エンタメジャンキー記録。映画、マンガ、小説など消費したソフトの感想。 -24ページ目

『ハゲタカ』

骨太で見応えある作品だった

ドラマシリーズを見ていない人には、登場人物たちの因縁を理解するのは難しいだろう

それでも、この作品のスピリットは十分伝わるはず

画面の迫力に圧倒されているうちに、ラストまで見入ってしまうだろう

とくに、中国からの金融刺客(って言葉はないが)、赤いハゲタカを演じる玉山鉄二がものすごく良い

格差社会の底辺に育ち、自らの孤独をも食らい血肉として、生きるために命がけで戦ってきた男を強烈な個性で演じている

映画の中では描かれない彼の壮絶な過去を、見る者に想像させるほど

まさに鬼気迫る演技だ

主役の大森南朋は、受けの名手

必要以上に主張しない感じが、役柄とマッチしていい味を出している

だが、玉山演じるダークヒーローに対峙するには、ちょっと淡白だった

ちなみにこの映画、企画をすすめているうちに、アメリカでサブプライムローン問題からリーマンショックが起こり、世界経済も大打撃を受けるという事態が発生

それまで進行していた脚本を大幅に変更することになった

現実がフィクションを超えてしまったのだ

悪い意味で



『プリズム』貫井徳郎

小学校の女教師が自宅で死んでいた

事故?殺人?

謎多き死の真相を、各章の登場人物たちが、自分たちにしか知りえない事実をもとに推理していく

面白いのは


小学校の男子生徒

同僚の女教師

故人の学生時代の恋人

その同僚の医師


と、その章で犯人と疑われた人物が次の章の主人公となり、リレー的に真相に近づいていくところだ

ただ、

以下ネタバレ

「究極の犯人当て」という帯の言葉は、すごく的はずれで余計な情報だと思う

なぜならこれは犯人当てが楽しめるタイプの作品ではないのだ

結局、最後まで事件の真相は明かされない

よって犯人も判明しない


犯人も犯行の動機も、読者の想像に委ねられるのだ

真相は読者が自分で決めてよい

と、あとがきにあったが

いやいや

そこは決めといて欲しかったよ


なんか不完全燃焼で淡白なミステリーだなぁ、という読後感しか残らなかった


叙述トリックの名作『慟哭』も、帯に書かれていた北村薫の「予想もつかない衝撃の結末」という余計な情報のせいで勘繰って読んだため、かなり初期の段階から結末の展開を予測しながら読んでしまい

どんでん返しのびっくり感が味わえなかった

この著者はいつも帯のせいで損をしていると思う

『ヘルボーイ ゴールデンアーミー』

『パンズラビリンス』『デビルズバックボーン』『ブレイド2』のギレルモ・デル・トロ監督入魂の傑作

ボーイと呼ぶのもはばかられる赤いオッサンが主役

女子人気を一切無視した、ブサメンぶりが逆に痛快

敵クリーチャーたちの造形も斬新で、見ているだけで楽しく

絢爛たる美術は素晴らしいの一言に尽きる

娯楽のツボを押さえながら、自らの趣味を満喫するデル・トロワールドが炸裂

きっとヨダレたらしながら撮ってたんだろうな

数あるアメコミヒーローものの中でもひときわ異彩を放つ怪作だ