ナイトクローラー(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ナイトクローラー(ネタバレ)

ナイトクローラー

ナイトクローラー

原題:Nightcrawler
2014/アメリカ 上映時間118分
監督・脚本:ダン・ギルロイ
製作:ジェニファー・フォックス、トニー・ギルロイ、ミシェル・リトバク、ジェイク・ギレンホール、デビッド・ランカスター
製作総指揮:ゲイリー・マイケル・ウォルターズ、ベッツィー・ダンバリー
撮影:ロバート・エルスウィット
美術:ケビン・カバナー
衣装:エイミー・ウェストコット
編集:ジョン・ギルロイ
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演:ドジェイク・ギレンホール、レネ・ルッソ、リズ・アーメッド、ビル・パクストン
パンフレット:★★★★(700円/インタビュー&コラムが充実していて、買って損はなし!)
(あらすじ)
人脈も学歴もないために、仕事にありつけないルイス(ジェイク・ギレンホール)。たまたま事故現場に出くわした彼は、そこで衝撃的な映像を撮ってはマスコミに売るナイトクローラーと呼ばれるパパラッチの姿を目にする。ルイスもビデオカメラを手に入れ、警察無線を傍受しては、事件現場、事故現場に駆け付ける。その後、過激さを誇る彼の映像は、高値でテレビ局に買い取られるように。やがて局の要望はエスカレートし、それに応えようとルイスもとんでもない行動を取る。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




70点


※今回の感想は、映画と関係のない私怨に満ちた文章がダラッと書かれているので、くららがたったさんはちごろうさんのブログがオススメでございます。

「観たい映画の覚え書き」で書いたように、「ジェイク・ギレンホールが最高におぞましい!Σ(゚д゚;) ヒィ!」と評判だったので、スゲー観たかったんですが、仕事と家族関連のことが忙しくて、なかなか観に行けなくて…。今週のムービーウォッチメンの課題作品になったということで、やっとヒューマントラストシネマ渋谷に足を運んで来ました。「俺の理想像だ ( ゚д゚)」と思ったり。


一応、僕の心境を代弁するジャック・ハンマーの画像を貼っておきますね。
俺の理想像だ

映画館の受付正面にはスタンディPOPがありまして。
スタンディPOP

記事の切り抜きもありましたよ。
記事の切り抜き

劇場スタッフの簡単なレビューも。勢いがあっていいね。
ヒュートラ渋谷のレビュー


「ナイトクローラー」と聞くと、基本的には“「X-MEN」に出てくる青い人”を連想したり、三浦理恵子さんの名曲「水平線でつかまえて」のサビを思い出したりするワケですが、そういうことではなく(不要な文章)。いわゆる事件・事故現場専門の報道パパラッチのことを指すそうで。話を簡単に書いておくと、「学歴も職歴もコネもない青年がやっと自分の天職を見つけた」というサクセスストーリー。取引先の人と上手に交渉して関係を深めたり、部下を叱咤激励しながら、メキメキと頭角を現していくのです。最後は不幸なアクシデントで部下を亡くすものの、見事にスクープ映像をゲット! 自分の撮影会社を立ち上げると、「僕は自分がやらないことを君たちにやれとは言わないからね (o^-')b ガンバ!」と社員たちを優しく励まして、映画は終わっていました。


映画とは関係ありませんが、ウルヴァリンから雑な誕生日プレゼントをもらうナイトクローラーを貼っておきますね(「デイズ・オブ・フューチャーパスト」より)。
ナイトクローラーの誕生日


って、あらすじを美化して書いちゃいましたが(苦笑)、実際はなかなかグロテスクなピカレスクであり、なんて素敵にジャパネスクでもある…というのは無駄なウソ。主人公は自分がのし上がるためなら犯罪行為も辞さないクズ野郎なんですけど(だから最後の訓示がブラックジョークになってる)、そのクズっぷりに一貫性がある上に物語がテンポ良くグイグイ進んで行くから、不快ながらも「このクズはどうなるのか!? (`Δ´;)」と最初から最後まで目が離せないのです。

しかも、監督から指示されてもいないのに勝手に12キロ痩せて役作りしたというジェイク・ギレンホールの演技がまた不気味で素晴らしくて、彼の異様な佇まいに引きながらも惹きつけられた感じ。「エンド・オブ・ウォッチ」の男気溢れる警官と同一人物とは思えなかったですよ。役者さんとはスゴいもの、ですな(知った風な口調で)。


ジェイク・ギレンホール、激やせしたことで目の大きさが際立って、超不気味なのです… (´Д`;) イヤーン
不気味なジェイク・ギレンホール


つーか、とにかく主人公ルイスのキャラクターがユニークですよね。ネットでは「そりゃあ、確かに正論だけどさ、現実の社会ではそんなこと無理じゃないかなぁ…」と心配してしまうような文章を書く方が結構いますが、今作のルイスは「そんな人が現実社会に出て理論を実践してみたら…意外と通用した!Σ(°д°;) ナンデスト!」という印象。レネ・ルッソ演じるディレクターのニーナとの性的関係の強要も含めた取引のゲスさとか、自分の交渉術を真似て牙を剥いた部下リック(リズ・アーメッド)を騙して強盗犯に射殺させたりとか、刺激的な映像を撮るために犯罪者を野放しにして犠牲者を出したりとか、最低最悪のクズなのは間違いないんですけれども。ううむ、僕は憧れるところもあったんですよ…。


