図4は先手の▲4五歩打に対して後手が強く△同銀と取った局面です。「早仕掛け」では有名な局面の1つだと思います。
(図4 △4五同銀まで)
ここで先手には▲4五同桂と▲3三角成の2つの手が考えられます。今回は▲4五同桂の変化を研究してみたいと思います。
○図4からの指し手(その1):▲4五同桂、△8八角成、▲同玉、△4五飛、▲2四歩、△同歩、▲同飛、△3三角(失敗図)
▲4五同桂は「銀」を取る手なので一番自然な手に見えます。対する後手は△8八角成と「角」交換を入れてから△4五飛と「桂」を取り返します。これで駒割り(駒の損得のこと)は「銀」と「桂」の交換になりました。先手がやや駒得ですが、実戦的にはほぼ互角といっていいと思います。
(失敗図 △3三角まで)
さて、上記手順中、後手が△8八角成としたのには理由があります。それは、▲8八同玉となった先手の形が、あまり良くない形だということです。これは「対抗形」における1つの常識のようなものなのですが、居飛車の「玉」の位置は「7八」の地点が良く、「8八」はやや危険とされています(もちろん例外もあります)。
その理由はすぐに明らかになります。先手は狙い通り▲2四歩、△同歩、▲同飛と「飛」先突破に向かいますが、そこで△3三角(失敗図)が後手の切り返し。「王手飛車」がかかってしまいました。
「8八」の「玉」はこの「王手飛車」の筋に入りやすいので、注意が必要なのです。
つづく・・・