ドルフ・ラングレンのハイパートレーニング(ネタバレ)/ありがとうドルフ・ラングレン特集:番外編 | 三角絞めでつかまえて2

ドルフ・ラングレンのハイパートレーニング(ネタバレ)/ありがとうドルフ・ラングレン特集:番外編

ドルフ・ラングレンのハイパートレーニング

三角絞めでつかまえて-ハイパートレーニング
ハイパートレーニング [VHS]

原題:Maximum Potential
1987/アメリカ 上映時間52分
監督:ジョン・ラングレイ
監修・脚本:ドルフ・ラングレン
音楽:W・マイケル・ルイス
撮影:マーク・ウッズ
プロダクションアシスタント:クエンティン・タランティーノ
出演:ドルフ・ラングレン、フレッド・デルーカ jr.、マーク・デ・アレッサンドロ、フランク・ザカリーノ、George Pipasik、アンジェラ・ダウン、エヴォン・マーフィー、アデル・ヨシオカ
(あらすじ)
超人ドルフとともにワークアウトを繰り返そう。毎日の基礎的トレーニングは、強靭な肉体を作るとともに、ストレスを解消して活力を与えてくれる。彼は語る。「トレーニングの繰り返しがさらなる力を持たらすんだ。キミも人生に可能性を求め、ともに頑張ろう!」(以上、ビデオジャケットより)

予告編はこんな感じ↓




ラングレン度:100点


※ごめんなさい、今回の記事はかなりダラダラしていて読みにくいので、気をつけて!

7月からやってきた「ありがとうドルフ・ラングレン特集」も今週で終わりということで、映画ではないんですけど、ラングレン史において間違いなく重要な1本といえるだろうワークアウトビデオ「ドルフ・ラングレンのハイパートレーニング」について書き残しておこうと思います(ちなみに大陸書房の書店売りビデオということで、amazonでは本のカテゴリに入ってたりします)。


一応、裏ジャケットも貼っておきますね↓
$三角絞めでつかまえて-ハイパー裏ジャケ


「ワークアウトビデオって何さ! (`Δ´)」という方がいるかもしれないので、簡単に説明しますと、ビデオの中の人が「次はこうやってトレーニングしてね~」と指示してくるのに従って一緒にトレーニングをするも良し、その内容を観て自分のトレーニングメニューの参考にするも良し…って感じの体力トレーニング用ソフトのことですな。要は、ちょっと前に流行ったDVDソフト「ビリーズブートキャンプ」みたいなものというか、「健介ブートキャンプ!!」みたいなものというか。

率直に書くと、87年に作られたビデオなので、現在のワークアウトDVDと比べると微妙なところはありまして。「ウォームアップ」「有酸素運動」「筋力トレーニング」「ストレッチ」「ストレス・マネージメント」の5つのパートで構成されているんですけど、初心者向けということで、トレーニングに詳しい人には非常に物足りない内容だとは思います。

ちょっとフォローすると、当時のワークアウトとしては、なかなか考えられているような印象もあるんですけどね。僕的には腕立てふせを5種類紹介したりとか、ストレッチ中にラングレンが食事について話したりするシーンは結構感心しましたよ。ちなみに“ラングレンの食事についての話”が検索してもネットで見つからなかったので、一応、記録として書き残しておきますね↓


