「大局観」は詰将棋にも応用できます。まずは、問題図をパッと見て、一番詰みそうに思える手から考えていくことです。やさしい詰将棋の場合にはそれで詰むことが多いものです。
ところが、難しい詰将棋はそうはいきません。それで、ほかの手を考えていくことになるのですが、人間の「大局観」のウラをかくような手が正解手の場合、そういう手は一番最後に考えることになるため、正解にたどりつくまでに時間がかかるわけです。
一般に、詰将棋は「ヨミ」のトレーニングとして推奨されています。これは、正解手を見つけたらそれで終わりにするのではなく、すべての王手の変化手「しらみつぶし」にヨムことで鍛えられるという側面があります。これは、中手数以上の詰将棋の場合、プロ向きのトレーニング方法と言えるかもしれません。なので、初段を目指すレベルの方には、3~5手詰めくらいの詰将棋でこのトレーニングをやれば十分だと思います。
すべての変化手を「しらみつぶし」にヨムというのは、人間には、「大局」では限界があります。しかし、「小局」では可能になるわけです。そして、詰将棋の盤面は「小局」ということができるかと思います。「しらみつぶし」にヨムという作業は、「大局観」の対極にあるものですが、「大局観」に基づく一手の正解率というのは100%にはなりません。仮に99%だったとして、1%のリスクが残ってしまいます。しかし、「しらみつぶし」にヨムことができれば、100%の正解率にもっていくことが可能になります。そこが、人間とAIの大きな違いということができるかと思います。
以下、つづく・・・。