ザ・スクエア 思いやりの聖域(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ザ・スクエア 思いやりの聖域(ネタバレ)

ザ・スクエア 思いやりの聖域



原題:The Square
2017/スウェーデン、ドイツ、フランス、デンマーク 上映時間151分
監督・脚本・編集:リューベン・オストルンド
製作:エリク・ヘンメンドルフ、フィリップ・ボベール
製作総指揮:トマス・エスキルソン、アグネタ・ペルマン、ダン・フリードキン、ブラッドリー・トーマス
撮影:フレデリック・ウェンツェル
美術:ヨセフィン・オースバリ
衣装:ソフィー・クルネゴート
編集:ヤコプ・セカー・シュールシンガー
出演:クレス・バング、エリザベス・モス、ドミニク・ウェスト、テリー・ノタリー
パンフレット:★★★★(800円/正方形のデザインは好きだし、コラム3本とインタビューは読み応えアリ)
(あらすじ)
現代アート美術館のキュレーターとして周囲から尊敬を集めるクリスティアンは、離婚歴があるものの2人の娘の良き父親で、電気自動車に乗り、慈善活動を支援している。彼が次に手がける展示「ザ・スクエア」は、通りかかる人々を利他主義へと導くインスタレーションで、他人を思いやる人間としての役割を訴えかけるものだ。そんなある日、携帯電話と財布を盗まれたクリスティアンは、その犯人に対して取った愚かな行動によって予想外の状況に陥ってしまう。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




70点


※本作については、映画評論家の町山智浩さんの解説動画がわかりやすいので、観ると良いザンス。

2015年に公開されたリューベン・オストルンド監督作「フレンチアルプスで起きたこと」「あなたならどうする?(・ε・し」と観客がいしだあゆみさんライクに歌いたくなる内容であり、当時はなかなかの話題になりましてね。で、同じ監督の最新作が昨年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したとなれば、そりゃあ興味が湧くということで前売り券を購入。6月上旬のヒューマントラストシネマ有楽町にて、「女は二度決断する」とハシゴ鑑賞いたしました。「やだ、意地悪ぅ〜 (´∀`) ンモウ!」と思ったり。


前売り特典は「アートな特製バッグ」でしたよ。


劇場には、記事の切り抜きがありました。


1番シアター、20人ぐらいはいたような。



劇場に貼られていた「SPA!」の記事で稲田豊史さんが「90年代『ごっつ』的な実験コント」と評されていたんですが、「なるほどなぁ」と。適当かつ雑に話を書くと、現代アート美術館のチーフキュレーターとして充実した日々を過ごしていたクリスティアン(クレス・バング)が、困っているっぽい人を助けようとしたら携帯電話と財布とカフスボタンを盗まれたことから、徐々に歯車が狂って…ってな調子でして。「登場人物が気まずい状況を取り繕う」という「笑って良いんだか何だか」みたいな状況や皮肉な展開が次々と投入されて、観客も「自分だったらどうするだろう?」と常に考えさせられるんですよね。パンフでも書かれていましたけど、「思いやりとか博愛精神といった美辞麗句を散々垂れ流しながらも、現実的にはすぐそこにいるホームレスに手を差し伸べようともしない自分」とか、そりゃあ僕も主人公と重なる部分があって(例えば、ホームレスにサンドイッチのタマネギ抜きを要求されるくだりはイラッとしそう)。笑えたりしつつも、居心地が悪くなる映画だったりもするというね (・ω・;) ウーン


地面に正方形を描いた「スクエア」を始め、劇中に出てきた展示は、ほとんど元ネタがあるそうな (゚⊿゚) ヘー


貧困家庭に対する偏見とか…。


この「砂利の山」の展示が崩れた時、事なかれ的に処理するシーンとか、自分にも心当たりがあったりして (`Δ´;) ヌゥ


ただ、猿男の暴走については、すぐ会場を出るんじゃないかなぁと思ったり。



とは言え、僕的には「フレンチアルプスで起きたこと」「そんなに意地悪じゃないミヒャエル・ハネケ監督作」って印象だったように、リューベン・オストルンド監督の人間を見つめる目の根底には「優しさ」があると思っていて。例えばラストの「“謝ったら死ぬ病”感全開のクリスティアンが“自分のせいで両親に怒られてしまった少年”に謝罪しようとしたら、すでに引っ越していた」というオチは安易なカタルシスを与えない意地悪な着地ではあるけれども。でも、“己の過ちを正そうとした心”自体は間違ってないと見せている気がしたというか。自分たちの前で醜態をさらした父親を見つめる娘たちの視線に“蔑み”は含まれてなかったんじゃないか…って、伝わりますかね。


この少年は“主人公の良心の声”だったんでしょうな



その他、「現代アート」「関係性の美学」といったことについて考えさせられたのも勉強になったような、よくわからなかったような…(なんだこれ)。何はともあれ、「フレンチアルプスで起きたこと」に続いて、またもや「あなたならどうする?(・ε・し」他の人と話したくなるユニークな映画だったのでね(昨日は練馬の「か和もっち」で映画仲間のナカさんと本作の話になった!)、興味がある方はぜひ観てみてくださいな。ちなみに、劇中の美術館には「『人を信じる』と『人を信じない』という分かれ道が出てくる→『人を信じる』を選ぶとフロアに携帯と財布を置いて行かなくてはならない」という展示があって。リューベン・オストルンド監督は上映会で各地を回っている時、実際に財布と携帯を置いて会場の外に出るという行為を繰り返したそうですが、僕もこのブログを某カフェで書いている時、あえてパソコンと荷物をそのままにしてトイレに行ってみた…なんて、多くの読者が「だからなんだよ ( ゚д゚)、ペッ」と面倒くさい気分になりそうな文章を残して、この駄文を終えるとしましょう。おしまい。




デジタル盤のサントラを貼っておきますね。



話題を呼んだリューベン・オストルンド監督作。僕の感想はこんな感じ