私たち理容師になくてはならないものと言ったら「ハサミ」と「櫛」と「カミソリ」ですね。
さらにもうひとつ付け加えるなら髭剃りのときに泡を立てるブラシ、、、正式名称「ひげブラシ」(そのままやん)が挙げられるでしょう
実はこのひげブラシが現在困ったことになっていまして、、、
私が理容師になるよりずっと前、、、多分誰かが理容店で髭を剃るようにしようと言い出した当時からひげブラシは「穴熊」や「豚毛」など天然の動物の毛を使っていました。それぞれ特徴はあるものの、これらは天然毛ならではの優しい肌当たりと豊かな泡立ちで、ご存知のようにとても心地よいものです
それが昨今の環境保護、動物愛護の流れから天然毛が入手困難になり、それに代えて人工毛のひげブラシになりつつあるんです
右が天然毛、左が人工毛
上の写真で比べてみると一見人工毛の方が毛先が揃っていて良さそうですが、実際使ってみたところ絵の具の筆みたいな硬さで泡もろくに立ちませんでした。
慣れない自分の使い方が悪いのかと思って泡の素をたくさん入れてみたり、逆に水を増やしてみたり色々やっていたら、、、
取れちゃいました
以前にも、それまで当たり前のように櫛の材料として使われてきた「水牛の角」や「ベッコウ」がワシントン条約により輸入禁止となり、自動的に私たちの職場から消えていったように(実は何本か隠し持っています)、今後は天然毛のひげブラシも同じ運命を辿ることが大いに予想されます。これも時代の流れなので仕方ありませんが、当店では少しでも長く天然毛のひげブラシを使い続けようと問屋さんと交渉して入手に向けて手を尽くしてもらっているところです。
また、メーカーさんには人工毛ひげブラシのさらなる品質の改善をお願いしておいたので、それまでにはもっと良い商品が出てくるのを期待しましょう。
せっかくのシェービングタイムが泡の立たないブラシで台無し、、、なんてことのないよう願いたいものです。