女将「はい、どなた?」
伊勢谷「あ、あの、お菓子と、お酒?て、親父は?」
女将「源氏屋さんに、お菓子、もらいすぎで、渡しに、出掛けてしまってね。お上がりなさいよ。」
伊勢谷「お邪魔します。」
女将「はい、いらっしゃいませ。今は、奥で、頂いた、お菓子に、お茶、入れようかとね。」
伊勢谷「はぁ、奥で?ならば、僕が、お茶入れようか?」
女将「ええ、ありがたい。そんならお願いしょうかね。」
伊勢谷「2階より?広いんですね?」
女将「ええ、踊りや、歌、三味線、お琴までね、出来ますよ。」
伊勢谷「まぁ、こんな感じでね。」
女将「頂きます。」
女将「結構な御手前ですよ。」
伊勢谷「いえいえ。まぁ、若いときから、遊んでますのでね。」
女将「そーでしょうね。ええと思います。」
伊勢谷「いつもは、こちらの部屋で、お稲荷さまに、5万円、置いたけど。」
女将「そちらの表庭とは、違うでしょう?なんか、2階の客が、逃げられないように?とかなのにね?」
伊勢谷「お二階で、もう、逃げませんよ。」
女将「春はね、こんな風なの。」
伊勢谷「良いじゃないですかね♪藤棚に、池に、ツツジも。」
女将「楓が、いたときは、これに、しだれ桜を、入れたかったけどね。」
伊勢谷「お水?菖蒲は、どーでしょうかね?」
女将「菖蒲ね、男庭(おにわ)さんに、伺う。」
伊勢谷「男庭(おにわ)さん?はぁ、そーですね、女将は、女ですもんね。」
女将「あ、ねぇ、お着物?見立てて、頂けますか?」
伊勢谷「ええ、どんな感じ?」
女将「楓に、これで?良いかね?」
伊勢谷「それで、いいですね。大人ぽい。それは、振り袖だろうけど、切り終えて、折り曲げても、綺麗ですよ。」
女将「良かった。」
伊勢谷「でも、以前は?」
女将「染谷さんに、選ばれてね。こんなの着ている。」
伊勢谷「お写真?拝見しましょう。」
伊勢谷「男の子の、母親なんだし、女将の、お着物で、よいでしょう。」
女将「まぁ、ありがとう。」
劇作 園章