体型を保つには運動するだけではダメだ。肉体は精密機械のようなものだ
適した燃料を、適した時間に、適量だけ補給しなければならない
僕の食事がどんなものか教えるから、君のメニュー作りの参考にしてくれ
朝食は日によって様々だ。
起きて、すぐトレーニングするなら、血糖を補うため、バナナやオレンジなどの果物を食べる
血糖値は寝ている間に低下するので、運動の前に軽く上げてやる必要がある
仕事が先の時はもう少し重い食事にする
パンやマフィンをハチミツで…要するに穀類をとる
いつもミルクの代わりにアップルジュースを飲む。炭水化物が多いし…好きだから
コーヒーなども飲む
温かいオートミールも塩やバター、砂糖などは入れないようにしている
卵を食べる時は、卵黄ぬきにする。脂肪分やコレステロールが多く含まれているからね
運動前に炭水化物をとり、後でタンパク質をとるのが基本
タンパク質が多いものは鶏、赤身の肉、子牛の肉、卵白などだ
炭水化物は、パンやマフィン、パスタ、米じゃがいもなどだね
昼食は量を多くする。中でも魚、鶏、サラダ、炭水化物の多い米、じゃがいもやパスタなどが多い
野菜も大好きだ。繊維やビタミンが豊富だ。濃い緑色の野菜は、特に多い
基本的に一日を通して、炭水化物の摂取量を減らし、タンパク質を多くしていく
僕の場合もそうだ。これが一番いい
たまに、チーズケーキなども食べるが、朝か昼だけだ。アイスクリームも朝だね
果物、グラノラ、マフィンなどのシンプルな炭水化物が好みだ
筋肉を収縮させるカリウムを取りにくくし、ナトリウムの摂取量を減らしてくれる
ナトリウムというのは、体内に水分をため、血圧を上げてしまうんだ
ハチミツが砂糖代わりだ。塩や砂糖、きついスパイスなどを使わなくても、慣れてくれば平気だ
水はどうか。人体の80パーセントは水で、非常に重要なものだ
僕は、できるだけ水を多く飲むようにしている
ナトリウムを減らし、体内の各機能を高め、肌の調子も整えてくれる
フルーツジュースはカロリーに気をつけよう
コップ一杯のオレンジジュースは、オレンジ4個分に相当する
ジュースでダイエットしようとして4.5キロ太った人もいる(※ちなみにラングレンは「10ポンド」と発言)
取り過ぎないことだ



正直、87年ぐらいにしては結構しっかりした知識を持っているような気がするんですが…どうでしょうか。ううむ、書くのが結構面倒くさかった割には、あまり意味がなかったかしら…。

ただね、このビデオはそもそも“イメージビデオ的な役割も大きい”ということで、30歳の脂が乗りまくっているころのラングレンの姿を見るだけでも楽しかったりするんですよね。サンドバッグを叩くシーンは出世作となった「ロッキー4」を確実に意識して入れたんだろうし、砂浜をダッシュするシーンは「ロッキー3」オマージュだろうし、ラングレンのサービス精神にはつくづく頭が下がりましたよ…。


有酸素運動のシーンでボクシングをするラングレンの姿が!
三角絞めでつかまえて-ボクシング

砂浜ダッシュが「ロッキー3」オマージュってのは考えすぎなのかなぁ。
三角絞めでつかまえて-砂浜ダッシュ


その他、トレーニング中にやたら「that's it!(『それだ!』的な意味)」って言ってくるのも愉快なんですが、僕的にはラングレン自身が書いたナレーションが結構好きでして。例えば、ビデオが始まると自転車に乗ってラングレンが砂浜に来るんですが、突然、「自然は…まさに驚異だ」とかワケの分からないことを言い出すんですよ。


えっ? ラングレンったら、いきなりどうしたの?
三角絞めでつかまえて-自然は驚異だ


ということで、またまた面倒くさい&長いんですけど、<冒頭><休憩時><ラスト>のナレーションを資料として書き残しておきますね↓


<冒頭>
自然は…まさに驚異だ
惑星、大地、元素、風、水、そして生と死
人知の及ばぬ所で、何とか平衡を保っている。まるで人生のように
子供のころ、僕は勉強や絵が好きだった
全くスポーツには興味がなく、バランスに欠けていたと思う
しかし肉体の重要さを学んだのは、スポーツだ。
そして出会ったのが、マーシャルアーツやカラテだった
そして、技術の向上につれて、人間にとってフィットネスが、
その人生の可能性を左右する非常に重要なものだと悟った
さらにバランス感覚も養えた
肉体…それは酷使に耐え得る精巧なマシーンである
もし修理や調整を怠れば、期待するような働きはできない
長続きせずゴールできないのは頭が悪いとか成功に値しない人間だからというのではない
彼らの肉体が耐久力を持たなかったからだ
鍛えられた健康な肉体であれば、可能性を最大限に引き出せるのに、本当に残念でならない


<休憩時>
※このシーンでは、ミケランジェロのダビデ像の映像などが流れてます
ミケランジェロは「高貴な精神は美しい肉体に宿る」と言った
見てくれ。肉体は歴史上のいかなる文明も魅了してきた
いかなる時代も、健康な肉体と精神を保てと、人々に奨励し続けてきた
では古代ギリシャの像を見習って、我々の体を次の20分間で彫刻していこう


