新海老人のヨレヨレ物語「お話 その十」 | 覚技ワーク~注意の行き届いた自然体★新海正彦

覚技ワーク~注意の行き届いた自然体★新海正彦

覚技(かくぎ)とは、さまざまな心理療法に、武術や音楽やシャーマン的テクニックを取り入れた、こころとからだに目覚めをもたらすトレーニング・メソッドです。

「お話その十」


前回は、今までやってきた武術をボディワークの視点で
一から捉えなおし始めた、というお話でした。

その過程で僕は、
「体のことについて学ぶとき、
体のことだけ研究していても片手落ちだなあ…」
とつくづく思うようになったのです。

体へ深くアプローチするには、
心のことも学ばなければならない
ということを痛切に感じるようになったのです。

なぜって、心と体には密接な関係がありますものね。

心に生まれたちょっとした緊張が、
ダイレクトに筋肉の緊張につながるのは
あなたも体験を通していろいろと体験していますよね。

たとえば「あっ、ゴキブリ!」と大声で指さされたとき、
体がどうなっているか想像すると・・・、
もう瞬間冷凍状態!です。

(うわーっ、いきなりいやな話でごめんなさい!)

気を取り直して話を戻してと(苦笑)。


自分のことを思い返してみると、
心を見つめていく方向へ向かう下地は
すでに20歳の頃(うわーもう40年前!)からあったんですね。


当時僕は、エンカウンターグループ(カール・ロジャースが
開発した、集中的に小グループで話し合うカウンセリング方法)などの
グループ・カウンセリングに参加していました。

また同時期、竹内演劇研究所というところで練習生となって
「からだとことば」について学んだり、そこで “野口体操”という
動きのクラスに参加し、その体操をはじめた野口三千三さんから
トレーニングを受けたりしていたんですね。


なかでも当時もっとも影響を受けたのが野口整体でした。


このブログの“その1”で、少し野口整体についてふれましたが、
野口整体の「病気は治すものではなく経過させていくもの」
という考え方は、今でも僕の中にあり、

それは現在やっている覚技の基本的な考え
「結果を求めずプロセスを展開させていくことを大切にする」
ということにもつながっています。


このような傾向があったせいか、
心理療法の中でも特に自分が心引かれていったセラピーの分野が、
いわゆるトランスパーソナル心理学でした。

トランスパーソナル心理学で気に入ったところを
大雑把に言ってしまうとこうです。

通常私たちが知っている心理療法は、
「心理的に障害にある人」を治して
普通の人に戻してあげるというやり方です。

これに対してトランスパーソナル心理学では、
病気は障害だとは見ないのです。

単に回復させて癒すということよりも、
起こっていること(症状や障害といわれるもの)を
本人に十分体験してもらい“通過しきる”よう
支えていく
ことを重視します。

つまり、“起こっていることを本人がどう捉えているか”
という姿勢を重視するのです。
(*これって超ざっくりと言っていますのであしからず)


といっても僕は、
最初からトランスパーソナル心理学系統だけを学んだわけではありません。

はじめは、
「クライアントによって有効な手法が異なるので、
いろいろ知っていて使い分けられるように」との方針で、
他のジャンルの療法も学んでいました。

そんな中、
自分の心をとらえたのがトランスパーソナル心理学系統だったのです。

結果ではなく経過を重視するところが、
自分の中にある基本姿勢とマッチしていたからですね。


しかしこうして改めて心の仕組みや心と体の関係について学んでいくと、
今までほったらかしにしてきた自分自身の内面をイヤでも(?!)
探求せざるをえない状況となりました。

「人を知るには、まず己から」ということです。
当然といやぁ当然のことですね。

すると、ダメダメの自分とご対面!(恥っ)
ということになるのですが、

それは「お話その十壱」へ続く!


覚技ワークス主宰 新海正彦