[リミット](ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

[リミット](ネタバレ)

[リミット]

三角絞めでつかまえて-リミット

原題:Buried
2009/スペイン 上映時間90分
監督:ロドリゴ・コルテス
脚本:クリス・スパーリング
出演:ライアン・レイノルズ
(あらすじ)
イラクでトラック運転手として働くアメリカ人ポール(ライアン・レイノルズ)は、ある日突然何者かに襲撃され、気づくと地中深くに埋められた棺の中にいた。手元にあるのは携帯電話、ライター、ナイフ、ペン、酒、そして残り90分の酸素のみ。タイムリミットが迫るなか、ポールは必死に脱出を試みるが……。(以上、エイガ・ドット・コムより)

予告編はこんな感じ↓




50点


※今回の記事は映画「ゲーム」のネタバレにもちょっと触れているので要注意です。

いわゆる“ワン・シチュエーション・スリラー”ということで、オチが気になっちゃいましてね。実はちょっと閉所恐怖症気味なんですけど(家で1人の時はトイレのドアは閉めない)、「その分、余計に楽しめるかしら」と、シネセゾン渋谷に行ってきました~。


ロビーにはこんな展示が! 入ってみたかったけど恥ずかしいので断念。
三角絞めでつかまえて-展示1

PRイベント時に撮影されたほしのあきさんの写真が貼ってありました。こういう宣伝、嫌いじゃないぜ!
三角絞めでつかまえて-展示ほしーの


僕の感想は…そこそこ頑張ってたって感じですかね。先に最後の展開だけ簡単に書いておくと、「爆撃の衝撃で棺が壊れて砂が入ってくる→電話で話してた捜査官みたいな人(声のみの登場)が『埋められている場所が分かった』的なことを言う→期待する主人公→その場所に埋められていたのは主人公ではなく、『マーク・ホワイト』という映画中盤で主人公を励ますために『同じケースで助けたことがある』と言っていた人間だった(同じシチュエーションで助かった人間はいなかったことが発覚)→ゲンナリ状態で砂に埋まってしまう主人公→主人公が棺に書いた『マーク・ホワイト』という名前が意味ありげに映る→捜査官が『正直、スマン』的なことを言って終了→エンドロールには陽気な笑い声と音楽が…」みたいなオチでした。

まず、良かったところを書くと、観る前は深く考えてなかったんですが、実際に観てみたら「90分間ずっと場面転換もせずに主人公がグダグダしてるだけ」というのは、途中で飽きるところもあったけど、スゴイとも思いました。いや、「不安障害で薬を飲んでる」という言い訳的な設定がなくても、ああいう状況になったらほとんどの人があんな感じのパニック状態に陥るとは思いますけど、電話を掛けるシーンとか「もうちょっと要点を絞って話せよ」とか「相手ももう少し親身になるだろ」とか思って結構イライラしたし、観客を飽きさせないためとは言え、ヘビが出てきたくだりは微妙でしたけど、カメラワークとか本当に工夫していて、「よくこんな映画作ったなぁ」と製作者たちには感心しました。「現場で非道い目に遭うのは底辺の労働者云々」な皮肉がこめられた展開も嫌いじゃなかったです。

ただ、「乗れる」「乗れない」が分かれるところでしょうけど、設定にはかなり無理があると思いました。あんな手口、現実にはないですよね? 「民間人がイラクで拉致されて、棺桶に入れられて埋められた状態で身代金のためにいろいろ命令される」って、「身代金がもらえなくてもアメリカへの復讐になる」とか「最近、単に殺すだけだとインパクトに欠けてきたから…」といった屁理屈が付けられなくはないけど、あんな手間もお金もかかる方法をわざわざ選ばないよなぁと(死体を埋める手間は省けるけど、そもそもそんな必要がないし)。どこか適当な場所で銃を突きつけて動画を撮影した方が、どう考えても合理的&効果的ですよね。

しかも、このテロリストったら、わざわざ主人公の浮気相手を拉致して脅したり殺したりするわ、アメリカにある主人公の家の住所もしっかり把握してるわ…。話の設定的には「何人かでいたところを襲われて、主人公だけ生き残って拉致された」ってことですが、どう考えてもこの主人公目当てで拉致したとしか思えないワケですよ(家の住所とかは調べれば出てくるかもしれないけど、愛人はさすがに分からないと思う)。でも、主人公は会社にもアッサリ切り捨てられるような“普通のトラックの運転手”ですから、わざわざコイツを拉致して殺す必要性を感じられないんですね。

そうなると「もしかすると『ゲーム』みたいに誰かのタチが悪いイタズラ的なオチ?」とか「主人公に恨みを持つ人間がイラクのテロリストを装って復讐した?(『指を切れ』とかの意味のない無茶振りは怪しい?)」とか思うワケなんですが、そう考えるにも情報量が少ないし…。な~んて、ついつい深読みをしちゃいますけど、僕的には「辻褄が合わないのは勢いで作ったから」であって、単に“観たまんまの映画”だと思ってたんですが、前田有一さんの批評を読んだら超絶賛しててビックリ。「そんなによく練られた脚本だったの!?」と、もう一度、映画を確認したくなりましたが、2回観るのはちょっとキツいというか、僕的には「マリア様がみてる」の3回目を観た方が…って、どうでも良いですな。

というか、僕がもっとも疑問に思ったのは「なぜ主人公は自力で棺桶から脱出できなかったのか?」という点なんですよね。この生き埋めシチュエーションを観て、多くの人が「キル・ビル Vol.2」で“ザ・ブライドが生き埋めにされるシーン”を思い出したと思うんですよね。


① パイ・メイの教えを思い出したザ・ブライドは…。
三角絞めでつかまえて-行きます!

② 棺に向かってワンインチ・パンチ! 血が滲んでも殴り続ける!
三角絞めでつかまえて-殴る!

③ 板が割れて、砂が入ってきた! それを必死にかき分けて…。
三角絞めでつかまえて-砂が入ってきた!

④ 見事脱出!
三角絞めでつかまえて-脱出!


いや、僕だって学歴はありませんが恐ろしくバカでもないワケで、まさかトラックの運転手に「ワンインチ・パンチを打て」とは言いませんよ┐(´ー`)┌ヤレヤレ ただ、映画中盤で捜査官が「携帯が通じるから地上から数十センチの場所」みたいなことを言うシーンがあるんですね。もちろん「キル・ビル Vol.2」とはリアリティの線引きが違うとしても、そのくらいだったら板さえ割れれば脱出できそうじゃないですか。だから、映画終盤で③のような展開になった時、「よし、脱出だ!」って期待してたら、主人公はそのまま埋まるだけだったので本当に失望しましたね(「数十センチ」がウソだった可能性もなくはないけど、祈りの声とかが聞こえてただけにそんなには深くないと思う)。

って、文句が目白押しになってしまいましたが、寓話として考えればそんなに腹も立たないし、アイディアは悪くないし、工夫が詰まっている映画だとは思いました。もう少し時間が短かったら…例えばオムニバスの1本だったら、かなり面白かったんじゃないでしょうか。興味がある人は劇場へ行っても良いけど、DVDでも十分な気もします。




今年公開されたワン・シチュエーション・スリラー。僕の感想はこんな感じ
三角絞めでつかまえて-フローズン
フローズン [DVD]


大好きな映画。この映画のように地中から脱出するのはやっぱり無理なんですかね?
三角絞めでつかまえて-キルビル2
キル・ビル Vol.2 【プレミアム・ベスト・コレクション\1800】 [DVD]


この映画の主人公のような目に遭ったら、発狂して「オメデトウ!」どころじゃなくなるような…。
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