七つまでは神のうち(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

七つまでは神のうち(ネタバレ)

七つまでは神のうち

三角絞めでつかまえて-七つまでは神のうちポスター

2011/日本 上映時間82分
監督・原作・脚本:三宅隆太
製作:細野義朗
プロデューサー:高橋樹里、土本貴生、山川雅彦、堀川慎太郎
撮影:長野泰隆
音楽:遠藤浩二
主題歌:日南響子
出演:日南響子、飛鳥凛、藤本七海、竹井亮介、宝積有香、駒木根隆介、下江梨菜、松澤一之、霧島れいか
(あらすじ)
10年前のある事件をきっかけにトラウマを抱え、心を閉ざしたまま教会に通い続ける女子高生の繭(日南響子)が、ある日、深い森の奥で行方をくらます。一方、夫(竹井亮介)と娘(下江梨菜)と平穏な生活を送っていた真奈(霧島れいか)は、7歳の娘が森に遊びに行ったまま帰らなくなり、不安で次第に精神が崩壊していく……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




92点


※今回の記事は、映画の感想の前に心底どうでも良い文章が書かれていたり、内容もまとまりがなかったりするので、そういうのが苦手な人は読まない方が良いです。
この映画に関しては、僕はかなり怖かったので、ぜひネタバレを読まずに劇場に行ってほしいんですが、実に信用できるブログの方が微妙な評価をされていたりもするので、気をつけて!


予告編を見た限りでは、正直、「大したことはなさそうですな ( ´_ゝ`)」と思ったんですよ。別にそんな怖そうじゃないというか、「変質者に女の子たちがさらわれる話なのかな」程度の認識というかね。ただ、僕が大好きなラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」(通称タマフル)によくゲストで出てくる三宅隆太監督の映画だし、「一応は観ておくか」と思って、シアターN渋谷に行ったワケです。


劇場内にはこんな展示がありました。
三角絞めでつかまえて-展示


で、受付でチケットと一緒にパンフレットと小説を買ったら…なんと三宅隆太監督ご本人がロビーにいて、直々に「ありがとうございます」なんてお礼を言われちゃいまして! 僕もあまりのことに「き、昨日のタマフル、良かったですぅ、グフフ」としどろもどろな返答。ただでさえ、4&5映画特集の時に「キックボクサー」シリーズを褒めてくれたことで好感を持っているのに、実際に話しかけられちゃったりしたら、もっと好きになっちゃうじゃないのよぉ!ヾ(。`Д´。)ノ

さらに、なんと上映前に監督の挨拶がありまして…。「9日間で撮った」なんて裏話を聞かせてもらったりしたワケですが、よく考えると「これは困ったなぁ」と。映画が終わって外に出た時、まだそこに三宅監督がいたら、やっぱり「面白かったヨ!ヘ(゚∀゚*)ノ」って言ってあげたくなるのが人情じゃないですか。ただ、「もしつまらなかったらどうしよう!?」と考えると、非常に気まずくなってきて…(考えすぎ)。さっきも書いた通り、予告編は微妙だと思ってたから、「頼むから面白い映画であってくれー!」と祈ったりしてね(結局、上映後に監督はいませんでした (ノ∀`)テヘ)。

映画自体は、地味~に始まりまして。ハッキリ言って、序盤の繭と父親(松澤一之)が、女の子を拉致している誘拐犯の車を尾行するシーンはちょっと萎えたんですよ。携帯持ってるんだから、普通は運転中に娘に通報させるじゃないですか。その後、父親が1人で誘拐犯を追って撲殺されるに至っては「戦闘力に自信がないなら単独行動するな!ヽ(`Д´)ノ」と。「相手の武器はバールなんだから、距離を詰めて懐に入ってしまえば…」「この男が柔術を習っていれば…」とかなり歯痒かったです(その後の“縛られた女の子をボケーッと放置してる繭”にもイラッとしたり)。


