映画(見る)と小説(読むのと書くの)の感想-エクスペンダブルズ


「エクスペンダブルズ」


監督:シルベスター・スタローン

出演:シルベスター・スタローン ジェイソン・ステイサム ジェット・リー 

    ドルフ・ラングレン スティーブ・オースティン エリック・ロバーツ ミッキー・ローク 

脚本: シルヴェスター・スタローン デヴィッド・キャラハム
撮影: ジェフリー・キンボール

生産国:アメリカ


星取り ★★★★

(星取り説明 → ★★★★★最高 ★★★★感動 ★★★満足 ★★不満足 ★最悪)


あらすじ

シルベスター・スタローン監督・脚本・主演による80年代アクション礼賛映画。

エクスペンダブルズ(消耗品)と呼ばれる最強傭兵軍団たちが、

依頼主により軍事政権により侵された南国の小島を救うべく乗り込んでいく…・…。




正直に告白すると、私はスタローンを愛していて、80年代のアクション映画で育ってきた人間です。

で、この映画。いや、待ってましたというより、

本当にこんな夢のような映画を作ってくれて、ありがとうと

エンドロールを見ながら久しぶりに胸が熱くなりました。



まずファーストシーン。

80年代映画にはおなじみ、

「夜景にかすむ色とりどりのネオンのアップ」ではじまり

「ネオンがひくと、バイク集団(もちろんハーレー)が夜のハイウェイを陣取り」

「バイクのスカルマークがアップになって、クレジットタイトル代わりにエクスペンダブルズと書いてある…」

ですよ。


これをギャグでもなく、シャレでもなく正攻法で見せてしまう、しかも大切なファーストシーンで、

ここにまずスタローンの心意気を感じ、すでに感動。


ストーリーは、正義感溢れるならず者たちが、酷い目にあっている美女と市民を助けるという

非常にシンプルなもの。


そして、アクション映画の定石に従い、

冒頭の軽いジャブアクション、中盤のカーチェイスとファイトシーン、

ラスト、見せ場としてファイトシーン&爆発系アクションという親しみやすい構成になっています。

台詞は、主人公たちを早く愛せるよう、人間味あふれる魅力的なものに限り、

主人公のならず者たちは、ケンカしながらもお互いを信頼しあい、友情を深めていくという

非常に気持ちのいいストーリー。

どこまでもアクションを楽しんでもらうためだけに作られたシナリオです。


カーチェイスシーンは、状況把握がむずかしく、イマイチだなあと思いましたが

やっぱりファイトシーンの面白さは格別。

いつならスタローンは、基本的に一人で孤独に闘う男、ですが、今回は違う。仲間がいる。

そして、その仲間は皆スター。

と言うわけで、1人VS集団の戦いではなく、

6組同時に1人VS1人で闘うという前代未聞のファイトシーンが繰り広げられ…

どこで誰が戦っているのか、あのタックルされた人は誰なのか?

それともここでボンバーされたのは?


手持ちカメラでアップ中心にスクリーンに映し出される戦いは入り乱れ、

当然興奮は倍増し、一つのシーンで6倍おいしいような、映画で一番大切な

とにかくなんだかよくわかんないけど、めちゃくちゃ楽しい、興奮する~

を実現してくれている。

この映画のベストバウトでは?


この映画を語るときに、そのゴージャスすぎる役者陣抜きなんてありえないこと。

まず、主演のスタローンの相方に「トランスポーター」で

一躍アクションスターになったジェイソン・ステイサム。

スライと彼のコンビは新鮮で、オールドスターが揃っている中、

現役バリバリのステイサムは美味しい。


その二人の支えるチビの中国人が、我らが闘神、ジェット・リー。

ジェット・リーの見せ場が少ないのが、ちょっと不満だけれども、まあお祭り映画だし、

特に手榴弾を投げ込むシーンなんかは非常にかっこよかったから、まあよし。


特筆すべきはドルフ・ラングレンのかっこよさ。彼は本当にかっこいい。

もっともっと表舞台に!


また、悪役でドスを効かせた元青春スター、エリック・ロバーツ。

その昔、「暴走機関車」や「悪の華」とか本当にかっこよかった…・。

こちらも「スペシャリスト」以来の共演か?「エクスペンダブルズ」でも美味しい悪役、うれしかった。


その手下を演じていたスティーブ・オースティン!!

