九歳の夏休み、少女は殺された。あまりに無邪気な殺人者によって、あっけなく―。
こうして、ひとつの死体をめぐる、幼い兄妹の悪夢のような四日間の冒険が始まった。次々に訪れる危機。彼らは大人たちの追及から逃れることができるのか?
死体をどこへ隠せばいいのか?恐るべき子供たちを描き、斬新な語り口でホラー界を驚愕させた、早熟な才能・乙一のデビュー作、文庫化なる。第六回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞受賞作。
内容（「BOOK」データベースより）
主人公？というか、一人称となる人物が全く動いていないのにストーリーが進むのが面白い。
読んでる内はタイトルほど怖くないな、と思っていたし、子供達の奮闘振りが逆にかわいかったです。
でも、読み終わって内容を思い出しているとぞくっとします。
死体を隠すことを楽しんでいるような兄と、怯える妹。読み終わってから『どちらかだけじゃ面白くないし、物語も進行しないだろうな』と思いました。
とにかく無駄がない。
もう一本収録されている、『優子』も面白いです。
最初は『ふーん、優子っていないんだ』としか思えなかったのに、最後の最後にいるような気もするし、いないような気もするし……、とどっちかよく分からなくて混乱してしまいました。
ご主人と清音、どっちが正しいのか分からない話です。
タイトルで腰が引けてしまうかもしれませんが、グロくはないです。
語り手が九歳で、死体で……、というのも忘れるぐらい淡々と、事実だけを語っています。
怪談シーズンに読みたい本だと思います。