レネ・ルッソ、何気に還暦を超えていてビックリ! 僕のストライクゾーンが60代まで広がりました。
レネ・ルッソ大活躍

この部下、ある意味、ルイスの交渉術の“負の側面”を体現させられたキャラなのです。
可哀相な部下


なんて言うんですかね、仕事をやっていれば「仁義」や「しがらみ」的なものがどうしても付きまとうワケですが、そういうのが心底ウザくなる時があって。特に「仁義」とか言い出す奴って、大抵が余計な金を払わずに無理をさせたいだけだったりするじゃないですか(しかも立場は上)。で、そのせいでこっちが窮地に陥った時は知らんぷりだったりするから、仕事関係には「死んでほしい奴」が何人もいるワケで…。今作の冒頭に出てきた工場の社長が「コソ泥は雇わない」とか偉そうなことを抜かしてたけどさ、「だったらその盗品を買うんじゃねーよ」とも思うんですよ。だから、無根拠だろうとも自分に自信があって、人の気持ちを考えずにグイグイ交渉するルイスには、不快感を覚えつつも憧れたというか。

それに、今の世の中で「金やコネや学歴がない奴がどうやってのし上がるのか?」と考えると、ルイスを完全に悪と断罪できない部分もあって。だってさ、機会すら与えられない人はどうすればいいのよ? 「ネットで覚えた(笑)」的に思われるかもしれないけど、それだって別にいいじゃんよと。僕は島本和彦先生の名作「逆境ナイン」「大海を知らなかった蛙の中にも十分大海に通用した奴はいたはずだ!!」という台詞が大好きなんですが、自分なりにネットで知識を吸収して現実社会に立ち向かうルイスの姿は持たぬ者の反逆にも見えて、僕はちょっと応援する気持ちにもなったというね。


「井の中の蛙大海を知らず」という言葉はありますが…(「逆境ナイン」第6巻より)。
井の中の蛙大海を知らずという言葉はある

大海に通用した奴もいたハズなのだ! 先人のレトリックに騙されないで!
大海に通用した奴もいたハズ!


その他、夜の街を赤いダッジ・チャレンジャーで疾走する映像がとにかくカッコ良かったし(撮影がイイ!)、事件現場の描写もリアルで好みだったし、反社会的な主人公を使ってアメリカの社会事情を描いた脚本も面白かった!(主人公が雇用側になると、しっかりとブラック企業なのが愉快) ラストの皮肉な台詞は実に「上手な着地」というか、脚本家出身の監督っぽいなぁと思ったりもしましたよ。そもそもの話として、アメリカって一般の人でも警察無線を傍受できるのがスゴいなぁとも思ったり。


それにしても、こういう状況でよく近づけますよね。
現場を撮影だッ!


とは言え、70点の評価なのは、いろいろと考えさせられたし楽しかったけど、グッとはこなかったというか。やっぱり犯罪はダメですよネ (ノ∀`) ナニコノオチ 犯罪をしなくてもパパラッチ自体が嫌いだし…(もともとスクープとか衝撃映像にそれほど興味がない)。だいたい何でも「ビジネスビジネスしている奴」も個人的には大嫌いであり、“僕と同年代でフレンドリーな振りをしつつも探る電話を掛けてくるアイツ”とか死ねばいいっていつも思っているし(読者は何が何やらな文章)、ちゃんと手段を選んで仕事をすることで食えなくなるならそれはそれで全然OK! 甘い意見かもしれませんが、当ブログは「負い目のなさが勝ちを呼ぶ」派なのでね、なるべく負い目を作らない生き方をしようと思っております(いろいろと負い目のある画像を貼っているブログの文章)。


ということで、柴千春の名言を貼っておきますね。
三角絞めでつかまえて-負い目のなさが勝ちを呼ぶ!


それと、ある意味、寓話的な映画だからこういうツッコミは不粋だと思うんですけど(汗)、あそこまでやったら、さすがにルイスは逮捕されてるんじゃないでしょうか。クライマックスの事件を振り返ると、あの現場から無事に逃走できたこと自体が奇跡だし、物証なんて腐るほどあるんだから、あの女性刑事は結構なバカに見えちゃった…って、意地悪ですかね。あと、「鬱屈した状況の主人公」とか「女性に変なアプローチをする」とか、確かに「タクシードライバー」っぽいなぁとは思ったけどさ、「結果がジャスティス」な分、やっぱりトラヴィスの方が大好きでございます (´∀`) アイシテル


まぁ、この女性刑事が逮捕して終わったら、それはそれでつまらない気がしますがー。
これは犯罪よ


そんなワケで、「理想像」というのは盛りすぎでしたけど(苦笑)、なかなか面白かったです (・∀・) ヨカッタ! 主人公が清々しいほどロクデナシなので苦手な人も多いかもしれませんが、彼や彼を取り巻く状況のゲスっぷりにはいろいろと考えさせられるので、気になった人は観に行くと良いザンス。




サントラ。ジャケットがカッコイイね。



ダン・ギルロイ監督がレネ・ルッソと結婚するキッカケとなった映画。僕も昔、デートで観に行きましたよ…(遠い目)。



ジェイク・ギレンホール主演作で一番好きなのはこれ。僕の感想はこんな感じ



一応、貼っておきたい名作。もう新しいバージョンは絶対買わないんだからぁ!ヽ(TДT)ノ ウワァァァン!