被災地の人は全身でこころとからだを守っていた | 覚技ワーク~注意の行き届いた自然体★新海正彦

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覚技(かくぎ)とは、さまざまな心理療法に、武術や音楽やシャーマン的テクニックを取り入れた、こころとからだに目覚めをもたらすトレーニング・メソッドです。

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気仙沼の龍木 by shinkai


きのうは東日本大震災からちょうど2年。
いろいろなことがありましたよね。

ぼくもこの2年のことを思い出していました。


震災から一年ほどたった頃、
仙台のスクールカウンセラーの方が開催してくれた
2泊3日のワークショップが南三陸町でありました。

そこでは参加された被災者の方々から、
震災当日からその後の生活のなまなましい現状を
直接、うかがうことができました。

お話をうかがっていて思うことは、
実際に体験したことがないと、
そのとき自分がどういう気持ちや考えになるか、
わからないなあってことです。

たとえば、
津波のようなあまりにすごいことを体験すると、
人って、つらい悲しいという気持ちや考えを
切り離しすようにするんですね。

おそろしくて不安な気持ちでいっぱいでしょうに、
「そういう気持ちは横に置いておいた」
と言っていました。



ある被災者の方のお話です。

道路も、通信網も寸断したままで復旧しないので、
家族を探すのも足で歩くしかない状態。

そんな中、家族が10日以上たっても見つからず、
いよいよ遺体安置所にいって探さないといけないかなあと思って、
意を決して置場となっている体育館へ行きました。

ところが建物の入り口に立つと、
中に入ろうとしても足がすくんで動けない、、、

日々生きていくために、とにかくできることをやり、
家族を探すために行動し続けてきて、、、
そしてもしかして、とたどり着いた安置所。

そのとき初めて、
いままで抑えていたものがこみ上げてきたそうです。



でも一歩中に入ってからは
不思議なくらい冷静に確認作業ができた、
とのこと。

平気のはずないと思うのですが、
この方はそういう心境になったのでしょうね。

聴いていて胸の張り裂けるような体験談でした。

来ていただいた方のなかには、
いまでも自分の思いを話すことはとてもできない、
という方もいました。
とうぜんですよね。このような経験をしたら。



全体としてみなさんとても気丈に振舞われている、
という印象でしたが、やはりからだは正直です。

ある学校の女性の先生は、
腰痛用のコルセットをお腹に巻いているのかと思ったほど、
からだの表面の筋肉が硬く緊張していました。

緊急の事態がまだまだ続いている状態。
これが全身でこころとからだを守っている
姿なんだなと感じました。

へたに緊張を緩めると
今までなんとか保っていたものが
一気にぼろぼろと崩れてしまいそうでした。

ぼくとしたら、
みなさんが深刻なダメージに至らないよう、
からだの不調に注意しながらやっていけることを
願うばかりです。


さまざまなお話を聴くことができて、
ここでの体験はぼくにとって
とても貴重なものとなりました。
本音を話していただいた皆さんに感謝しています。

その場にならないと自分がどう感じ、どう動くのか。
実際に体験してみないとわからないことっていっぱいあるんですね。



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気づきとアウェアネスの技術~覚技ワークス主宰★新海正彦