仕事<父の備忘録063 | かめおかゆみこの≪表現するからだとことば≫塾

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かめおかゆみこ  です。 

 

いつのときか忘れたが、ある国有林の近くを車
で通りかかったとき、父が言った。
「このへんの木は俺が植えたんだ」
 
この発言、ある意味では合っているが、ある意味
ではちょっとちがっている。というのも、父の仕事
は庶務であって、現場の作業ではないからだ。
 
だから、正確に言うと、「このへん(区画)に、どの
ように植林するかを計画・指示したのは、俺(を
ふくめた部署)だ」ということになるだろうか。
 
父は、18歳で営林署に入り、60歳で定年退職す
るまでつとめたが、なぜ営林署を選んだのかは
知らない。訊いたこともない気がする。
 
父は、仕事はまじめにやったひとだと思うが、仕
事中毒ではなかった。私の記憶では、ほぼ毎
日、定刻に帰宅していた。
 
最後の小清水営林署勤務のときは、職場が官
舎から徒歩30秒くらいのところにあったから、17
時5分には、もう家にいた印象がある。爆  笑
 
たまに残業があるときには、晩ごはんを家族で
食べてから、再度出勤していた。
 
その意味では、「5時から男」であったわけだが、
実際、父においては、仕事よりも趣味を楽しんで
いた印象のほうが強い。
 
それでも、父は、山の木の種類はすべて知って
いたし、草花のことについても詳しかった。
 
上述した、「俺が植えた」という発言のときも、そ
のことばの裏に、誇りのようなニュアンスが感じ
られた。
 
だから、最初がどうであったかは知らないが、仕
事をするうちに、好きになり、誇りをもつように
なっていったのかもしれない、と思う。
 
本棚には、北海道の植物などの図鑑が何冊も
残されていた。「こういうの、処分しづらくてね」
と、母がぽつんと言った。
 
父の仕事の話は、もう少し聴いておいてもよかっ
たな…と、いまになって思っている。
 
※写真はイメージです
SabineによるPixabayからの画像

 

 

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