ドラマ「煙が目にしみる」が佳境に | カクザンのブログ(岡山市の親子将棋教室)

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子どもたち、保護者の方に、将棋の楽しさ・魅力をお伝えします。次回教室は高島教室が7/7(日)、津山おもちゃ図書館特別イベントが7/7(日)の予定です。

毎週木曜日にBS12で放映中の銀河テレビ小説「煙が目にしみる」ですが、いよいよ佳境に入ってきました。コメディータッチのドラマではあるのですが、主人公の追い詰められた境遇や、周囲の人々の思いを考えると、笑えない、非常にシリアスなドラマになっています。主人公の根本三段を演じている川谷拓三さんが、優しくていい人なんだけど、生きるのが不器用という人物を好演しています。

 

師匠から破門を言い渡されていた根本が、子連れの恋人の千草(根岸季衣)と別れることを条件に、年齢制限に到達するまでの奨励会での対局を許されることになります。2人が一緒になるためには、残り3か月で根本が四段に昇段する以外にないという状況に追い詰められました。

 

ここから根本の表情にどことなく変化がうかがわれるようになってきます。そして第17話の最後の師匠である内堀八段(松村達雄)とのやり取りは名場面だったと思います。

 

内堀:(根本の部屋に入ってきて)根本。

根本:(根本は将棋盤の前に正座している)はい。

内堀:対戦相手が決まったぞ。堀川と石橋だ。2人とも喜んでいるだろう(カモと当たったという意味)。ハッ、ハッ、ハッ・・・。

根本:先生、将棋とはいったい何でしょうか?

内堀:はぁ?

根本:教えてください。この世に将棋のある意味を。

内堀:そんなことはオレにも分からんよ。(座って、将棋盤をはさんで向かい合う形になる)。

根本:では、何のために将棋は指すんですか?

内堀:お前は何のために生まれてきた?どういう目的で生きとるんだ?

根本:分かりません。

内堀:おそらく誰にも分からんだろう。しかしだ、将棋の中には人生がある。哲学がある。芸術もある。建築のようでもあり、音楽のようでもあり、数学のようでもあり、経済学のようでもあり、化学方程式のようでもある。おそらく全てのものがあるんだ。

根本:おっしゃること、漠然と分かります。将棋は人間そのものだと思います。でも、どうして勝ち負けを決めなければならないのですか?

内堀:うーん、闘争本能があるからだろうなあ。

根本:闘争本能?

内堀:人間は戦う動物なんだ。いつもどっかで戦争が起きてるじゃないか。平和が続けば集団ヒステリーが起こる。戦争の代わりにスポーツや勝負事が盛んになる。

根本:すると、将棋指しは野蛮な職業ですね。闘争本能むき出しの残酷な人間が勝つわけですね。

内堀:そりゃあ違う。タイトルを取るようなスーパースターには必ず優しさがある。闘争本能を超越した美しさがある。そうは思わんか?

根本:思います。

内堀:そこだよ。百戦錬磨の強い相手を倒すためには、思いやりが必要なんだ。敵を知り、己を知り尽くすことが将棋につながるんだ。最も優しい人間が、最も強い人間なんだよ。勝つということはそういうことなんだ。

 

全20話中、ここまで17話までが放映されました。オープニングで盤上いっぱいに並べられていた「煙詰」の詰将棋の駒が、ずいぶんと少なくなりました。あと3話で詰め上がります。

 

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