高地戦(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

高地戦(ネタバレ)

高地戦※シネマハスラーへのリンクなどを追加しました(2013/1/21)

三角絞めでつかまえて-高地戦

英題:THE FRONT LINE
2011/韓国 上映時間133分
監督:チャン・フン
脚本:パク・サンヨン
撮影監督:キム・ウヒョン
美術:リュ・ソンヒ
音楽:チャン・ヨンギュ、タル・パラン
衣装:チョ・サンギョン
アクション:ホン・イジョン
製作:イ・ウジョン、キム・ヒョンチョル
出演:シン・ハギュン、コ・ス、イ・ジェフン、リュ・スンス、コ・チャンソク、イ・デヴィッド、チョ・ジヌン、チョン・インギ、パク・ヨンソ、リュ・スンリョン、キム・オクビン
(あらすじ)
1953年、韓国と北朝鮮が激戦を展開するエロック高地。人民軍の内通者を調査するためにワニ中隊にやって来た韓国軍防諜隊中尉のウンピョ(シン・ハギュン)は、戦友のスヒョク(コ・ス)と再会する。しかし、スヒョクは異例の出世を遂げ、人が変わったように冷酷になっていた。そんなある日、ウンピョは隊員たちと北との内通を示す証拠を目撃し……。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓(今回はとりあえず韓国版の予告を貼っております)




90点


「高地戦」に興味がある方は、ネタバレを知らない方がよりグッとくるというか、日本版の予告編すら観ないで劇場に行った方が良いと思いますぞ。
※ただ、超ダウナーな気分になる戦争映画なので気をつけて!


何かの折に日本版の予告編を観て、「なにこの大変すぎる映画!Σ(゚д゚;) マジ!?」とビックリして。予定が合わなくてなかなか観に行けなかったんですけど、やっと先日、シネマート六本木で観てきました。「無惨デスナー ( ;Д;) アンマリダ」と思ったり…。


シネマート六本木には、パネルやら記事の切り抜きやらが展示されていたんですが…。
三角絞めでつかまえて-こんな展示が!

なんとファンクラブから花まで! コ・ス人気、恐るべし!
三角絞めでつかまえて-ファンクラブが!


コ・スの名を見ると、つい「コココッス~♪ ヘ(゚∀゚*)ノ」なんてフレーズが浮かぶのは、この番組この歌のせい↓




僕がとにかく心を掴まれたのは戦場描写。この映画制作費が100億ウォン(7億円)かかってるそうですが、マジで素晴らしくて…(しみじみ)。高地バトルの壮絶さやリアリティにおいては、あの「ハンバーガー・ヒル」を超えたんじゃないでしょうか。バカみたいに急な斜面を登りながら戦う様子を臨場感タップリに撮影していて、「もし戦争に行くとしても、高地はノーサンキューだね! (o^-')b オコトワリ!」と心底思いました。特に終盤、「停戦が決まってからの12時間の戦い」の描き方はハンパじゃなくて、味方が無差別に空爆してくるシーンとか、あまりに非道すぎて少し笑っちゃうほどでしたよ。ゴア描写がここぞという時に出てくるのも良かったなぁ(イ・ジェフン演じるイリョン大尉の片腕片足を失った姿とかエグすぎ)。最後はウンピョ中尉だけ生き残るワケですが、彼が佇む死体だらけの高地の凄惨なビジュアルは、心から「戦争反対!ヽ(´Д`;)ノ ダメゼッタイ!」と思える素敵なクオリティでした。


戦場描写のリアル&ハードさはハリウッドに負けないレベル。この爆破の容赦のなさもスゲェ!
三角絞めでつかまえて-ハードすぎる戦場

終盤、味方から爆撃されるという悲惨にも程がある状況に! 「ハンバーガー・ヒル」では味方ヘリに誤射されるシーンがありましたな。
三角絞めでつかまえて-味方からの爆撃

一応、貼っておきますが、この大量の北朝鮮&中国人民志願軍が押し寄せるシーンもホラー映画っぽくて好き。
三角絞めでつかまえて-押し寄せる敵兵たち


メイキングがあったので、貼っておきますね。




つーか、この「停戦が決まってからの12時間の戦い」って、超最悪ですよね(史実…なんですよね?)。「バレーボール部にいたころ、通常の練習が終わったと思ったら、筋トレをやらされるハメに… (´・ω・`) ヤダナァ」レベルじゃ済まないハードさですよ。「お前ら、もう少しちゃんと停戦しろYO!ヽ(`Д´)ノ ヒドイ!」と頭に来たのは僕だけじゃないというか。凡人が窺い知れぬ事情はあるにせよ、マジで休戦協定に関わった奴らはバカ揃いなんじゃないかと。「戦火の中へ」では学徒兵も戦わされてたし、朝鮮戦争、つくづく大変だったんだなぁと。


唐突ですが、非常にどうでも良い外人4コマを作ってみました。
三角絞めでつかまえて-外人4コマ


ドラマ展開や、役者さんたちも良かったです。エモーショナルすぎる感もなくはないというか、同じパク・サンヨン脚本の「JSA」を思わせる“北との交流描写”は一部ヤリ過ぎにも感じちゃいましたけど(恋愛を匂わせる必要はなかったと思う)、「退却時、上陸用舟艇に乗り込んで来る味方を機銃掃射で殺さざるを得なかった→イリョンは大尉になったものの、すっかりクスリ漬けに… ('A`) シニタイ」という“浦項(ポハン)の地獄”のエピソードの“苦さ”は超大好物。コ・ス、最初は色男すぎるかと思ったけど、イリョンの自殺を泣きながら止める→ワニ中隊のメンバーを「イリョンは超偉いじゃんよ!ヽ(TДT)ノ」と説教するシーンには胸を熱くさせられましたね… (´・ω・)(・ω・`) ネー


退却するために味方を殺すハメに! 何ともムゴい話ですな。
三角絞めでつかまえて-味方を撃つ!

