松山空港の米軍岩国基地による管制権返還の請願が不採択になったことについて | いしいともえ公式ブログ【衆議院・愛媛1区】

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元愛媛県議会議員・看護師・国民民主党新人いしいともえの想いや日々の活動をお届けしています。

日本で唯一松山空港だけが米軍の管制下であることから、「進入管制権を取り戻す意見書を求める」請願が出されました。

私はその紹介議員になっていました。

 

請願の審議が愛媛県議会総務企画委員会で3月12日に審議されましたが「不採択」となりました。

この経緯についてご報告いたします。

 

 

現在、松山空港の離発着する飛行機は、日米安全保障条約に基づき米軍岩国基地の管制下にあります。この管制権問題は1973年の県議会でも取り上げられ、13回にわたり県議会で審議され48年経った今も同じ状態のままとなっています。

 

それまで米軍の管制権だったのは那覇空港と松山空港だけでしたが、2010年に那覇空港の進入管制権が返還され、その後松山空港だけが唯一岩国基地にある米軍の管制下で進入管制が行われています。

 

かつて松山空港では米軍の訓練で超低空飛行で通過し、接地後すぐに離陸するタッチアンドゴーの訓練を毎月10回前後も強行され、その騒音は松山市の住民に計り知れない不安を与えたという事件もありました。

 

愛媛県は当時から国に対し働きかけを行い、2007年から松山空港の進入管制空域の返還を求めて毎年国交省に要望を出し続けている経緯があります。松山空港の管制権が米軍から日本側になれば、一元的に航空管制を行うことができ、民間航空機の効率的な運航が可能となります。しかしながら一向に進んではおりません。

 

この問題はすぐに解決は難しいかもしれませんが、何十年と抱えてきた愛媛県の重大な問題です。そのような中で県民の方から「松山空港管制権を取り戻す意見書を求めること」という請願が出されました。

 

 

まず、「請願」というのは、国民に認められた憲法上(第16条)の権利の一つで、国民が国または地方公共団体の機関に対して意見や希望を述べることを言います。「請願」を提出するには紹介する議員が必要です。

 

 

提出された請願は、所管の常任委員会に審査をし、その委員会の審査の結果を本会議に報告し、最終的に議会としての採択、不採択の決定をします。「請願」の中には「意見書を求めるための請願」もあります。

 

「意見書」というのは、地方自治法第99条において、地方公共団体の公益にかかわる事柄に関して、議会の議決に基づき、議会としての意見や希望を「意見書」として内閣総理大臣、国会、関係行政庁に提出することができます。

 

 

今回提出された請願の内容は以下の通りです。

(文章は請願者の方が作成されたものです)

 

 

請願

「松山空港の管制権を取り戻す意見書を求めることについて」

 

≪請願趣旨≫(全文)

日夜、県民の命と安全を守る県政の実現に向けてご尽力いただき感謝申し上げます。

先日、報道によりますと県は愛媛県上空を低空飛行する米軍機の動向について、危険で不測の事態をも引き起こしかねない事態であり、ぜひとも早期に中止していただきたいとの申し入れを関係各機関に要望されたとのこと、

平和を愛する県民の一人として誠に感謝申し上げる次第です。

つきましては、現在松山空港の管制権がわが国になく米軍岩国基地によって行われているという現実を知り、誠に遺憾の限りで、憂慮に堪えません。

 

有事の際、松山空港が米軍基地化するのではないか危惧します。そもそも独立国であると思われているわが国に外国の軍隊が駐留すること自体あり得ない事態です。

外国軍隊の駐留、軍事活動の停止を求める平和行政を今後とも推し進めていただきたく以下、請願します。

 

 

≪請願事項≫

「松山空港の管制権を取り戻し、安心、安全の平和行政に取り組むとともに関係各機関にこの声を届け、意見書を提出してください。」

 

 

 

この請願を受けて、総務企画委員会の審議では、

越智忍議員(愛媛維新の会)が今回の請願の趣旨の中にある「米軍駐留」について国の専管をもって行っていくべきことであるとして採択に反対。他の議員からの意見はなし。

 

議論が全くないなか、

賛成1人、反対5人で不採択になりました。

 

【総務企画委員会】

委員長  大西誠(自由民主党)

副委員長 古川拓哉(愛媛維新の会)

 

≪採択賛成≫ 

菅 森実(えひめリベラル)

≪採択反対≫

岡田志朗(自由民主党)

菊池伸英(無所属)

越智 忍(愛媛維新の会)

西原 進平(志士の会)

大政 博文(志士の会)

 

請願の採択結果について→『不採択』

 

 

この請願の内容は「松山空港の管制権を取り戻し、安心安全の平和行政に取り組んでもらいたい、そのために県議会で意見書を出してもらいたい」とする請願です。

趣旨の内容について、松山空港の管制権が米軍にあることに対する問題点など、具体的な状況を書いた方がよかったのでは、という意見やこの請願の文章の内容だけでは理解しにくいことや「外国軍隊」という表現より「米軍」という言葉にした方がよかったのでは、ということやまた米軍の駐留、軍事活動の停止を求めることは現時点ですぐには難しいですが、日本に住んでいる方の多くの方が米軍の駐留、軍事行動はやめてもらいたいと感じていることだと思います。

 

 

今回の請願に対して、

ほとんど議論もないまま委員会の採択、不採択が決まってしまうという状況は誠に残念に思いますが、

今回、表決において、反対討論に立って、請願者の方の想いを代弁していくつもりです。

 

 

今後も松山空港管制権の問題について、県民の方から意見書などの要望があれば再び議論できるような県議会であってほしいと思っています。