオッサンですよ(苦笑)、どんなに“自分とは違う青春のカタチ”を観ようとも「若い… ( ´_ゝ`)」と愛でられるようになってきたのかもしれませんな。おしまい。




すでに配信がスタート&ソフトも販売中なのでした。



岡崎京子先生による原作漫画。面白かったです。



デジタル盤のサントラでございます。



二宮健監督の商業映画デビュー作。評判は良いですな。