雪 | もうすこし、生きてみようじゃないか・・・

 先日、友人が遊びに来て酒を飲んだ。 もちろん次の日は二日酔いである。 昼過ぎまで




寝ようと思っていたのだが、ドンドンという音で昼前に起された。 何の音だろうか。 重い頭




を抱えつつ、しばらく音に耳を傾ける。 音はかなり近く、外から聞こえるようだ。 僕は玄関




まで行き、ドアスコープを覗き込んだ。




もうすこし、生きてみようじゃないか・・・




 なんと、同じマンションの住人の子供であろう幼稚園くらいの女の子が、部屋の前の廊下で




縄跳びをしていた。 なぜ、二日酔いの朝にわざわざ僕の部屋の前で女の子が縄跳びをし




ているのかと不思議に思ったが、まあ、縄跳びなら仕方がないと、僕は再び布団に潜り込ん




だ。




 しばらくして目を覚まし、タバコが切れていたので買いに行こうと玄関を出ると、まだ女の子




は縄跳びをしていた。 エレベーターを待っている間、横目でチラチラ見ていると、女の子は




縄跳びがあまり上手ではなく、すぐに縄が足に引っ掛かってしまう。 僕は、ひょっとしたら、




女の子が僕に縄跳びの見本を見せてくれと言ってくるのではないかと思った。 もし言ってき




たら、華麗なるジャンプを披露してやろうと思っていたのだが、その時、雪やこんこ、あられや




こんこ、と童謡 「雪」 がどこからともなく流れてきた。 灯油販売車である。 灯油販売の車




がこの音楽を流しながら、よく近所を回っているのだ。 女の子は、音楽が聴こえた瞬間、凄




まじく早い反応をしめし、縄跳びをほっぽり出して、どこだ!どこだ!と、灯油販売車を探しだ




した。




もうすこし、生きてみようじゃないか・・・




 おったー!と、廊下の手すり越しに背伸びをして下を覗きこんでいた女の子は、灯油販売




車を発見し、大興奮である。 どうやら僕のことなど最初から眼中になかったようだ。




 女の子、縄跳び、雪やこんこ、僕は何だか懐かしい気持ちになって到着したエレベーターに




乗り、1階まで降りていった。 あと、縄跳びせがまれなくてよかったと、ちょっとだけ思ったりし




た。 華麗なジャンプは無理である。






                                                      亀久






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        い限りでございます(笑)





        最近、空を飛ぶ夢を見てないので見たいです。




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