旅行記 その三 | もうすこし、生きてみようじゃないか・・・
※ その一からお読みください。







 翌朝、我々は朝の6時に起き、一っ風呂浴び、朝食バイキングを食す



べく食堂へ向かった。 もちろん一番乗りである。 思い思いの料理を



トレイに乗せ食べていると、驚いたことに少食のTが、ご飯をお代わりし



た。 やはり残念オーラを払拭すべく、本日の伊勢参りに向けて気合を



入れているのであろう。 僕も身の引き締まる思いである。 しかし、仲



居さんにご飯をバカ盛りにされ、泣きそうになりながら食べているTを見



ると、Tはこのままの方が面白くていいな、と思ったりもした。





 食事を終えた我々は、早く伊勢参りをしたいという思いから、予定より



早くチェックアウトをした。 そして、電車、バスと乗り継ぎ、約束の地、



伊勢神宮へと向かった。



 伊勢神宮に着いたのは、午前10時頃であった。 入り口で神域案内



図をもらい、我々は 『神域』 に足を踏み入れた。



 神社内は広大で、何ともいえない神々しい空気に満ちていた。





 我々はまず、五十鈴川 【いすずがわ】 で手を清め、風日折宮 【かざひ



のみのみや】 に参り、神楽殿 【かぐらでん】 へ行った。 神楽殿にはお



札やお守りが売られている。 僕は、お札とお守りをそれぞれ一つずつ



購入した。 Tは、やはり過去の残念な自分と決別すべく気合が入ってい



るのか、お札やお守りを買い漁っていた。 そして、次はいよいよ伊勢神



宮参詣の中心、皇大神宮 【こうたいじんぐう】 である。 ご祭神は、ご存



知、天照大神。





 お参りの作法は、二拝二拍手一拝である。 僕は何だかこの動作をす



るのが照れ臭く、チョコチョコッと済ませてしまったのだが、Tは違う。 も



う、神様!俺を見ろ!この一生懸命に祈っているオラを見てけろ!と言わ



んばかりにビシッと決めておられた。



 これで我々の残念なオーラも払拭されたであろう。 ただ、僕はTの残念



なオーラが消えてしまうのには身勝手ながら寂しい思いであった。



 帰りの参道を二人でトボトボ歩いていると、池があったので覗いてみた。



 すると、今まで見たこともないような大きなコイが十数尾泳いでいた。 



 僕たちは一斉にカメラを構えた。 僕は素早くコイの写真を3枚ほど撮り、



その写り具合を眺めていたのだが、Tは、まだ1枚も撮らずカメラを構えたま



まじっとしている。 そして次の瞬間、突然コイに向かい真顔で じっとしろ!



と怒鳴った。 僕は、カメラを落としそうになりました。





 さすがのパワースポットも、長年に渡りこびりついてきたTの残念オーラは



簡単には払拭できなかったようである。 僕は嬉しくなった。



 伊勢神宮を出た我々は、すぐ近くにある江戸末期から明治初期の街並み



を再現した土産物屋や飲食店などが並ぶ おかげ横丁 というところへ行き、



買い物をし、伊勢うどんを食べ、シメにビールを飲み帰路についた。



 帰りの特急の中では、二人とも爆睡であった。 



 駅でTと別れ、家に帰ってきた僕は、早速旅の思い出に浸ろうと、撮った



写真をパソコンに取り込んだ。 しかし、写っていたのは、コイ、おかげ横丁



にいたネコ、伊勢神宮の五十鈴川でボーッとしていた青サギ、残念なTばか



りであった。 僕は、肝心な風景などの写真をほとんど撮っていなかったの



である。





 僕の残念オーラも払拭されてないことが判明した。



 また行こう、伊勢神宮。







 おしまい。 皆様、お付き合いありがとうございました。





                                          亀久





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