「エクトプラズム 怨霊の棲む家」




映画(見る)と小説(読むのと書くの)の感想 映画(見る)と小説(読むのと書くの)の感想



監督: ピーター・コーンウェル
脚本: アダム・サイモン ティム・メトカーフ
撮影: アダム・スウィカ
出演: ヴァージニア・マドセン カイル・ガルナー マーティン・ドノヴァン
生産国:アメリカ
103分 2009年


星取り ★★★

(星取り説明 → ★★★★★最高 ★★★★感動 ★★★満足 ★★不満足 ★最悪)




あらすじ

いわくつきの一軒家に末期がんと闘う息子のために引っ越したある一家を襲う超常現象の数々。

一応、実話が元になっているという…。



あらすじだけ読むと、いかにもって内容だし「悪魔の棲む家」の亜流か、

という感じでスルーされそうな映画。

しかし、スルーするのは余りにもったいないオカルトホラーの佳作。


まず、一番感心したのは、末期がんの青年と苦しむ家族の描写を丁寧に描こうとしているところ。

ここを最大のしばりとして、シナリオを構築しているため


だから、なんでこんな家に住むんだよ!


という最大の突っ込み部分を押さえ込んでしまったところに、この映画の勝因があったように思う。


また、最初、ガンの青年ばかり超常現象を遭うのだが、

ここも、「死と一番近い存在」として、と妙に詩的に説明されると

納得以上の感情が湧いてくる。

そして、彼が、その超常現象を受け入れてしまうのでは、

死に向って突き進んでしまいそうな不安感が、映画をずっと貫いている。

逆に「生に輝く」母ヴァージニア・マドセンには最後まで幽霊に襲われない。

この非常に明快な対立関係が素晴らしい。


映画は非常に静かに進んでいき、ミステリー的な謎解きも面白いのだが

ラスト近く、突然テンションは上がりだし、ホラーシーンの大放出!!

びっくりするほどの迫力だ。


役者陣でいえば、ヴァージニア・マドセンが非常に美しく強いのが魅力的なのと

息子役のカイル・ガルナーが、全くガン患者に見えない健康な感じなのはさっぴくとして、

結構好演な気がする…。

彼は「エルム街の悪夢」の最新リメイク版にも主演していたけれど…ホラー王子なのか?


そして、この映画メリハリもあり、シナリオもよく、撮影も美しい。そして何より面白い。


このピーター・コーンウェル 監督、要注意人物かと。







「それでも恋するバルセロナ」


監督: ウディ・アレン
脚本: ウディ・アレン
撮影: ハビエル・アギーレサロベ
出演: ハビエル・バルデム ペネロペ・クルス スカーレット・ヨハンソン
パトリシア・クラークソン ケヴィン・ダン
製作国 スペイン/アメリカ
96分 2008年


星取り ★★

(星取り説明 → ★★★★★最高 ★★★★感動 ★★★満足 ★★不満足 ★最悪)


あらすじ

バルセロナにバカンスにやってきたアメリカ人女子大生二人。

セクシーな画家に誘惑され、小旅行に行ってしまったのがキッカケで、恋の騒動に巻き込まれる…。



冒頭、さくっと二人の女子大生である、

身持ちの固いパトリシア・クラークソンと自由奔放なスカーレット・ヨハンソンと


を説明をすませてしまうと、後はまあ適当に、といった非常に肩の力の抜いたラブコメディ。


ラブコメディといっても、非常に登場人物の感情は希薄で

役者陣の魅力頼りといった印象。


あくまで 「ラブ」とか「トキメキ」とか楽しい感情を描くのではなく

映画の目的が、本当の幸せってなんだ?という結構シニカルなものであるため

ラブシーンもウキウキしたりしない。

今は幸せそうだけど、1ヵ月後はきっとダメになってるんだろうなあと

客側に思わせるような危なっかしい関係をずっと映画は描いていく。


相変わらず上手い。上手いけど…

昔あった爆笑シーンやちょっとズンと気持ちに落ちる場面や

問答無用のおもしろさとか…消えてる。


私はウッディアレンがずっと好きで、でも何か気持ちの悪いスキャンダル話が出てから

敬遠してしまい、今回もステキなステキなハビエル目当てで見たのだけれど…。


ううむ、やっぱり思った通り。

うまいけど…うまいけど…物足りない。

家でおやつ食べながらみたりするには、悪くないかも。

そんな感想しか持てませんでした。残念。



「ホーンティング」


監督: ヤン・デ・ボン
原作: シャーリー・ジャクソン
脚本: デヴィッド・セルフ
撮影: カール・ウォルター・リンデンローブ
音楽: ジェリー・ゴールドスミス
出演: リーアム・ニーソン キャサリン・ゼタ・ジョーンズ
 オーウェン・ウィルソン リリ・テイラー ブルース・ダーン


星取り ★

(星取り説明 → ★★★★★最高 ★★★★感動 ★★★満足 ★★不満足 ★最悪)


あらすじ

不気味な屋敷に恐怖の研究をする教授と、集められた3人の不眠症患者。

しかし、そこは正真正銘の幽霊屋敷だった…彼らを襲い来る恐怖の超常現象とは?!



シャーリー・ジャクソンの原作が好きで、借りてみてみました。

いや、「スピード」「ツイスター」とエネルギッシュなヤンデポンに

静謐なオカルト・ホラーが撮れるんだろうかという疑問は湧いていたし、

第一映画の評判があまりよろしくないというのも知っていたのですが、ここまでとは…。


これはジェットコースターオバケ屋敷映画です。

しかも、オカルトものは静かに恐怖が襲いかかるものだと思っていましたが、

とにかく、逃げないと殺られる、的な、殺るか殺られるか、っていうエネルギッシュな映画…。


ピーター・ハイアムズ監督のホラー、「レリック」みたいに

アクション映画風に撮ってくれてたら、それはそれで楽しめるんでしょうが

ちょっとファンタジックに撮れとプロデューサーから命令されてしまったのか、

あくまでも主役は女性だからという思い込みか、

ファンタジー的な美しさをだそうとしたり、楽しげにはしゃぐシーンがあったりして、

「ラブリーボーン」的な寒さ炸裂で、

見る側としてそれは非常にテンションが下がる。


この映画のどこを褒めればいいのか、ちょっと悩んでしまうのですが

若き日のオーウェン・ウィルソンを見れた…リリー・テイラーがその後伸び悩んだのが分かるな…とか

ちょっと役者陣に興味を移しつつ、最後はもうながら見状態…。


そういえば、これホラーだった…怖くないのが一番の大問題だ!!

おすすめしません。この映画。