「行きつけのバー」。 なんとも大人びた雰囲気を醸し出す言葉である。 この
言葉に憧れ続けて、もう何年経つだろうか。
私が酒を飲むのは、もっぱら自宅で、稀に飲みに出かけても新世界は通天閣
界隈の居酒屋である。 これはこれで楽しいのだが、私もいいオヤジ。 やはり
「行きつけのバー」 が欲しい。 フラリと自宅を出て行けるような場所にあると尚
いい。 行ったらいいじゃん、と、思われる方もいるだろうが、いかんせんビビッ
てしまうのだ。 飲むといったらビールしか知らぬ酒に無知な私などが行っても
いいのだろうか。 と、思ってしまう。 どうしても二の足を踏んでしまうのだ。
しかし行ってみたい。 そう思い続け、遥か天空のバーを仰ぎ見、畳の上で発
泡酒をのむ日々。 だが、先日、私はついに決心した。
その日は、夜の8時ごろから自宅で飲んでいたのだが、いよいよバーへの憧れ
が抑えきれなくなり、酔った勢いもあって、短パン一丁からジーンズ、Tシャツに
着替え、雪駄を履いて自宅を飛び出した。 「行きつけのバー」 を探しに。
近所には、数軒の飲み屋がある。 私はバーチックな店の前を注意深く観察し
ながら、自分がカウンターでグラスを傾けている光景を想像しつつ、ここはどうか
な・・・、などと呟きながら歩いた。 だが、どれだけ観察しても外観からの情報に
は限界がある。 やはりこういうものは、中に入ってみなければわからない。 私
は、しばらく歩いた後、意を決し、ある店のドアを押した。
ダイニングバーというのだろうか。 店内にはカウンターとテーブル席が4つほ
どあり、とても落ち着いた雰囲気である。
いらっしゃい、と、マスターから声をかけられた私は、緊張の面持ちでカウンタ
ーチェアに腰を下ろし、生ビールを注文した。
静かに、とてもいい塩梅で流れる音楽。 ほどよい照明。 ずらりと並ぶ酒の瓶。
これである。 大人である。 カウンターの他の客も、ひとりで飲みに来ている様子
で、いつもクジ運の悪い私だが、これは大当たりを引いたなと思ったりした。
店内を見回し、ふと、マスターの手元を見ると、私の注文した生ビールの泡の部
分をスプーンで何度も削っている。 なにをしているのだろうか。 程なくして出され
た生ビールを見ると、泡が本当にきめ細かく、まるでクリームのようになっている。
聞くと、入れたての風味を閉じ込めるための泡を作っていたということだ。 飲むと、
本当に美味い。
嬉しくなった私は、生ビールを飲み干し、別の酒にもチャレンジしてみようとメニュ
ーを開いた。 やはり、こういう店に来たのだから他の酒も飲んでみたい。 どれが
どういう酒のか、よくわからなかったが、ページを捲っていると、とてつもなく気にな
る酒を発見した。
「電気ブラン」 。 電気・・・・・・。 電気入りの酒? 説明を読むと、明治からある酒と
いうことだ。 ビリビリと刺激的な舌触りとも書かれている。 恐ろしくも魅力的な酒で
ある。 なにより名前が良い。 私は電気ブランを注文した。
これまた美味い。 これぞ酒、大人の味、という気がしないでもない。 私は電気ブ
ランを立て続けに注文した。
この店は、酒は言うまでもなく、料理の種類も豊富で、なにより美味い。 マスター
も気さくに話しかけてくれ、無知な私に酒のことを色々と教えてくれた。
私が飲んでいる間に、ひとりで来店し、数杯の酒を楽しみ、マスターと談笑して帰っ
てゆく女性客を数人見た。 この店の雰囲気なら女性が気軽にひとりで来店するのも
納得である。 いい店を見つけた。
あれから、まだ 「行きつけ」 と言えるまでは行けてないが、これからも通おうと思っ
ている。
この店は、大手グルメサイトにも掲載されているので、大阪市住之江区御崎にある
笑食楽酒 「こばやん」 。 お近くに住まわれている方や、興味を持たれた方は、ぜひ
行かれてはどうだろうか。
亀久
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ざこば☆さん、サビは無反応ですねー。 まるるなさん、ヘッコキヌシ笑い
ました。 かめちゃんさん、みるぽんさん、ブルさん、poeさん、香波玖さん、
おまめさん、kuropaguokogeさん、平然としてますなー。 さきさん、くらまき
さん、コメント感謝!!
テレビを見なくなって、この夏で1年が経ちました。 以前は、1日中つけて
いて、たまにテレビに話しかけたりするほどだったのですが、我ながら不思
議です。