「監獄島」なんかで主役をつとめていたけれど、なんといってもWWE最大の大スター。

私もサイン会行きました。彼のスカルペンダント使ってます。彼のDVDも持ってます…。

ストーンコールド スティーブン・オースティンのカリスマぶりは、

プロレスファンでないと分からないかもしれない。

だけど、映画でもがんばってと、とにかくファンならではのエールを

こんな日本の片隅から送らせてください。



ほか、ミッキー・ロークもブルース・ウィルスも

登場で場内が湧きまくったシュワルツネッガーも。

アクション映画ファンにとって、本当に大事な大事な宝物。


大スター、スタローンが本当に偉大な映画人であることを確認し、

まだまだがんばる決意表明を受け取り、

私、なにやってんだろ、私もがんばんなきゃ失礼だろ!と

素直に熱くなれました。

これぞ、映画。傑作。映画はこうあるべき、本気でそう思います。




監督: 瀧本智行

原作: 阿川佐和子

脚本: 青木研次

撮影: 柴主高秀

出演: 坂井真紀 西島隆弘 加賀まりこ 藤竜也

生産国:日本

星取り ★★★

(星取り説明 → ★★★★★最高 ★★★★感動 ★★★満足 ★★不満足 ★最悪)



あらすじ

一人で暮らす35歳の独身女性の一軒家に

初老の遊び人と若いフリーターの男が転がり込んで、巻き起こるハートウォーミングドラマ。



いい映画だった。とてもいい映画。

私は、昔から女性っぽい世界観が非常に苦手で、

今回も長年のあこがれの的、藤竜也氏のアロハシャツ姿を見たい、

その一念で劇場でかけた。


しかし…いい映画じゃないか!


もともと現実感の薄いストーリーであるため

冒頭からのファンシーギャグで箱庭感を出し、中和。

そのうえで、丁寧に丁寧にシーンを切り取っていく。

シーンごとは丁寧だが、全体的にテンポはよいので快調に映画は進んでいる。

どうにも受け入れられなかったファンシーギャグも、

基本通りに繰り返し繰り返し挿入されると馴染んでくる、親しみがわいてくる。

周りの女性たちは結構爆笑だったし。

俳優たちもかなりオーバーなコメディ演技を義務づけられており

寒さと紙一重のところをくぐった主演の坂井真紀は素直に感嘆したほか

カワイイ芝居を心がける藤竜也のチャレンジはファンとして心強い限り。

しかも、非常に美しい(これはファンならでは)。



題名にもついている”スープ”は映画でも非常に重要な役割で出てくるが

決してグルメ映画というわけではない。

スープがおいしいと思えるうちは、人生大丈夫という

テーマはかなり厳しい。

ファンシーな包み紙でごまかしつつも

内容は本格派の人間ドラマ。

生活感を出さずとも、出さないからこそ、人間を描けることもあるんだと

プロの手腕に感動。




人生や日常生活につかれた人(特に独り者に)オススメした佳作である。



監督: シェカール・カプール 

脚本: ウィリアム・ニコルソン マイケル・ハースト 

撮影: レミ・アデファラシン 

出演: ケイト・ブランシェット ジェフリー・ラッシュ クライヴ・オーウェン
    
リス・エヴァンス サマンサ・モートン

生産国:イギリス

星取り ★★★

(星取り説明 → ★★★★★最高 ★★★★感動 ★★★満足 ★★不満足 ★最悪)


あらすじ

オスカーにもノミネートされた「エリザベス」の続編。

大国スペインとの対立を軸に、

エリザベス女王の苦悩の末の自己の確立を絢爛豪華に描く歴史絵巻。



豪華。ケイト・ブランシェットの美しさ。

しかし…女としてこの映画を見た場合、辛すぎて涙が止まらない。

好きな男は若い女に走り、自らは女王としての立場のため

取り乱すことすら許されない。

恋愛にうつつを抜かす暇もなく、

スペインとの対立は進み、自ら暗殺されかける…。


こんな悲劇は他にあるか?

強い女を回りから強要され、自らもその運命に殉じた余りにも気高い一生。

これはマザーテレサと変わらない、聖女そのものではないか!


もうすこし、もうすこし、彼女を楽に描けなかったのだろうか…。

立場とか周りの目とか、好きな男が若い女に走ったりとか、

女王とは立場が異なっても年増女には痛いすぎるほど

気持ちがわかって辛すぎる。


そして、我らがクライヴ・オーウェン!

私は彼が見たくて、この映画を見たのだ。

なのに、この軽い役どころは…。もうちょっと役選ぼうよ。


映画自体は、非常にしっかりした作りで、申し分なし。

戦いのシーンなどは手抜きもいいところだったが

予算の都合もあったのだろう。仕方なし。

しかし、余り思い出したくないな、この映画。痛いから。