目覚めると、私は闇の中にいた。
交通事故により全身不随のうえ音も視覚も、五感のすべてを奪われていたのだ。残ったのは右手の皮膚感覚のみ。
ピアニストの妻はその腕を鍵盤に見立て、日々の思いを演奏で伝えることを思いつく。それは永劫の囚人となった私の唯一の救いとなるが……。
表題作の他、「Colling You」「傷」など傑作短篇5作とリリカルな怪作「ボクの賢いパンツくん」、書き落とし最新作「ウソカノ」の2作を初収録。
内容(「BOOK」データベース)より
『夏と花火と私の死体』を読んだ後に読んだので、同じ作者かと疑うほど衝撃を受けたことを覚えています。
切なくてほのぼのした話がたくさんでした。
個人的に一番スキなのは、『しあわせは子猫のかたち』です。
もちろん、容態作の『失はれる物語』も、『Colling You』も『傷』も切なくて素敵です。
『ボクの賢いパンツくん』は脱力系のゆるい話です。
3ページ強しかないのに、長い話ばかり絵集中していたところにいい息抜きになりました。