父は、母が元気なものと信じていました。
それが、周りの人にとっては、困った種となりました。
父は、いつまでも母は、元気。何をしてもいても母が寝たままというのがおかしいと感じていたかはわかりませんが、起きろとよく言っていたようです。
部屋も隣同士、だから、母の所にすぐに行けてしまうんです。
老衰となっていくと食べられなくなるということは、この時、よくわかりました。
これまで老衰によって亡くなるという話は、よく聞いていたのですが、こういうことなのかということがよくわかりました。
父にとって母が亡くなるとは思っていなかったようです。
「なぜ、ご飯を食べないのか?」そのことが一番だったようですが、すぐに1分前のことも忘れてしまう父。
何度も何度も同じことの繰り返し。
だんだんと利用者さん達の中に出てこない母。
何度も何度も母のことがなぜ、なぜ。
忘れてしまいながらも母のことが気になっていた父でした。
元気な父は、母がご飯を食べないことに対して何回も職員さんに聞いていたようですが、母は、「あとから、食べるから食べてね。」とか話し、うまく対処してくれていました。
しかし、母の部屋には、入りびたりの父。
母をゆっくりさせてあげたいと職員の皆さんも思うのですが、それが一番難しかったようです。