頭金(その5) | カクザンのブログ(岡山市の親子将棋教室)

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子どもたち、保護者の方に、将棋の楽しさ・魅力をお伝えします。次回教室は高島特別教室が6/30(日)、津山おもちゃ図書館特別イベントが7/7(日)の予定です。

今回も問題からスタートします。下の問題図をよくみて、先手の次の一手を考えてください。

 

(問題図1)

 

これまでの解説を読んできた方には簡単だったと思うのですが、いかがでしょうか?

 

○問題図以下の指し手:▲5二金(正解図1)

 

問題図1の後手陣は守備駒が多く、一見するとまだ安全に思えるかもしれません。しかし、▲5二金(正解図1)と「頭金」を打たれると、後手玉は詰んでいるのです。「9一」に「飛」がいるため、後手は△5二同金と取ることができません。

 

(正解図1 ▲5二金まで)

 

正解図1では、「5三」の「歩」がとても大きな役割を果たしていて、この「歩」があるからこそ、次の「頭金」が可能になるわけです。

 

下の基本図をみてください。先手の持ち駒に「金」があれば、次に▲5二金と「頭金」を打って後手玉は詰む形です。しかし、今は持ち駒に「金」はありません。しかし、ガッカリすることはありません。どういうことでしょうか?

 

(基本図)

 

 

 

実は、「次に何か駒が手に入れば相手玉が詰む」という状況を作っておくことは、戦いを有利に導きやすいのです。相手の立場に立てば、先手に「金」を渡すことができないため、とても戦いずらい状況になるのです。具体的に説明しましょう。

 

下の問題図2をみてください。先手の次の一手を考えてみてください。

 

(問題図2)

 

○問題図2からの指し手:▲1七飛(途中図)、△同と、▲5二金(最終図)

 

問題図2の局面では先手の持ち駒に「金」があれば、後手玉は「頭金」で詰む形をしています。このことに気づくことが大事です。「頭金」が得意になってくると、そうした嗅覚のようなものが研ぎ澄まされていきます。カクザンなら、「どこかに『金』が落ちていないかなぁ」と盤面全体をキョロキョロ探します。この場合の「金」は、タダで取れる駒ではなくでも、「持ち駒」にできる「金」なら何でも良いのです。なにしろ「金」で「頭金」を打てば勝ちなのですから。すると、「1七」の地点に相手の「金」がいることに気づきます。この「金」を▲1七飛(途中図)と取ってしまいましょう。

 

(途中図 ▲1七飛まで)

 

△1七同とと「飛」を取られて駒損ですが、▲5二金(最終図)となって先手の勝ちになります。

 

(最終図 ▲5二金まで) 

 

相手玉が詰む時は駒の損得は気にする必要はありません。「終盤は駒の損得よりも速度」という有名な格言がありますので覚えておくと良いでしょう。

 

問題図2の局面に戻って、「1七」の「金」のような駒のことを、専門用語で「質駒」(しちごま)といいます。「質駒」の「質」(しち)とは人質(ひとじち)の「質」と同じ意味があります。つまり、「(相手の駒なのに、)いつでも自分の使いたいように使える状態にある駒」ということです。終盤戦では、持ち駒が足りないときに、質駒を利用して攻めに活用することがよくあります。特に「頭金」を打てば勝ちというような局面では、とても有効な考え方になりますので、覚えておくと良いでしょう。

 

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