フィッシュマンの涙(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

フィッシュマンの涙(ネタバレ)

フィッシュマンの涙

フィッシュマンの涙

原題:Collective Invention
2015/韓国 上映時間92分
監督・脚本:クォン・オグァン
製作:キム・ウサン
製作総指揮:イ・チャンドン
撮影:キム・テス
照明:チョン・ヨンソク
音響:コン・テウォン
美術:チェ・イム
衣装・ヘアメイク:ホン・スヒ
編集:キム・へギョン、キム・ウイル
出演:イ・グァンス、イ・チョニ、パク・ボヨン、キム・ヒウォン、パク・サンチョル、イ・ビョンジュン、チョン・インギ、ミョン・ゲナム
パンフレット:★★★(600円/この値段でこの内容なら納得できる感じ。コラムの人選とデザインが良かった)
(あらすじ)
収入を得るため製薬会社の新薬治験に参加した若者の顔が、原因不明の副作用のせいで魚になってしまう。その事件は瞬く間にニュースとして広まり、若者は一躍時代の寵児となる。しかし、栄光はつかの間、やがてメディアは手のひらを返し、魚男は奈落の底へと転落していく。一方、男の家族や恋人、人権派の弁護士、スクープを狙う新米記者らは、それぞれの思いを抱いて製薬会社に立ち向かうが……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




91点


※今回の記事は、ダラダラと駄文が垂れ流されている上に、自分でも何を書いたのかサッパリなので、読まなくて良いです。

“今までは「年内に観た新作映画の感想は年内にアップする」という感じでやってきたものの、昨年はとうとう更新しきれなかったシリーズ”の第四弾ということで! とりあえず12月公開作の感想を垂れ流しておきますよ。この映画ってよくよく考えれば、僕に1年間無謀な詩作させた100点の映画「ポエトリー アグネスの詩」のイ・チャンドン監督プロデュース作品なんですが、それが理由で観たワケではなく。12月下旬の祝日、奥さん&娘が遊びに行って時間が空いたので、「前売り券を買っていた『華麗なるリベンジ』を観る予定だった→ちょうど同じ劇場で公開されてて気になった」ということで、チケットを購入。シネマート新宿で鑑賞したんですけど、「そういえば魚になりたかった!Σ(゚д゚;)」と思ったり。で、その後は「華麗なるリベンジ」「疾風ロンド」を観たんですが、それは置いとくとしましょう(意味ありげな顔で)。


上映は確か午前10時20分ぐらいからでしてね。
シネマート新宿!

エレベーターの前には「狂い咲きサンダーロード」の展示があったりしたのです。こっちも観たかったなー。
狂い咲きサンダーロードの展示が!

7Fロビーのテーブルには手描きのPOPがあったりして。こういうのは本当に偉い!m9`Д´) ビシッ
手描きPOP

「フィッシュマン青春割」なんてのもありました。劇場はほぼ満席だった記憶。
フィッシュマン青春割

売店には特製ドリンクやら…。
オリジナルドリンク

コラボクッキーやら魚眼チョコやらが売られてまして。
クッキーとチョコレート

映画がスゲー良かったので、「華麗なるリベンジ」を観る時に買っちゃった♪ (〃∇〃)
飲食物買っちゃった

一番美味だったのは魚眼チョコ。カツオクッキーが入ってるってスゴいな。
カツオクッキーが美味い!


なんて言うんですかね、グッときた映画ほど何を書いて良いのかわからなくなる…ってこと、ありませんか? 僕はこの映画、とても好きでして、先週の金曜日、2回目を観に行っちゃったりしたほどなんですけれども。いわゆる「現代の寓話」ということで、そりゃあ変なところも多いので、乗れない人も少なくないだろうなぁと思うところもあって、どうやってその魅力を伝えようか、いろいろと悩んでなかなか筆が進まなかったりもして… (´・ω・`) ウーン ただ、爽やかなラストには非常に感動したし、なんとなく勇気をもらえた気がしたので、自分なりに感じたことを書き残しておきますよ。


先週金曜の公開最終日は、昼間だったこともあって、客席はかなり空いてました。
2回観ました


一応、話を大雑把に書いておくと、主人公は記者に憧れてテレビ局の面接を受けた青年サンウォン。彼が正式雇用されるために身分を隠して「製薬会社の治験のバイトで顔面が魚化してしまった&体も徐々に魚化しつつある青年パク」を取材するんですが、そこに「酔った勢いでパクと一晩過ごしたものの、まったく愛情がなかったので、魚化したパクが訪ねてきた時は速攻で研究所に売り飛ばした挙げ句、それをネットに書き込みまくる自己顕示欲の強い女ジン」とか「やたら金のことを気にするパクの父親」とか「どこか胡散臭い人権派弁護士」とか「魚化の原因となった薬を作った博士」などが絡んできて。世論は、最初は魚化したパクに同情するんですけど、博士の開発中の薬がノーベル賞ものだと知ると、風向きが変わってくるというイヤな感じ。


パクったら、治験のバイトをしたら、魚化してしまいましてね。
フリーターが魚人間に!

