秋うらら

　先日、散歩がてら久しぶりに近所

の商店街を歩いた。　

秋うらら、この季節の散歩はやはり

いい。　私は上機嫌で午前の商店

街を歩いた。　

　しばらく歩いていると、ふと、青果

店が目に入った。　こぢんまりとした

店には様々な果物が並び、店先に

は

数種類のジュースが入ったミキサー

が置かれていた。

　4月に胃潰瘍で入院し、そして10

月にはコロナ感染。　今日、ふと商

店街を歩いてみようと思ったのは、

これを飲んで健康になれという天啓

だったのではないか。

私は引き寄せられるように青果店

の前に立った。　

　店は人のよさそうな老夫婦が営ん

でおり、私はお婆さんにマンゴージ

ュースを頼んだ。　品書きを見ると、

紙コップより一回りほど大きいカッ

プで250円。　いい値段である。　だ

が、搾りたてのフレッシュジュースだ

それくらいするだろう。　心地いいこ

の季節、外で飲む搾りたてフレッシ

ュマンゴージュースはどんな味がす

るだろうか・・・。

　出ぇへん・・・

不意にお婆さんが言った。　見ると

どうやらミキサーの蛇口が故障して

いるようでジュースが出ない様子。

すると、それを聞いたお爺さんが冷

蔵庫から大きな紙パックを取り出し

私のカップに中身を注ぎだした。

私の目は釘付けとなった。　そして

今年一番の「え？」を心の中で言

った。

　市販のマンゴージュースじゃね？

　市販のマンゴージュースじゃね？

心の中で繰り返しつつ、私はお婆さ

んからジュースを受け取り、250円を

支払った。

　何だ？　何なんだ？　あのお爺さ

ん冷蔵庫から市販されているような

マンゴージュースを出したぞ。　あ

のミキサーに入ってるマンゴージュ

ースもそうなのか？　確かに店の果

物を使った搾りたてジュースなどと、

どこにも書いていなかった。　書いて

いなかったが青果店の店先で、しか

もミキサーに入ったジュースを見ると

誰だって