必死に逃げる繭と薫(藤本七海)。「ちゃんと紐をほどいておけば…」と思ったのは僕だけじゃないハズ。
三角絞めでつかまえて-紐をほどいておけば…


場面が変わって、他の人のエピソードが進んで行って。市松人形の出現にはちょっと怯えつつも(予想できたけど、あの不自然なアップがイヤーン)、「この映画はどういう話なんだろうな~」と思いながら観てたんですが…。麗奈(飛鳥凛)のエピソードになって、それまでは独立しているようにも見えた失踪事件が1つに結びついた時、「そういうことだったのか!Σ(゚д゚;)」とビックリ&実にイヤ~な気持ちになるんですよ。

要は、同じ時間軸に見えるように構成しているから、失踪したのが全員被害者に見えるんですが、真奈(霧島れいか)の娘のさくら(下江梨菜)がいなくなったのは10年前のこと。さくらは、当時、小学校の同級生だった繭と麗奈と薫のせいで事故に遭って、生き埋めになって死んでいたんですね。最初はそのことを知らずに、真奈と旦那は目撃者求む的なビラを配ったりしてたワケですが、真奈が信仰していた神を捨てた時、さくらの霊に導かれて日記を発見。さくらがずっと3人に虐められていて、失踪当日に彼女たちと鎧山へ行ってたことを知るワケです。


被害者に見えたけど、実は加害者でもあった3人娘。
三角絞めでつかまえて-逃げる3人


娘が死んでいるという事実を突きつけられて絶望した真奈と旦那は自殺し、霊として3人に復讐を開始。麗奈は焼き殺され、薫は串刺しにされ、残った繭は棺桶に閉じこめられたまま生き埋めにされて、「お父さーん、お母さーん、死にたくないよぉぉぉ!」と泣き叫びながらエンドロール突入というね…。いつもなら「ワンインチ・パンチで脱出だ!ヽ(`Д´)ノ」とかバカなことを思いがちな僕もまったくそんな気になれなかったというか、今年観た映画の中で一番後味の悪い終わり方でしたよ…。


犯人はこの2人。冒頭の誘拐犯はお父さんの霊だったのね。
三角絞めでつかまえて-犯人はこの2人


演出&脚本に関しては結構考えさせられるというか。レンタル屋で繭と麗奈が友人同士ということが示唆されてたり、教会に通ってる&繭の手首にあるリストカットの跡を見せることでトラウマを持ってることが説明されたり、冒頭の白いバンの中のミイラ化した死体(実は真奈)を見せることで「誘拐犯が尋常じゃない存在」ということを匂わせてたりと、振り返ってみれば意外と親切で。市松人形のビックリシーンも、最初は映画全体のトーンが「失踪=生きている人間の犯行」ってムードだったのが、あそこで急に「あれ、こういうノリ?」となるじゃないですか。あれも観客を混乱させるための構成だと考えると「上手いなぁ」と思ったり。


真相発覚シーンでは市松人形が登場してましたな。
三角絞めでつかまえて-市松人形


その他、「真奈と繭が2人とも神を信仰していて、最終的にはまったく役に立たない」ってのも考えさせられたし、「さくらに親切っぽかった繭が一番非道い目に遭う」というのも「『味方ですよ』ヅラをしつつ、自分の心を裏切る奴が一番卑怯」という被害者側の怒りが感じられて良かったです(「『暴力脱獄』の主人公が怒ったのは“同情的な看守”だった」的なニュアンス?)。

