矢倉棒銀の実戦より(その1) | カクザンのブログ(岡山市の親子将棋教室)

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子どもたち、保護者の方に、将棋の楽しさ・魅力をお伝えします。次回教室は津山おもちゃ図書館将棋教室が5/18(土)、高島教室が5/19(日)の予定です。

毎週金曜日の晩に定期開催しているネット教室の対局から、「矢倉棒銀」の一局を検討したいと思います。

 

「棒銀」戦法は初心者の方が最初に覚える攻め筋ですが、有段者はもちろん、プロの対局でもよく登場します。相手の陣形によって、一気に攻め込む場合もあれば、一定の戦果に満足して、一呼吸入れる場合もあるなど、実は大変に奥が深く、指しこなすには経験の蓄積が必要な難しい戦法でもあります(初心者のみなさんは、たくさん棒銀をやってみて、色々な経験を蓄積してください)。

 

図1はお互いが「矢倉」囲いに構えた「相矢倉」(あいやぐら)戦の序盤戦。後手は7筋の「歩」交換後、△7四銀~△7三桂という攻撃の理想形に構えています(この「銀」と「桂」の形は好形ですので参考にしてください)。対する先手は「棒銀」です。「相矢倉」戦での「棒銀」のことを「矢倉棒銀」と呼びます。大変攻撃力が高いため、相手にとっては油断のならない作戦といえるでしょう。ここから先手は機敏に動きます。

 

(図1 △7三桂まで)

 

○図1以下の指し手:▲1五銀、△1四歩、▲2六銀、△6四角、▲1五歩、△同歩、▲同銀、△1三歩、▲2四歩、△同歩、▲同銀、△2三歩、▲3三銀成、△同桂(図2)

 

先手の▲1五銀は次に▲2四歩、△同歩、▲同銀からの銀交換が狙いです。一般的に、攻め駒と守り駒の交換は攻めている側が得をします(守備側の守備力だけが弱まるためです)。このため、棒銀の1つの狙いとして、棒銀と相手の守備駒の交換が有力となります。相手の守備駒は「金」が一番良いですが、「桂」でも「香」でも構いません(駒損でも相手の守備力のダメージが大きいのです)。なので、棒銀側は「銀」交換ならバンバンザイです。

 

(図2 △3三同桂まで)

 

後手の△1四歩に▲2五銀が当然の一手ながら好手。出たばかりの「銀」を引かされてつまらないと思う人もいると思いますが、△1四歩と突いてもらったことで、次の▲1五歩の当たりがキツくなっています。なお、△1四歩に▲2四歩は棒銀ではよく出てくる攻め筋ですが、この場合は△1五歩と「銀」を取られるので成立しません(▲2三歩成に△同金で攻めが続かない)。

 

図2の局面となって、先手の「棒銀」がきれいにさばけました。先手大満足の展開でしょう。「飛」筋と「香」筋が敵陣に直通しているのが素晴らしいです。ただし、駒の損得はないので、先手のリードはわずかです。ここからどう指すかは、結構難しいと思います。みなさんならどう指しますか?先手の次の一手と、今後の方針を考えてみてください。

 

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