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✿衣緒side✿


「こちら、新入りの塔野衣緒ちゃんです♪」

「よっよろしくお願いします!!!」

木々も緑に変化して今は5月。

もうすぐ瞬弥の誕生日です。

そのため私はプレゼント代のお金を貯めるため、アルバイトを始めることにしました。

去年までは【幼馴染み】として渡していたけど、今年からは【彼女】としてあげるんだもん!

気合い入れなくっちゃっ!

「衣緒ちゃん、お店についてはわかった?」

「はいっ!だいたいは理解できました」

ここは最近できたカフェ。

アルバイト募集中の張り紙を見てピィーンと来た私は早速、応募したというわけなのです。

女性の店長さんも優しくって、気分上々!

「それじゃぁ今日から接客お願いね?」

「はいっ!がんばります!」

白くてリボンがついたかわいらしいエプロンに着替えて、ウェイトレスとして働くんだけど…

ちょっとドキドキするなぁーっ

何故かというと、私はバイト経験0。

両親が海外で、姉は大学のため県外。

1人暮らしだから、ちゃんとお金は計算して使わなきゃいけない。

でも、両親はちゃんと毎月資金を送ってくれるため、そんなに困ったことはなかった。


けれど、今回はわけが違う。

自分がいいものをプレゼントしたいからって、お小遣いねだるのは悪い気がするしね。

瞬弥の誕生日は17日だから…約2週間!

がんばって瞬弥を喜ばせるんだ!


************


時間も忘れて働いているうちに、時刻は閉店時間になった。

ちょっと疲れたけど、すっごく楽しいってこともわかったし!

初日にしては失敗も少なかったし!

何とかここでやっていけそうだ。

よしっ!

今日は帰って何つくろう?

お店で販売してたパスタとかおいしそうだったし、家で作ってみようかな?

帰る準備が出来た私はお店を出た。

「塔野さぁーん!待って!」

あれ?

あの男の子はお店の厨房にいた……

「西宮 圭(にしみや けい)くん!どうしたの!?」

「はぁ…はぁ…塔野さん……ケータイ、忘れてたみたいで…」

えっ!?

嘘…

鞄の中を探してもケータイが見あたらない…

届けに来てくれたの?

「あっありがとう!わざわざごめんっ…西宮くんって優しいねっ」

「圭でいいよ。…ってあ!そうだ!塔野さん、アド教えてよ!このカフェ、できたばっかだから、いろいろと変更とか多くってさ。知ってたほうがいいかもしんねぇし!」

そうだよねっ!

私だってまだバイトについてわかんないことだらけだ。

圭くんと連絡とっていたほうがいいかもしれない!

「よしっ交換しよう!それと、私も衣緒でいいよー♪」





今日もいつも通りバイトで働く。

瞬弥の誕生日まであと1週間に迫っていた。

圭くんとも店長とも仲よくなれて楽しい毎日!

「衣緒ちゃん!今来たお客さんよろしく!」

「あ、はい!」

接客もだんだん慣れてきたみたい。

いい経験だってたくさんある!

「いらっしゃいませ!ご注文はお決まりでしょーか?」

今日は土曜日。

そのため、お客様は私と同じか少し上の男の学生さん4名。

このカフェは小さな個室の部屋もあってとてもオシャレ♪

丁度、今接客中のお客様も個室で食べるみたい。

私がこのお店に来ても個室を選ぶだろうなぁー♪

この雰囲気、素敵だもん!

「注文ね……ってかウェイトレスさんかわいい!」

………はい?

急に発したお客様の言葉に頭は混乱。

私が……かわいい?

「本当だ!めっちゃかわいい♪」

「ねぇねぇ、名前とアド教えてよ!」

って言われても…

接客はちゃんとしなきゃいけないし…

「わ、私仕事中なので…」

「ちょっとくらい、いいじゃん!」

「え?ちょっあっ!!!」

そう言うと、少し強引にソファに座らされる。

えぇぇええ!?

勤務時間中なのに、こんなことしてたらクビになっちゃうよー汗))

それに、この人たち、ちょっと怖いし…

「あのー…本当私、戻らなきゃダメなんで…!」

「それは無理っ!」

なっ何で!?

無理なのは私の方なんだけどなぁー…汗))

でもお客様だから変に逆らったらいけないし…

どうしよう…

ガシッ))

「え?あのっ困りますっ!」

1人の男の人に腕を捕まれた。

「あははっ!怒った顔もかわいいね!」



私はただの店員なのに何でこんなことするの!?

怖い…

怖い……

誰か………

バンッ!!!))

突然大きな音をたててドアが開いた。

…というか開けられた。

「お客様?俺の彼女に手出していいんですか?」

爽やかなこの声は…

圭くん…?

「は?あぁー…てめぇの彼女?んなもん知るかよ」

なっ!?

「ちょっ離してくださいっ!」

「何で?いいじゃん、別に!彼氏いたってここではただの店員同士なんだからさ」

なんてこと言うの、この人!

そんなこと言ったら、こっちだって、ただの店員とお客様じゃないかっ!

「本当に離してくださいっ!」

ぐいっ))

ぱっと細い腕が私の腕をつかむ。

圭くんが…助けてくれた?

「行こ?衣緒」

「あ、うん!」

そのまま手を繋いで私を引っ張ってくれた。

「どこ行くの?私、怪我とかはしてないから大丈夫だよ!」

「ダメ。大丈夫じゃないだろう?」

ん…?

着いた場所は休憩室。

私、怪我なんてしてないのに…

何で?

「ごめんっ!」

え……――

ごめん?

「圭くんが何を謝るの?何も悪いことなんてしてないじゃん!」

「彼女扱いしたり、呼び捨てでよんだりして…イヤだったろ?」

「イヤなんかじゃないよ!助けてくれたこと…嬉しかった!」

圭くんには助けられてばっかりだなぁー…

このお店のことだって、メールでいっぱい教えてくれたし…

初対面の時だってケータイ届けてくれたり…

「圭くんて本当に優しいよね……ありがとう」

どんな時でも助けてくれる圭くん。

かっこよかった。

別に【好き】とかそういう意味はないけどねっ?



…あれ?

何故か圭くんは顔をそらしていた。

私…おかしなこと言ったかな!?

「どうしたの圭くん?何か気に障ること…あったかな…?」

怒らせちゃった?

「違う…」

振り返った圭くんの顔は真っ赤だった。

やっぱり変なこと言っちゃった!?

「俺は優しくなんかない」

「えぇぇ?圭くんは優しいよ!」

だって…

いつだって助けてくれたんだもん…

それだけで優しいって言えると思う。

「俺は元々優しくなんかないんだ…

ただ…―――――好きだから優しくなるだけだし…」



へ?


す………き?


誰が……誰を?


圭くんが…私を…?



「あっ!お店のこと?そうだよね…圭くん、誰よりもがんばって働いてるもん」

私バカ!?

一瞬、自惚れそうになっちゃった…

圭くんみたいな優しい人が私みたいなドジな子、好きになるわけないじゃん…!

「ちげぇよ!!!俺は…衣緒さんが……―衣緒が好き」

ぎゅっ))

圭くんが私を優しく引き寄せて、抱きしめた。



ど……いうこと?

好き?

好きって愛の方の好き?

これって何かの間違え?

夢?

私、寝てる?

もう………思考が…回んない…


ガチャッ))

「衣緒…!絡まれたって聞いたけど大丈夫……か?」

……………

―――――――――

えぇえええええええええええええ!?

しゅっ瞬弥?


新たな展開が待ち受けそう…っ!