しっかりしろ!呼吸しろ!超極辛カレー体験記 | 覚技ワーク~注意の行き届いた自然体★新海正彦

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覚技(かくぎ)とは、さまざまな心理療法に、武術や音楽やシャーマン的テクニックを取り入れた、こころとからだに目覚めをもたらすトレーニング・メソッドです。

$心のクセに気づくための覚技研究会主宰★新海正彦-雲仙地獄谷枯れ木数日前、家で作って食べたカレーが殺人的(!)に辛いカレーでした。あまりの辛さに、食べているうちに気が遠くなったほどです。本当に、気が遠のいた。我が家では以降、あれは“殺人カレー”と呼ばれています。早くも「伝説」の領域です。

ところで“辛いカレー“というと思い出すのが、北インドの「レー」という町で食べたカレー。
それは“あの殺人カレー”よりもっとすごいカレーでした…。



[雲仙 地獄谷]Photo by Shinkai
「レー」といっても知らない方が多いかもしれません。
レーは北インドのラダック地方にある町で、富士山よりさらに高い海抜3500mあたりに位置しています。このためかなり空気が薄く、また陸路は冬の間は凍結のため通行止めになってしまうという厳しい土地柄です。居住しているのは主にチベット人たちで、インドからの移入者もいます。かつてここは長い間、外国人の入国が禁止されていましたが、1974年にようやく開放されました。
僕がレーに行ったのはそれから約4年後の1978年のこと。当時、まだ空路はなく陸路オンリーという状況でした。しかも交通手段はトラックの荷台。その上、いったん5000m級の山を越えなければたどり着けません。けっこうハードな長旅です。ですから旅行者はまだそれほど多くはありませんでした。
そういう所だったので、食事するにも旅行者用のレストランや食堂などなく、僕のような旅行者は泊めてもらった家でご飯をいただくというシステムでした。
現地の家庭料理は主食が粉(小麦粉)。朝はお茶で粉をといて固めて食べる。昼はスープで粉をといて固めて食べる、といった具合。
慣れてくれば粉食でもオッケーでしょうが、最初はつらかった。レーに着いて数日後、粉以外にご飯物を食べたくなり、ついに外食することにしました。

外食といっても選択肢はありません。それは北インドのカシミール人御用達のカレー屋さんでした。
料理人もカシミール人でしたから、出しているのも“本格派カシミールカレー”です。カシミールカレーといえば「激辛」というのが常識! 
でも僕はレーに行く前に北インドのカシミール地方に1ヶ月ほど滞在していたので、その辛さには慣れているつもりでした。
と・こ・ろ・がっっ!! レーで出てきたそのカシミール・カレーが辛いのなんのって、半端なく辛かったんです!!!
ひとしきり食べたところで、
「かっ、体が動かない!」
という状態に陥ってしまいました。
高地での酸欠状態も影響していたのかもしれませんが、体の後ろ半分(真上から見たとしたら後ろ半分)が、ポッカリとなくなっているような感じがして、本当に文字通り動けなくなってしまったのでした。
あんな、味覚で体が動かなくなるなんて、初めての体験でした。

思えば滝に打たれる行を行う時、不用意に滝に入ると、いわゆる「気が上に上がったような状態」になるのですが、レーでのカシミールカレー体験はそれと似ている気がします。
しっかり呼吸に集中していないと、頭と体が飛ばされそうになってしまう!

恐るべし、「アルティメット殺人カレー!」(今、命名した)。



食事はぜいたくいえませんでしたが、レーはすばらしいところで居心地がよく、
周辺も見所がいっぱい。その後、結局1ヶ月も滞在してしまいました。

ところで、今は「レーも」町ではなく都市になったようですが、
今もまだあるのだろうか、あのカレー屋・・・。


[雲仙 地獄谷]Photo by Shinkai