香川県視察報告「瀬戸内国際芸術祭2019」他がマネができないものを作り出す | いしいともえ公式ブログ【衆議院・愛媛1区】

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元愛媛県議会議員・看護師・国民民主党新人いしいともえの想いや日々の活動をお届けしています。

【海の復権・瀬戸内国際芸術祭2019の取り組み】
~地域課題を解決するために~

世界中から観光客が押し寄せる瀬戸内国際芸術祭。


3年に1度開催され、瀬戸内海の12 の島と2つの港を会場に国内外のアーティスト226組が集まり全215作品が展示されています。


香川県はこの芸術祭の効果で外国人観光客数が全国上位になりました。
経済効果は年間139億円とのこと。


なぜ、これほどまでに世界中の人を魅了し、莫大な経済効果をもたらすことができたのか。
また、一度だけで終わることなく、継続して開催できるのか?


私自身以前からこの芸術祭のことはよく知っていましたが、どうやってここまでになったのか関心を持っていて


今回の視察でその経緯や周辺の動きについて詳しく知りたいと思い参加しました。


愛媛県にも瀬戸内海に多数の島々があります。人口が減り、若い人がいなくなり地域に活気がなくなりつつある現状で課題は香川県と同様に持っています。


また、島は昔から何かと差別や不利益を被ることが多くありました。
犯罪者の流刑の場所として扱われたり、
香川県では豊島の産業廃棄物問題や大島のハンセン病患者隔離など。


瀬戸内国際芸術祭はその島をアートによって光をあてこれまでのイメージを払拭し、
「海の復権」をテーマに地域課題の解決を目的にしています。


そしてその成功の鍵には二人のキーマンが存在していました。
ベネッセコーポレーション名誉顧問、瀬戸内国際芸術祭総合プロデューサーの福武總一郎氏と瀬戸内国際芸術祭総合ディレクター北川フラム氏です。


福武氏の父福武哲彦氏が瀬戸内海を世界の子供たちが集まる場所にしたいと考え、当時の直島町長と出会い「ベネッセアートサイト直島」を立ち上げ、

その後福武總一郎氏が受け継ぎ、「現代アートの聖地」といわれるようになっていました。

そして福武氏が東北の「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」を訪れ、これを瀬戸内海に持ってきたいと新潟県出身、総合プロデューサーの北川フラム氏に「瀬戸内国際芸術祭をやりたいので協力してほしい」と頼んだことから始まったとのこと。

香川県庁の若手職員の人たちも大地の芸術祭を視察する中で、このような芸術祭を瀬戸内海でやりたいという提案を当時の県知事に出し

2006年から準備をはじめ、2010年に第1回の瀬戸内国際芸術祭を開催することが正式に決定されました。

「世界中の人が集う場所をつくる」
「島の人を元気にする」

壮大な構想をもつ福武氏と世界のアーティストと人脈をもつ北川氏のコラボレーションがこの瀬戸内国際芸術祭の原点であり、香川県がその思いをバックアップしたということでした。


芸術祭のコンセプトは
島のおじいさん、おばあさんが笑顔になること。
「観光=感幸」であること。


アーティストが作った作品を置くのではなく、
その土地の風土や文化に合わせ、
地域の人びとと一緒につくり地域の人が作品に愛着を感じていることが島の活性化につながり継続している理由であると思いました。


アーティストは招待の他公募でも集め、
世界のアーティストの登竜門にもなっているとか。


愛媛県も多くのイベントが開催され、瀬戸内の魅力を最大限生かした「サイクリングしまなみ」の国際大会の開催も行っています。


これらの取り組みをさらに地域の人と一緒になって作り上げていく過程やイベントのもつコンセプトをどのようにしていくのか、考えていく必要があると思いました。


瀬戸内国際芸術祭の成功は行政主導ではない、地域を愛する人の思いから発信され、世界を舞台に構想された壮大なコンセプトとそのパイプ役を担う人材の融合により生まれたもの。


同じようなことはできませんが、これまでの歩みや行政の関わりを知り、
今回の視察を題材に愛媛県にしかできない「世界に一つしかない事業」の構想に向け、これからの県政に生かしていけるようにしていきたいと思います。