R100(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

R100(ネタバレ)

※今回の記事は、非常にダラダラと読みにくいし、少し偉そうなのでね、他のブログをオススメします。僕の感想に近いのは、カゲヒナタさんとかくららがたったさん、琥珀色の戯言さんあたりですかね。冒険野郎マクガイヤーさんやはちごろうさんの文章も読み応えありましたぞ。
※そして今回の記事は、松本人志監督及び「R100」が好きな人は高確率で不快になると思うので、読んじゃダメ!



一応、前置きを書きますね。ハッキリ言って、観に行く気はなかったんです。いや、あの松本人志さんの監督作ということでね、「評判が良かったら…」くらいの気持ちがなかったワケじゃないんですけど、せのちんさんのツイートから始まって、破壊屋さんも酷評してるし、柳下毅一郎さんも叩いている風だったし、その他の伝え聞く評判も最悪だったので、スルー決定。最近の僕は時間とお金を無駄にしたくない気持ちが超強まっているのもあって、「レンタルが旧作になったら借りても良いかな」程度だったんですよ。

がしかし! ムービーウォッチメンの監視対象に選ばれてしまって…。僕は「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」というラジオ番組をこよなく愛しており、その中のムービーウォッチメンというコーナーがまた大好きでして。「監視対象を観た方がより楽しめる」ということで、今年4月にシネマハスラーからリニューアルされて以降、選ばれた作品は全部観に行っているんですね。

これは、本当に迷いました。例えば、劇場で激怒した「ガッチャマン」は、もともと観に行く気があったから仕方ないけど(特撮ファンとして愛せると思ってた…)、すでに悪評が噴出している作品にわざわざ足を運ぶほどの精神的&金銭的余裕はナッシングなんだもの。今までの松本作品で一番良いと思うのは「大日本人」ですけど、それだって別にスゲー面白かったワケじゃないし(好きなところはありますがー)。

ただ、よくよく考えれば、松本人志さん自体は好きなのでね。「ポイントを使ってタダで観れば、アレな出来でもそんなに腹は立たないかな (´・ω・`)」と(としまえん「R100」を観た人は、結構ポイント使ってそう)。帰りはダイエットを兼ねて、走って帰宅すれば電車賃だけで済むしね。そんなワケで、日曜の夜、妻と子が寝たのを見計らって、いそいそとユナイテッド・シネマとしまえんで観てきたのですが…。





R100

三角絞めでつかまえて-R100

2013/日本 上映時間100分
監督・脚本:松本人志
プロデューサー:竹本夏絵、小西啓介
共同プロデューサー:奥山和由
製作総指揮:白岩久弥
製作代表:岡本昭彦
脚本協力:高須光聖、長谷川朝二、江間浩司、倉本美津留
出演:大森南朋、大地真央、寺島しのぶ、片桐はいり、冨永愛、佐藤江梨子、渡辺直美、前田吟、YOU、西本晴紀、松本人志、松尾スズキ、渡部篤郎
パンフレット:★★★(800円/値段はちょっと高いけど、穴が空いた封筒の仕様は嫌いじゃないし、コラムも充実)
(あらすじ)
都内有名家具店に勤務する片山貴文(大森南朋)は、「ボンデージ」という謎めいたクラブに入会してしまい、それ以降、さまざまなタイプの美女が片山の日常生活の中に現れるように。過激なボンデージに身を包み、家庭や職場にも出現する美女たちは、片山をこれまでに味わったことのない世界へといざない、プレイは次第にエスカレートしていくが……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




2点


すっかり冷えました ('A`)


劇場前の「NOW SHOWING」に入ってなくて、「やってないの!?」と一瞬だけ焦ったり。
三角絞めでつかまえて-NOW SHOWING


正直、甘く考えてました。世の中には「逆にイイ!」なんて言葉があるように、もしかしたら「僕は意外と楽しめるかも?」と。そして、「こんな『R100』を楽しめる私は、きっと特別な存在なのだろう」「今では、私がおじいちゃん。孫に見せるのはもちろん『R100』。 なぜなら、彼もまた、特別な存在だからです ( ´∀`)(´∀`) ウフフ」といったヴェルタースオリジナル風な優越感に浸れる可能性もあるんじゃないかと思ってた…。アタシ、思ってた!ヽ(TДT)ノ


すみません、今さらな動画を貼っておきますね↓ 




いや、好きなところがないワケじゃないんです。ただ、不快感と失望感がはるかに上回ったというか。激怒するとかじゃなくて、身も心もすっかり冷え込んじゃって…。見終わった後は走って帰宅しようと思ってたのに、「パシリック・リム」のテーマを聴いても、全然やる気が起きなくて、結局、電車で帰る有り様だったり。


なんとなく「8 bitアレンジバージョン」を貼っておきますね↓




例えば、「謎のSMクラブに入会した男が、次第に職場や家庭を脅かされていく→でも、それこそがプレイなのでは!?」という話自体は超好きなんです。普段から“若干のM気質”を自覚しているというか、「今、こうやってブログを書いている僕は、妻子を持つ、ごく一般的な社会人。 強いて違うところを上げるとすれば、SMに興味があるってとこかナ──」といった感じの僕的には(なんだこれ)、ドストライクな面白さと恐ろしさというかさ。「家庭への罪悪感からSMに逃避する男」なんて、なかなか良い設定だと思ったのです。