自責のあまり、自殺しようとするイリョンを止めるスヒョク。この事件からワニ中隊の心は1つになる!
三角絞めでつかまえて-スヒョクの熱い説教


その他、序盤に描かれるワニ中隊の仲良し振り&実は有能描写とか、テギョンa.k.a.“二秒”(キム・オクビン)という女スナイパー設定とか(「680メートル先の距離から狙撃してくる→撃たれた後、音が2秒遅れて聞こえる」という名前の由来がカッコイイ!)、あのいかにも無能でプライドが高そうなジェホ中隊長(チョ・ジヌン)をスヒョクがアッサリ射殺するシーンとかも良かったですな~。まぁ、率直に書くと、長く感じるところはあったし(特にウンピョがスヒョクにイチイチ絡むのがウザい印象)、いわゆる戦争モノとして既視感のあるシーンは多いんですが、それをちゃんと“朝鮮戦争”用に落とし込んでいて、全体的には好感が持てましたよ。


ということで、なんとなく登場人物紹介。ウンピョ中尉は“観客の目線”担当。「JSA」では“北”でしたな。
三角絞めでつかまえて-ウンピョ中尉(シン・ハギュン)

地獄を見て、上官すら射殺する戦闘マシンと化したスヒョク。終盤直前で“二秒”に射殺されたのは結構ビックリ。
三角絞めでつかまえて-スヒョク中尉(コ・ス)

クスリ漬け大尉イリョン。演じたイ・ジェフンン、非常に良い役者さんだと思いました。
三角絞めでつかまえて-イリョン大尉(イ・ジェフン)

ワニ中隊を盛り上げるギヨン軍曹(リュ・スンス)とヒョサム曹長(コ・チャンソク)。残念ながら無惨に死にます。
三角絞めでつかまえて-ギヨン軍曹とヒョサム曹長

“二秒”に生殺しにされた挙げ句、射殺される最年少兵士ソンシク。「ポエトリー アグネスの詩」の孫役だとは気付かなんだ。
三角絞めでつかまえて-17歳のソンシク(イ・デビッド)

無能すぎてムカつく中隊長ジェホ。ツヤツヤしたデブっぷりが憎たらしくて、死ぬ時のざまぁ感は異常。
三角絞めでつかまえて-ジェホ中隊長(チョ・ジヌン)

意外とイイ奴な北朝鮮の中隊長ジュンユンは、最近、よく見るリュ・スンリョン。「戦火の中へ」のチャ・スンウォンを思い出したり。
三角絞めでつかまえて-ジュンユン中隊長(リュ・スンリョン)

女スナイパー、テギョンa.k.a.“二秒”。「渇き」の時も思ったけど、しまおまほさんに似てるイメージ。
三角絞めでつかまえて-テギョンa.k.a.二秒(キム・オクビン)

ちなみに、この孤児たちは“盛りすぎ”というか(1人は片手がない)、不要だった気がしなくもないカナー (・ε・)
三角絞めでつかまえて-戦火の子どもたち


ううむ、例によって、ダラダラと駄文を垂れ流しちゃいましたが、実に無惨で素晴らしい戦争映画でしたよ。正直、「停戦が決まってからの12時間の戦い」があることを知らなかった方が終盤の展開にスゲー驚けた気がしつつも、僕はそうじゃなかったら観ない確率が高かったので、ネタバレをしてる日本版の予告編は仕方ないんでしょうな。間違いなく「ハッピーな気分になれる作品」とかではないから、無闇にオススメはできませんが、日本の高度経済成長は朝鮮特需によるところが大きいということで、たまにはこういう映画を観ておくのも良いんじゃないかしらん (´∀`) オシマイ

宇多丸師匠の素晴らしい批評がアップされてるので、聴いてみてくださいな~。




チャン・フン監督作。僕の感想はこんな感じ
三角絞めでつかまえて-義兄弟
義兄弟~SECRET REUNION~ [DVD]


パク・サンヨンが脚本を担当したパク・チャヌク監督作。シン・ハギュンも出てます。嫌な話ですな…。
三角絞めでつかまえて-JSA
JSA [DVD]


朝鮮戦争を舞台にしたイ・ジェハン監督作。僕の感想はこんな感じ
三角絞めでつかまえて-戦火の中へ
戦火の中へ [Blu-ray]


長い間、ウォルター・ヒル監督作だと思ってたジョン・アーヴィン監督作。「昼はハンバーガーだ!ヘ(゚∀゚*)ノ」なんて得意げに言ってたあのころ…(遠い目)。
三角絞めでつかまえて-ハンバーガーヒル
ハンバーガー・ヒル コレクターズ・エディション [DVD]