僕はてんかん持ちです。
発症して以来27年もの間、いろいろな辛い経験をしてきました。
それでも今でも、てんかんと闘い続けています。
「失語」とか「失語発作」と呼ばれるもの、これって、経験したことがある人は意外と多いと思います。
要するに、意識はある状態で、
①言いたい言葉が頭に浮かんでるのに、声が出せない。
②ある人が、話してることはわかるが、何を言ってるのかはっきり聞き取れない(理解できない)。。
というようなことですね。。
これだって、てんかん発作の一種でもあるんですよ。「単純部分発作」の一種ってことですね。
側頭葉にある言語機能をつかさどる箇所に、てんかんの患部(焦点)があると、こういう症状が出やすくなるというわけです。
(あくまで「出やすくなる。」です。「患部(焦点)がこの位置に無くても同様の症状が出ることはある。」と、てんかん専門医である主治医から聞いたことがあります。)
①の場合に、誰かと会話してる時にこの失語発作が出たとしても、うなずいたり、首を振ることはできるので、
相手には発作状態だってことを全く気付かれない、なんてこともあるはずです。
つまり、この失語発作は、自分から事前に伝えておかないと、普通に話しててこれが出ても、相手にはわからないんです。
てんかんが「見えない病気」であり、「理解されない病気」であることの辛さの典型的な話かなと思いますよ。
これって、自分から周りの方に伝えておかないと、周りの方は全く気付きませんが、
本人でも、「これってなんで出るの??これって何なの??」と思ってる方も意外と多いんじゃないでしょうか?
日常生活では、やはり自分の周りの方に「こういう状態になることもある。」ということを伝えておくことも「自己防御」だと思いますよ。
声が出せないのですから、会話中にそういう状態になったら、例えば両手を上げて「✕」を見せて伝えるようにするとか、決めておけばいいと思いますよ。
それだけではなく、主治医の先生にも、この失語発作が出ることは伝えてくださいね。
僕はと言うと、脳外科手術を受ける前は、この失語発作も頻発してました。仕事の日には、ほぼ毎日1回は出てましたからね。。
元々、患部は、右前頭葉、右側頭葉、後頭葉の3箇所でしたし、手術で右前頭葉の一部の石灰化した脳細胞を切除したことで、
幸い特に辛かった身体硬直の発作だけは消失し、全体の発作の回数も激減しました。それゆえに失語発作も頻度としては激減してます。
それでも右側頭葉の患部は残ったままですから、今でもこの失語発作はたまにですけど出てますよ。
それだけではなく・・
これは失語発作とは違うんですが。。
最近何人かのブログの話で読んだ、同様に誤解されてる話からなんですけど。
ボーっとして一点を見つめてたりする欠神発作、あるいは明らかに意識喪失の発作が起きた後、意識が戻ったように思われる状態でも、
ボーっとしている状態でいる場合がありますね。
この場合に、注意が必要な場合があります。
この時にたとえば、「大丈夫??」みたいに聞いてみたら、「うん・・」とか「ううん・・」みたいに答えるとかうなずくことってあると思います。
これって・・答えるくらいだから意識は完全に回復してると思いがちですが・・
まだまだ朦朧としていて意識ははっきりとしてなくても、「うん」、「いえ」くらいの返答ってできるものだそうです。
強い発作で、救急搬送を依頼する時、救急隊の方は到着すると、必ずこんなふうに問いかけるはずです。
「お名前は?」、「お誕生日は?」
この問いかけにはっきり答えられるなら、意識もかなりはっきり戻ってると判断するし、言えなかったり、しどろもどろだったりすればまだ発作中と判断するそうです。
(これも、僕は、主治医に聞いて確認したことのある話です。僕自身の、救急搬送依頼した際の経験からもですが。)
ですから、「はい(うん)」、「いいえ(ううん)」で答えられるような問いかけをして、それに反応しても、発作中なのか回復してるのかの判断できるものじゃないってことです
ある方の話で・・
発作から回復してる?と思われるも、まだボーっとして朦朧としてる状態、あるいは意識の無い状態の本人に、「うん」とか「ううん」で答えられる問いかけして、(問いかけは違っても、そういう答えしか返ってこない場合も含みます。)、その日は「うん」という小声での返答とうなずきをした。
ところが、翌日同じ話をしたら、「初めて聞いた!」と反応があって驚いた、って話がありました。
発作が起きた日に問いかけたり話しかけた内容は、「発作中だから記憶にない」のではなくて、
「発作中で意識が無いんだから、まともに聞こえていないし、覚えてるわけがない。」ということなんですよ。
これは単なる失語発作ではなく、意識喪失状態あるいは朦朧状態ですから、意識の無い発作状態つまり「複雑部分発作」の一種ということになりますが。。
本当に難しい病気だと思いますよね
ご参考までにですが
以下、僕の失語発作経験から以前発信したブログと、オンラインてんかん講座での話を発信したブログを貼っておきますね。
(これは僕が、失語発作で、とにかく辛い思いをしてきたので、具体的な経験談も含めての話です。)
(これは、オンラインで開催された、東北大学中里信和先生のグループ主催のてんかん講座から)