最近の映画館は、どこも指定席を上映前に予約できて、待ちや行列をあまり好まないおいらにとってはとても有難い
受付にチケットを買いにいくと、小奇麗なお姉さんが、
「お席は、前方、中ほど、後方、どちらにいたしましょうか?」
と聞いてくるので、おいらは、「前方」と答える
「ですと、こちらの席が空いておりますが……」
と、わりかし中ほどの席を案内する
「もっと前で」
「そうしますと、上を見上げる形となりますので、観辛いかと……」
「いいですよ」
実際に劇場の中に入り、席に座ると、全く観辛いこともなく、ちょうど視界全体にスクリーンが入る
おいらはこれがいいのである
映画に集中するためにも、観客や幕さえも視界に入れたくない
大画面で観るのに、後ろの方の席に座っちゃあ、家で観るのと変わらない
そんなのに、1,800円も出したくない
これって、至極当然の意見だと思うのだが、世間はおいらよりも後方の席を選ぶ
そして、世間はおいらの行動を怪しむ
やれ、真っ昼間から何映画見てんだ、やれ、無職だ、やれ、おたくだ、やれ、一人もんだ
おいらの勝手な妄想だと思われるかもしれないが、何度か、カップルや中学生ぐらいのガキんちょに白い眼で見られたから、あながち妄想で片づけられることではないであろう
これが、おいらのぽりしぃだ
おいらは胸を張って出ていく
しかし、そういうときに限って階段でポテッとつまづいてしまうのだ
あぁ、カッコいい大人になりたい