お伊勢さまへ初参りに行って参りました・・。
今年は、もう二つお参りの目的がありまして。
何時お伺いしても伊勢の地へ近づくにつれ清々しい気持ちになります。
参拝の手順は定石通り、まずは外宮の豊受大御神さまからです。
最初、外宮様で写真の一枚を撮影するとき恐れ多く、
何を撮影してもよいのか、何を避けるべきなのか選択に苦慮してしまうのですが、
ことしはこの「清盛楠」から撮影してみました。

太刀でなぎ払ったという逸話からついた名だと言うことですが。
樹齢800年余、伊勢湾台風の被害を経てもなお、樹勢元気で貫禄いっぱいに枝を広げています。
これも伊勢の地力に根ざしているせいでしょうか。
外宮様ではもう一枚、撮影させていただきました。

一昨年まで20年間、荘厳な神明造りのお社がそびえていた、古殿地の瑞垣です。
新しいお社を撮影するのは恐れ多いこと(一般の方でもご自宅を見ず知らずのものに、
むやみやたらに撮影されるのは快く思わないのと同じ、と小生は思ってますので・・)
なので古殿地といえど罰当たりかとは思ったのですが・・。
こうしてみると、瑞垣の中にも多くの古巨木があるのにびっくりいたします。
幾千年もの間、お社が建て変わる景色をずっと見つめつつ、
伊勢の地の幾多の木々の代表として、
太く大きく大地に根ざして瑞垣をお守りされているように感じてしまいます。
そうした木々に囲まれた古殿地にぽっかりと空いた空に清冽な朝の光が差し込み始めました・・。
さて、内宮様へと向かいます。

まだ朝早いせいか、おはらい町は商いは始まっおらず、
古い街並みを残す通り沿いの商店も静かな佇まいを見せています。
電柱地中化とともに新しい民家や商店も外観は昔ながらの「下目板張り」の外観に統一され、
朝日が作り出す明暗が実に美しい景色となっていました。
そんな、おはらい町の中でも一際忙しそうに人の出入りがあるお店が一軒・・。

「赤福」さんです。
二つ目の目的はこの「赤福」さんの竈にお会いするためです。
この竈には「三宝荒神」さまが宿られていると言われておりまして、
小生が幼少だったずいぶん昔、拙宅にも薪炊きの竈があった頃(お釜場と呼んでました)、
荒神様をまつっていたのですがお釜場がなくなり、
祖父が亡くなっていつしかおまつりしなくなって幾十年。
数年前にこちらでお茶いただき、この竈を拝見して、
改めて荒神様をおまつりすることを決めた、
という小生にとっては有り難い竈さまなのです。
冬の朝の肌寒い気の中、沸き立つ竈から立ち上る湯気が、
繁盛の証のように店先にもうもうと立ちこめて、
「赤福」さんがすでにお店を開いていることを教えてくれています。
「赤福」さんの屋根上には懐かしい雨よけ傘つきの煙突・・。

この煙突は竈様から直接つながっていて、薪の燃える香ばしい香りを立ち上らせています。
五十鈴川にかかる橋の袂に建つ「赤福」さん、これがきっといにしえの茶店の朝の風景なのでしょうね。
さて、内宮様への入り口、宇治橋へと到着。
なにやら、ご参拝の皆様が、皆写真を撮っていらっしゃいます。
何事かと小生も鳥居正面に立ってみましたら。

なんと、鳥居の正面からお日様が昇っています。
思わず小生も唸ってしまいました。「こりゃすげえ!ゃ・・・」。
まさにここぞ、内宮様だと。。
さてさて、宇治橋を渡って内宮宮域へと入らせていただこうとしておりますと。
烏が一羽。

ハシボソガラスとおぼしき烏ですが、色つやといい、目つきといい・・。
もしかして八咫烏??と真ん中の脚を探しましたが、ここは伊勢。
熊野のお使い、八咫烏がここにおるはずも無く。
烏といえど神域では神々しくみえるもので・・。

さて、手水舎と五十鈴川御手洗場をへて正宮へと向かいますが、
今回は瀧祭宮へお参りしてから神杜の原生林の中の道を進んで、
風日祈宮へ向かいました。
風日祈宮橋の袂につくとこの景色が目に入りました。
こちらは古殿です。一昨年の式年遷宮の後、ご遷座されて一年と少したった頃と思います。
その原生林は古大木がうっそうと繁っているのですが、
昨年夏、お参りさせていただきましたときは未だ、殿舎のお建ち替えの最中でしたが、
こちらの境内にも大楠があります。かなりの大木で古木と思いますが、
こちらは宮域に一本、多くの杉に混じってすっくと立っている松です。

正宮の御前でも目にする景色ですが、撮影はどうしても控えてしまいます。
なので、畏れつつもここで撮影させていただきました。
そして、風日祈宮をお参りさせていただきます。

神が新殿にお移りになりお住まいにおらなくなると、たちまち痛みが進むのでしょうか。
一昨昨年、お参りさせていただいた時はこれほど痛んでおらなかったと。
この世に生まれしものは、時を経て滅すれば、全て土に帰る、
自然の流れは神代の昔から変わらない流れなのでしょうね。
風日祈宮をお参りしたあと、正宮へ向かう道すがらの左右には伊勢の原生林が広がっています。

そこからの木漏れ日が、榊でしょうか初々しい若葉を浮きあがらせ照らしています。
こうしてみると、陽の光さえ透明感のある清々しさを感じられてしまいます。
内宮様のお参りを終えて、商いの始まったおはらい町で腹ペコの中、
あれこれ(伊勢うどん+松坂牛串カツ/コロッケ+節分鰯焼き+赤福ぜんざい+赤福+まるごとミカン大福)
ふぅ満腹!と遅い朝食をとった後は最後の目的地、月読宮様へと向かいます。

今はもうすっかり新殿へ遷座されてお社が高くなったお日様と青空に照らされてまぶしく光っていました。
この景色を見るに着け、なんだかとても嬉しく思いました。
月読宮様は三貴神、月読命さまをお祭りするお社です。
殿舎の瑞垣内はあまり高い木々はそびえておらず、
空が広く高く広がっていてとても明るい印象を感じるご神域です。
表参道は神宮さまの宮域と同じく高い木々に囲まれていますが、
その木漏れ日はより明るく感じられました。
小生は車でしたので、駐車場のある裏参道からお参りさせていただきましたが、
この道すがら宮域に蘆原神社がございます。

きれいな木肌で若々しくそれでいて月読宮様の杜を大きく覆って存在感を示しています。
倭姫命さまがお祭りされている倭姫宮様へもお参りさせていただきました。

下枝ははらわれているようで、スックと姿の美しいまっすぐな松です。
手水舎でシジュウカラが水浴びをしていました。
おいおい、さっきそこで口を洗いだんだけど・・。
この後、外宮様の別宮の月夜見宮様をお参りさせていただき、
御札を授かりまして帰路につきました。
伊勢の地は先にも記しましたが、何時お伺いしても気持ちの良い地でございます。
これからの季節は、だんだんと春に向かって、さらに華やいで来る季節です。
皆様も、是非お伊勢参りに出かけられてみてはいかがでしょうか。
今は伊勢道を走れば横浜からも4時間弱で走りきれますし、
仕事の後、夜、走るにしても22時くらいまでなら、
途中の刈谷ハイウェイオアシス隣接の温泉でひとっ風呂浴びて、
体を清めてからのお参りも可能です。
あとはどこで車中泊するか、決めるだけ・・。
さあ、春宵の月読命さまに見守られながら、
お参りに出かけてみませんか?。