<ラスト>
時々、僕は自問する。どれほどのトレーニングを重ねて来たのかを
どれほどの腹筋、腕立て伏せ、そして、早朝のランニングを…
はたして意味のあることなのか
僕のライフスタイルや体を維持するため、どれだけ繰り返すのだろうか
トレーニングを続ける意志は、さらなる力をもたらすだろう
人生に求めるものを見つけ出す力だ
人生はいまだ戦いの中だ
あらゆるものに価値がある
人生に可能性を求めるなら、ともに頑張ろうじゃないか



「自己啓発本でも読んだの?」的な感じがしなくもないですけど、なんか真面目な性格が伝わってきて、実に好感が持てるというか。いや、ラングレンは本当に良い人なんだろうなって思いましたよ。最後は、ハードな器具が揃ったジムでしっかりトレーニングするラングレンの姿が映って、ビデオは終わってました(というか、むしろジムでのトレーニングメニューを知りたかった…)。


エンディングはこんな感じ↓




ちなみに、途中で流れて「なんか良い歌だな~」と思ったら、ジャーメイン・ジャクソンの「Do you remember me?」という曲でした↓




あと、最後にどうしても書いておきたいことがありまして。いろいろ検索して分かったんですが、このビデオって、製作に関わっている人がそこそこの作品に出演していたり、意外と業界に残っていたり、今ではかなりの大物になっていたりするんですよ。


“ストレスが溜まってる人”を演じたフレッド・デルーカ jr.は残ってないみたいですが…。
三角絞めでつかまえて-ストレスを溜め込んだ人


まず、ラングレンと一緒に縄跳びをしたり、砂浜を走ったりした人たちですが、黒髪の方がマーク・デ・アレッサンドロというハリウッドの大作でも活躍しまくっている超有名なスタントマン。「ロッキー・ザ・ファイナル」ではシルベスター・スタローンのダブルをこなしているなど、スタローンとの関係はかなり深そうだったり。ラングレン作品でも「ストーム・キャッチャー」「バトル・ライダー」で絡んでました(というか、スタント・コーディネーターのコイツがもっと頑張れば「バトル・ライダー」は良作になってたハズ!)。もう1人のフランク・ザカリーノもB級アクションを中心に現在でも頑張っている方ですな。

砂浜のシーンに出てきた女性たちも、アンジェラ・ダウンは「若草物語」で知られている人だし、アデル・ヨシオカなんて「ダーティハリー2」のサニー役って、ちょっとスゴくないですか? George Pipasikは(日本語読みが不明…)、クレジットでは「Gym owner」という表記なので、エンディングでちょっと出てきてラングレンと握手をした人だと思うんですが、彼は「ロッキー4」に絡んでいるだけではなく、なんと「ランボー 最後の戦場」にスタローンのトレーナーとして参加しているっぽい。なんかラングレン周辺とスタローン周辺のスタッフのリンクっぷりに“仲間感”を感じてうれしくなるのは僕だけでしょうか?

音楽を担当したW・マイケル・ルイスはロジャー・コーマンが「子連れ狼」をアメリカ向けに再編集した「Shogun Assassin」の音楽を手がけていたり、撮影のマーク・ウッズは今もB級畑で活躍していたり…。そして、何よりも驚いたのが、なんと「プロダクションアシスタント」として、あのクエンティン・タランティーノが参加してたんですよ!


一番下に名前が!
三角絞めでつかまえて-エンドロールにタランティーノ


ということで、無闇に長くなって本当に申し訳ありませんが、このビデオは単にラングレンの魅力が詰まっているだけではなく、ラングレンとタランティーノの“交点”という意味でも非常に重要な作品なので、ファンの人はチェックしといた方が良いと思いますよ。まぁ、チェックしたから何だって気もしますが。もしタランティーノに聞いたとしても「ちょっと手伝っただけだから覚えてない」とか、そんな感じなんだろうなぁ…。




微妙に愉快なので、ファンなら必携だけど、ファンじゃない人は絶対買わない方が良いと思います。
三角絞めでつかまえて-健介ブートキャンプ
佐々木健介の健介ブートキャンプ!! [DVD]