ただ、ごめんなさい、描き方がスゲー凡庸なんですよね…。喫茶店でシレーヌ「歓喜の歌」の話をする大森南朋さんに蹴りを入れる冒頭は好みだったし、サトエリさんが寿司を潰すのもどこかで観たことはあったけど悪くはなかったし、放置プレイ描写とかはバカバカしくて良かったのに、他は普通に蹴りを入れたりとか、噴水に引きずり込んだりとか、縛ってツバをかけるとか、全然斬新じゃない。僕の友人には風俗に詳しい男がいましてね(僕じゃないよ、友人だよ!)、「知り合いのMは、金を払って事務所を掃除して帰ってる」なんて話をいろいろ聞いてたりしたので、既知感のあるビジュアルばかりだったのは超ガッカリしました。別に「ホステル」級の残酷展開&グロ描写を入れろとか、そういうことじゃなくて(それはそれで良いけど)、もう少し突き抜けた発想のものが観られると思ってましたよ。

あと、途中で「実はこの映画は100歳の監督が撮っていて、関係者は困っている」みたいな“メタ視点”が入り始めるのはね、それ自体に不快感は覚えなかったんです。というのは、例えば“丸呑みの女王様(片桐はいり)”のシーンに文句をつけるシーンで、助監督っぽい女性が「あとで出てくるので削れないです」とか言って、その後に片桐はいりさんが再登場したところは少し笑っちゃって。そういう「劇中劇とメタ視点を活かした笑い」が次々と用意されていると思ったので。ところが、結局は言い訳に終始しただけだったから、これまた超失望したというか。

なんて言うんですかね、その“関係者たちのツッコミ”はさ、「どうせ観客はこういう風に叩くんでしょ?」的に入れたのかもしれませんが、それは大いなるカン違いじゃないですか。あの組織がどーのこーのって、そりゃ思わなくはないけどさ、基本的には映画として魅力的だったら許せるんだって。例えば、「エル・トポ」なんて僕は全然理解できてないし、デビッド・リンチ監督作なんていつも何が何やらだけど、それでも心底「スゲェ!Σ(゚д゚;)」と唸らされてしまうように。メタ視点なんか入れずにキッチリと作って魅力的なビジュアルを見せてくれていたら、辻褄とかそんなのも関係ないんだって。もうね、バカじゃないかと。言い訳を交えて中途半端にジャンル映画もどきを作るなんて、スゲーカッコ悪いと思いました。

一番不快だったのが、ラスト。SMを突き詰めると、肉体改造や自傷行為的な方向にも進むワケですけど、そういう要素を一切スルーするのは別に良いですよ(松本監督自体も「SM映画のつもりはない」ってインタビューで言ってるし)。あの手榴弾が爆発するシーンのチープさも、「狙ってああいう風にしてるにせよ、あの程度かよ」と思いましたけど、良いですよ。ただ、「歓喜の歌」とか流して「MはSになる」なんて、“そこら辺にいくらでも転がってる話”にドヤ顔で着地されてもスゲー気持ち悪い(また松尾スズキさんの言い回しが安っぽいんだよなぁ…)。僕が大嫌いな「しんぼる」のラストに通ずる“浅さ”を感じてゲッソリというか、冗談じゃなく少し吐きたくなりましたよ。最後、「そしてSを孕む」ということで、大森南朋さんが妊娠してましたけど、マジどうでも良かったです。


唐突ですが、「六三四の剣」の審判の画像を貼っておきますね。
三角絞めでつかまえて-浅い!1


終わった後、パンフを読んだら、結構コラムが充実してて、頭の良い人たちがいろいろと深読みしてまして。それはそれで「よく考えるなぁ」と。イヤミじゃなく、「届く人には届くんだな」と感心しましたが、僕はもう心底ウンザリ ('A`) 松本監督的に、ああいう壮大な“何か”にしたくなっちゃうのはさ、作品を芸術とかアートとして認められたくて、ジャンル映画なんてバカにしてるんだろうなぁって。上手く書けないけど、なんとなく「『セルビアン・フィルム』は最悪だけど良い映画だったなぁ…」とか遠い目をしたりしましたよ。まぁ、カルト映画として一部で愛されたりはするんじゃないでしょうか。


なんとなく「サルでも描けるまんが教室」の画像を貼っておきますね。名著!
何が芸術だ!


ということでね、ダラダラと駄文を書きましたが、僕にとっては生涯ワースト級の映画でした。ただ、ストーリー自体は大好物だし、CEO役の女子プロレスラー、リンゼイ・ハワードの起用と見せ方は唸らされたので(外国人タレントの変な使い方はさすが)、点数は2点。別に「もう松本監督の映画は絶対観ない!ヽ(`Д´)ノ」とは言いませんけど(例えば、ジャン=クロード・ヴァン・ダムの主演作を撮るなら絶対観るし)、たぶん能動的に観に行くことは一生ない気がします (・ε・) オシマイ




今のところ、松本人志監督の作品では、これが一番良いと思います。



一応、貼っておきますが、最低最悪の映画なので、気をつけて!