フタ | もうすこし、生きてみようじゃないか・・・


 先日、イラストの素材をゲットするべく、昼頃、デジカメを片手にふらりと家を出た。 


 外はまるで初夏を思わせるような陽気で、今にも蝉のけたたましい鳴き声が聞こ


えてきそうな暑さであった。


 素材は、特にこういうものが描きたいと決めていたわけではなく、歩いているうち


に何か心にグッとくるものがあれば、それに決定と考えていたので、あてもなく町


を歩き回った。 だが、路地を覗いたり、錆びたトタンをボーッと眺めたりするも、な


かなかグッとくるものはない。 しかもこの暑さだ。 今日は諦めようかと、ふと、足


元を見ると、グッときた。

 

 

 

 




 

 排水溝のフタである。 なぜかは分からないが、このフタにグッときた。 私は素


材をフタに決めた。 素材が決まると、今度はいい感じをかもし出しているフタの写


真が欲しいので、私はフタを求めて歩き回った。


 フタを見つけると立ち止まり、うつむいてフタを真上から見る。 これじゃない。 


またフタを見つけては立ち止まり、フタを真上から見下ろす。 この動作を繰り返し


ていると、正面から歩いてきたオバサンに、なんと、

 

 

 

 

 




挨拶をされた。 


私は、しまった、と思った。 フタを見下ろす動作が、タイミング良くオバサンに挨拶


をするような形になってしまったのである。 瞬時にオバサンと私を気まずい空気


が包む。 どうしよう・・・。


 あ、あのですね、心にグッとくる排水溝のフタをですね・・・、と、排水溝のフタマニ


アを装うかと一瞬考えたが、余計なことを口走ったりすると、新たな問題へと発展


するかもしれない。 私は、誰だっけ・・・、と複雑な表情を浮かべるオバサンの傍ら


を、お忘れですかな? 私ですよ、という引きつった笑みを浮かべつつ通り過ぎた。


そして、そこら辺の排水溝のフタを適当に写真に収め、足早に家に帰った。


 オバサンごめんちゃい。 今度会ったら知り合いになりましょう。

 

 

 

 

 

亀久

 

 

 

 

 

↓ブログランキングに参加しております。 クリックお願いします!

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

皆様、いつもコメント、ランキングへのクリック、ありがとうございます!!

 

花坊(はなヴぉー♀)さん、poeさん、ざこば☆さん、もちこさん、柚子胡椒

 

さん、水でした(笑) さきさん、ゆかさん、おまめさん、まるるなさん、

 

misa0893さん、コメントあじゃじゃしたー!!

 

 

 

 

 

さて、焼きそばでも食べましょうかね。