
児童虐待の問題がクローズアップされ、対策について国会をはじめ各自治体も取り組みが進められています。
いまだ後を絶たない虐待の問題は長年ずっと変わらず存在していますが、根本的な解決を行っていかなければ繰り返されるばかりです。
虐待を発見した場合「通告義務」があり、児童福祉法第25条において、すべての国民に通告する義務が定められています。
近所で虐待の疑いがあった場合、どうすればいいのかわからないことも多く、身近な地域の世話役の方や民生委員、学校などに連絡がいき、そこから通告することも多いですが、広く一般の人にも方法を啓発することも必要です。
全国共通虐待通報ダイヤル「189」があり24時間オペレーターの対応になっています。
愛媛県では子どもや女性、障がいをもっている方の相談を一本化していくため愛媛県総合福祉支援センターで相談機関を集約し、
児童支援グループ(089-922-5040)
女性支援グループ(089-927-1626)
身体障害者支援グループ(089-924-1216)
に分けて対応しています。
また、地域、学校、保育園、幼稚園などでも情報を共有し連携をとっていく必要があります。
それと同時に受け入れ体制を整えていかなければなりません。
虐待を発見しても受け入れる場所がなければ要観察ということで親のところに返してしまうことも出てきてしまいます。そうすればさらにひどい虐待を受けてしまうこともあります。
児童養護施設に入所している子どもは全国で約30,000人。児童養護施設に入所している子どもの9割は虐待経験があり、また発達障がいを伴っている子どもも多く、ケアをしていくことに経験と知識が求められます。
私が社会的養護施設の第三者評価調査員として愛媛県内の児童養護施設の調査を行っていた際も人手不足の問題は存在しています。
現在は小規模のグループホームがあり、また里親制度があります。
心理的なケアの専門的人材、里親支援専門員も今後さらに必要です。
そして、何よりも「虐待の連鎖を食い止める」こと。
虐待をしている親自身も子どもの頃、虐待を受けた経験のあるという人も多くDV被害のある家庭で育つなど親子関係を築いていくことに不安を抱え悩んでいます。
児童養護施設を退所したあとは一人で自立していかなければなりませんが、就職や結婚、出産などでとまどい、悩んでいても頼る場所がなく社会から孤立してしまうこともあります。
今現在、施設を退所したあとの自立支援事業を行っている自治体もあります。愛媛県でも施設を退所した子供の自立に向けた取り組みを進めていきたいと思っています。
「暴力の連鎖を食い止める」
それは子どもが過ごす環境を整えることだと私は思っています。
暴力のある環境から離れ、安心して暮らせる居場所があり、暴力でないコミュニケーションの方法を身につけること。
信頼できる大人と一緒に過ごすこと。
子どもを育てる人も安心して関われる環境をつくること。
根本的な解決に向けて、子どもたちの健全な育成に今後も取り組んでいきたいと思います。