ただ、「見る人によっては納得できないんじゃないかなぁ」と思ったのも確かでして。というのは、霊になったさくらの両親が“あまりにやりたい放題”ではあるんですよね。最初の誘拐犯=さくらの父親が霊だと考えた場合、「霊が運転!? ∑(゚Д゚)」とか思っちゃうし。逆に「警察に電話しなかった」などの変な状況は「すでに尋常じゃない世界に取り込まれていたから、冷静な判断が出来なかった」という説明ができなくもないんですが、それも強引だしなぁ。廃校で麗奈は、大量の人間たちや逆回転っぽく喋る怪しい人やカウンセラーに会ったりするワケですけど、アレもすべて霊になった両親の能力によるものと考えると「どんだけ万能なんだよ」と。でも、まぁ、それらも“ジャンル映画のおもてなし”だと思えばスムースに飲み込めるんですけどね(だって、そんな文句を言い出したら「呪怨」とかも成り立たないし)。

というか、僕的にこの映画が恐ろしかったのは自分に娘が出来たのが大きいんですよね。可愛いマナ子がさくらみたいな目に遭うのもイヤだし、繭みたいな目に遭うのもイヤだし…。特に繭のパターンだった場合、僕は絶対警察に通報しますけど、最終的には娘を守るために霊とタイマンしなくてはならないじゃないですか。バールを持っている→実体化している→体を掴めるハズなんですけど、人智を越えた怪力が備わっているだろうから、組むと絶対負けるのは間違いないんですよね(絞め技&関節技は通用しなそうだし)。そうなると、勝負は打撃。あのバールを振り下ろす速度を見る限り、攻撃を避けること自体は難しくなさそうだし、奴らは格闘技は使えなさそうだから、前蹴りで突き放すことができれば、こっちの体力が持つ限り、娘を逃がすことくらいはできるのでは…って、書いていてすっかりバカらしくなってきました ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ

ちなみに、小説も読んでみたんですけど、これがまた凶悪な代物で。繭の父親が死ぬシーンの描写には心底ゲンナリしました。そのくせ、薫のいとこの修一(10歳)のエロ妄想とか、麗奈が「あしたのジョー」の台詞を呟いたりとか、微妙に愉快なテイストが入ってるのも良い意味でイラッとする感じ。思った以上に映画が補完できて良かったです(作品世界がさらに業が深い感じに掘り下げられていて、廃校で見た大量の人間や逆回転の台詞や市松人形の意味や「なぜ10年後に復讐したのか」なども分かる)。一点だけ、カウンセラーの治療を受けて数年経ってるハズなのに「10年前に自殺した」ことになってるのが分かりませんでしたが…。

ってことで、例によって、ダラダラとよく分からない駄文を書いちゃいましたな…。正直、「失踪した娘の日記ぐらい、すぐ探せよ」と思ったし、「予算の都合だろうけど焼死&落石シーンが微妙」だったりもしたんですが、僕的には話の展開&非情なオチにやられちゃいました (´∀`) ここら辺まで書いた後、僕が大好きなブログの感想を読んだら結構手厳しかったので、「ううむ、かなり好き嫌いが分かれる作品なのかしら… (´・ω・`)」と思ったりもしたんですけど、シアターN渋谷だったらサービスデーも多いし、映画の日も近いということでね、興味がある人はぜひ劇場に足を運んでくださいな(9/2には三宅監督&宇多丸師匠のトークイベントもあるそうな)。僕的には「映画を観る→小説を読む→HogaHolicの三宅監督インタビューを読む(良い出来)→映画を見る→小説を読む」という無間地獄的なアプローチがオススメですゾ (・ε・)




小説版。親子の愛情がしっかり描写されている分、スゲー嫌な気持ちになりました(褒め言葉)。
三角絞めでつかまえて-七つまでは神のうち小説
七つまでは神のうち


日南響子さんが歌う主題歌。ダウンロード販売だそうです。
三角絞めでつかまえて-SAVE ME・日南響子
Save me


三宅隆太監督作。最後のオチにはちょっとビックリ。
三角絞めでつかまえて-呪怨・白い老女
呪怨 白い老女 [DVD]


かなり違うんだけど、この映画を思い出しました。
三角絞めでつかまえて-フラットライナーズ
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