先日、タバコを買いに行くついでに散歩をするようになったという記事を書い
たが、昨日は、近所を通る高速道路高架下にある遊歩道をぶらぶらと歩いた。
その遊歩道には浅い水路が通っていて、そのせせらぎを聴きながら歩くのが
心地いい。 去年の夏、その水路で浮き輪と水着姿で本格的に泳ぐ、女子小
学生見て、驚くと同時に大丈夫かと思いつつも、昭和のガキを彷彿とさせる逞し
い姿に懐かしさを覚えたものだが、さすがにこの季節にそんな子供はおらず、
それどころか人影もなく、遊歩道は閑散としていた。
しばらく歩いていると、前方の植え込みから、なんとも良い色合いの野良猫が
現れた。
野良猫は人に馴れているのか、私が、チチチ、と声をかけると、ニャ、と、とても
美しい声で返事をした。 私は野良猫にノラ夫を名付けた。 ノラ夫は、付かず離
れず私の歩く速度に合わせ、私の少し前を歩きだした。 ノラ夫が仲間になった。
私が声をかける度に振り向いて、ニャ、と、返事をするノラ夫は、まるで私に自分
の散歩コースを案内してくれているかのようで、ここでいつも爪を研いでいるんや
で、という感じで私に爪を研いで見せてくれたりした。 私も、そんなサービス精神
旺盛なノラ夫に、ほう、かっこええですなぁ~、などと声をかけた。 と、その時、ふ
と顔を上げると、
目の前に女性が、うっ・・・、という表情をして立っていた。 女性はノラ夫の存在に
気づいてない様子で、明らかに、大きな声で独り言を言う中年を警戒していた。
私は、しまった! と思った。 そして、早くノラ夫の存在に気づけ! 私は独り言で
はなく、ノラ夫と喋っていたのだ! 決して怪しい者ではない! という念を送った。
すると、念が通じたのか、女性がノラ夫に気づき、あ、という顔をし、笑みを浮かべ
たような複雑な表情で、小走りに私の傍らを通り過ぎた。 私は、気づいてくれたこ
とにほっと胸を撫で下ろしたが、直後に野良猫と大声で話す中年も怪しいのではな
いかという思いが湧き、撫で下ろした物が不安と共に込み上げてきた。 そして、同
時に去年遭遇した、ある出来事を思い出した。
近所のスーパーへ買い物に行ったときのこと。 駐輪場に自転車を止め、ふと見
ると、ポールに大きな犬が繋がれていた。 飼い主は店内で買い物中なのだろう。
犬は大人しく、出入りの激しい入口の傍らでキリリと座って待っている。 そこへ、
同じく買い物に来たのだろう、お婆さんが犬に気づき、トコトコと近づいてゆき、
「お母さんは?」
「ん? そう、待ってるのぉ~」
「かぁーしこぉーいねぇ~」
と、大きな声で話しだした。
人目もはばからず、犬と大声で話す、あのお婆さんの境地に達するには、あと
何年かかるだろうか・・・。 私はノラ夫の後姿を眺めながら思った。
そんなノラ夫は、私の思いなど素知らぬ顔で、草の匂いを嗅いだり、水路を覗き
込んだりしていたのだが、しばらく歩いていると、用事でもあるのか、一度私を振り
返った後、植え込みに入り込み、その向こうの路地へと姿を消した。 私はノラ夫を
見送りながら周囲に誰も居ないのを確認し、忙しそうで、なによりですなぁ、と、声を
かけた。
再び、ひとりになった私は、そのまま歩き続け、スーパーに寄って買い物をした。
この日は大きな犬はおらず、客もまばらであった。
自宅マンションに着き、玄関を開けて、サビ、と、声をかけた。 返事がない。 続
けて二、三度声をかけるも、なしのつぶて。 私はレジ袋から買ってきたサビのおや
つを取り出し、
「おやつ食べる?」
と、声をかけた。 すると、奥から、ニャ~・・・、という、とてもいい返事がした。
ノラ夫
亀久
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