が多く、できもしない約束をよくすると書いたが、そのできもしない約束の
中に、旅行に行こう という話もよく出る。 もちろん行ってない。 しかし、
お互いにいい年である。 いつも口先だけで終わるのも情けない。それで
先月、旅行だけは意地でも行こうと決めた。 そうなると、行き先である。
互いに残念な行動が多く、そういう行動、オーラを吹き飛ばしてくれる場
所がいいということになった。 そして、色々と思案した結果、もうここしか
ないという場所に決めた。 そう、日本有数のパワースポット、伊勢神宮で
ある。
行き先が決まると、次はメンバーである。 何としてもＴと僕との二人旅
だけは避けなければならない。 悲しすぎる。 僕たちは友人に電話をか
け誘った。 しかし、安いからというだけの理由で平日に決めたのがいけ
なかったのか、友人すべてに断られ、結局メンバーは、僕とＴの二名に決
定した。 いきなり残念である。
しかし、旅行は自分から積極的に楽しもうという気持ちが大事である。
前日、僕は酒を控え、朝は7時に起きて、Ｔとの待ち合わせ場所に向か
った。
その日は、ホテルでゆっくりと過ごし、伊勢神宮へは次の日に行こうと決
めた。 一泊二日の旅である。
特急は、三重は鳥羽駅までほぼノンストップ。 車内で僕たちがはしゃい
でいたかというと逆で、二人ともほとんど喋らなかった。 と、言うか喋ること
がない。 帰りの電車なら多少は喋ることもあるだろうが、行きはない。 そ
こが二人旅の寂しいところである。 しかし、電車が出発して20分ほど経っ
た頃、Ｔが、
Ｔ 「亀久・・・」
亀久 「あ？」
Ｔ 「一休さん見てたか・・・？」
亀久 「え？一休さん？アニメの？」
Ｔ 「うん・・・」
亀久 「見てたよ、子供の頃・・・」
Ｔ 「・・・・・」
亀久 「・・・・・」
Ｔ 「いっっっきゅゅぅぅぅさぁぁぁん・・・・」
亀久 「・・・・・・。」
と、突然、アニメ 『一休さん』 に登場する 新右エ門 さんのモノマネを始め
たので、僕は寝たフリをした。 鳥羽駅までは1時間半。
※ その二へ続く。
亀久
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