研究所から脱出→一晩だけ体を重ねた相手ジンを頼ったら、研究所に売られてしまって。
ジン(ク・ボヨン)

ジンの「魚人間と付き合ってた」という自己顕示欲丸出しの書き込みをキッカケにサンウォンが取材を始めるのです。
サンウォン(イ・チョニ)

で、パクったら、世論の同情を買って人気者になるものの…。
人気者に!

博士が研究している薬がノーベル賞ものだとわかると、微妙な立場になるという酷いお話。
博士(イ・ビョンジュン)


結局、製薬会社のバックに大企業が付いた途端、スキャンダルを捏造されてバッシングされたパクは、そのままだと死にそうだったりもしたので、仕方なく製薬会社の研究所に戻りまして。実験の結果、死んだと思われたんですが、実は博士から人間に戻れることを教えてもらいながらも、あえて魚人間でいることをチョイスして、大海に泳ぎ出していたことが発覚。そのことを知ったサンウォンは「真の記者」としてパクのドキュメンタリーを撮るべく、テレビ局を辞めましてね。ラストは、海を気持ち良さそうに泳ぐパクの姿が映って、終わってましたよ、確か。


「アカの手先」とか「看護士にセクハラ」といった濡れ衣で悪人扱いされるパク。
悪者扱い

行き場がなくなって研究所に戻ったら、拷問並みの実験をされた挙げ句、死亡…。
実験で酷い目に

と思いきや、海で暮らしていたのでした (ノ∀T) ナァンダ
そして海へ...


いくら寓話だとしてもさ、例えば「研究所に潜入するくだりがスゲー雑」とか「魚人間が看護士を見てオナニーしてた疑惑なんて、ちゃんと反論すればいいだろ」とか「サンウォンが『遺影で初めてパクの素顔を見た』なんてことはあり得ないだろ(クラス委員も出てるんだし、魚人間が問題になった時点で報道されまくるのでは)」とか思うところはあるんですよ。ただ、物語の着地が「優しい映画だなぁ… (iДi) ウェェェェ」と思って、ストライクだったというか。

韓国の若者の生きづらさは「ヘル朝鮮」なんて造語が流行るほどらしいですが、本作に出てくるサンウォンとジン、そして魚化するパクは本当に可哀相でね…。「地方に生まれただけでハンデ」とか「苛立ちをネットや周囲の人にぶつけてた」とか「平凡な人生を送りたかっただけなのに、それすら難しかった」とか、日本の若者…どころか、いくつかは僕(44歳)と同世代のオッサンにも当てはまる状況でもあるというかさ。前に映画駄話会でヘボヤーさんが「見えてる分だけ絶望を感じるけど、触れられないから希望を感じられない」なんてことを仰っててけだし名言だと思ったんですが、ネットによって自分と他人の人生を簡単に比較できるようになったというのもまたこの時代が生きづらい理由ですよね。

「じゃあ、どうすれば良いか」なんて、こんな低偏差値のブログを書いている男にはサッパリですし(苦笑)、そもそも映画ごときがどうこうできる問題ではないと思うんですが…。まず、「ジンが公務員試験に受かる」というオチは、「腐らずに頑張ってみようよ」というメッセージなんじゃないかと。そして、サンウォンがテレビ局を辞めて自分の道を進んだり、パクが魚人間としての生き方を選ぶことになったりするのは、「今の社会の価値観に囚われない、新しい道を探すのもアリなんじゃないか?」と。そんなの難しいでしょうけど、でも、煮詰まって何も行動できなくなるよりは、今の自分が泳ぎ出せる方に向かえばいいというクォン・オグァン監督からの“優しいエール”なんじゃないか。ううむ、上手く書けませんが(汗)、あの若い3人がとりあえずはそれぞれの幸せを掴むというオチがとてもとても好きだったのです。


終盤、ジンがパクに本音を吐露する場面は「立っていられないからぁ」を連想して涙が出ました。
立っていられないから...


いや、微妙に“若いころの自分”と重なったところもあって。僕は高校卒業後、無謀にも小説家になろうといろいろ書いたりしたものの、それがクソを煮染めたような代物で、自分には才能が1ミリもないとガッカリしましてね。近所のジムに通って何キロも泳ぎながら、「このまま魚になって、泳ぐだけの人生を送れたら、どれだけ良いだろう (ノω・、)」なんて考えたことをラストシーンを観て思い出しまして。あのころは自分が何者になれるのか想像もできなくて、生きるのが辛くて、でも、あれから24年以上もこうして生きていることを考えると、前向きでいれば何とかなるのかもしれないし、ならないのかもしれない……って、ごめんなさい、僕自身、何を書いているのかよくわからなくなってきました… ('A`) スミマセン


なんとなく秋山奈々ちゃんの「空を泳ぐさかな」を貼っておきますね↓




そんなワケで、何が何やらな文章を書き散らかしちゃいましたが、僕は非常に好きな映画でした。生きるのって大変だけど、良いことも結構あるので、ボンヤリと頑張りましょうね (o^-')b ナニコノオチ




本作の製作総指揮であるイ・チャンドン監督作。僕の感想はこんな感じ



「フィッシュマン」って聞くと、こっちを連想しますよね。