【地域財政状況の逼迫に関する意見について】 | いしいともえ公式ブログ【衆議院・愛媛1区】

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元愛媛県議会議員・看護師・国民民主党新人いしいともえの想いや日々の活動をお届けしています。

これは、地方財政基盤を逼迫させる『臨時財政対策債』の性格上の問題を挙げるとともに、課題解決の必要性を問題提起するものです。


 
地方交付税とは、各自治体において一定水準の行政サービスを受けられるための財源保障をする制度であり、自治体間で偏在する財源の均衡化を図る調整機能を持ち合わせたものです。



当初は、国が地方に対して配当していたものですが、国の財政状況も逼迫し、財政難になったことから、国の特別会計で財源不足分を起債(借金)する措置をとり、各自治体へ配当する形へと変化し、約20年前からは国ではなく、各自治体自らが起債することで団体ごとの起債額(借金)を「見える化」した現在の形となりました。この起債が、『臨時財政対策債』というものです。




しかしながら、借金返済費用(償還財源)には後年度の交付税で措置されるため、「実質借金は国が返すから」という概念により、各自治体が安心してしまっていることが地方における財政状況の問題点ではないかと考えています。




実際は、どこで借りようとすべて税金で賄われるものであり、結局のところは後年度で処置というのは、税収の前倒しということで、毎年借金は膨らんでいく一方です。




また、交付税措置という言葉にはカラクリがあり、交付税として分配するということではなく、基準財政需要額へ措置分を算入するということを指しています。




この基準財政需要額は、標準的な行政運営を行うにあたって最低限必要とされる財政経費のことで、各自治体へ配分される地方交付税の基準になるものです。



これに対して、基準財政収入額(標準的に運営している状態で徴収が見込まれる税収の75%+地方譲与税)という自治体のベースとなる財源が不足している場合には、地方交付税で補填されることになっており、



財政的に豊かな地域・貧しい地域で差異が生じないよう、住民が健康で文化的な一定水準の行政サービスを受けられるよう調整される仕組みとなっていますが、上記のとおり地方交付税自体が不足している状態なので臨時財政対策債(地方交付税の代替財源)で補填されています。




また、この基準財政収入額と地方交付税はあくまである一定基準のもとで算出された額に過ぎず、各自治体の財政状況に合わせて算出されたものではないため実質的に必要な額とは差額が生じたりもしております。これらは地方交付税に対する問題でもあるでしょう。




各自治体の大多数は厳しい財政状況にあり、この実情に見合っていない地方交付税等を充当した地方財源と当初予算編成に必要とされる額の差額が財源不足として臨時財政対策債が充てられています。




赤字債(借金)を発行する選択権は各自治体に委ねられますが、借金しなければ自治体運営ができないため発行が余技なくされている状態であり、臨時財政対策債に依存してしまっていることが本国における地方財政の現状です。




これらの事態になった背景としては、税金の一律減税による国の景気対策や建設事業の増加(投資的経費の拡大)による地方債の発行があり、その借金返済費用を国が措置していました。



その反動から国が財政難となり、景気の低迷へと繋がっています。収入が減となる中で追い打ちをかけるように、社会保障費は増加し、必要な支出が増加し続けるため更に起債(借金)をし、その借金を返済するためにまた更に起債(借金)を行う負のスパイラルに落ち込み、借金大国といわれる現在の日本国になったのではないでしょうか。



本来は年度ごとの税収の範囲内で行政運営がなされるものが、過去にはなかった様々な行政サービスが増え続けたことで、税収だけでは賄えない現状となり、起債(借金)という方法で逃れようとし続けた結果、今日のように行政サービスが実情からかけはなれていく一方を辿ることになったのでしょう。



都市の時代に合った生き方をする地方行政は生き残り、民と共に飛躍します。



行政職員はこのことの理屈が分かると思います。借金による過剰な行政サービス(支持団体への補助金漬け)を行っていることについて自覚し、厳正な行財政改革が必要です。



現代となっては、行財政改革は流行りモノになってきているところがあるため、中長期的に見て効率的な企画戦略が求められます。
21世紀(都市の時代)を生きるには事業の選択と集中を厳しく考えなくては未来に財を残すことは大変厳しい現実であると考えています。




この難題から目を背けると何をやってもその場凌ぎにしかパフォーマンスはできませんので中途半端な事業になるのです。
地方都市における持続可能な街づくりは財政課題の解消から始まるでしょう。




飛躍への道は「選択と集中」です。



※臨時財政対策債に頼らず、本来の地方交付税だけで行政サービスの運営ができるぐらいの財政力を持たなくては、地方財政状況として絶望的であるということです。