小林旭(こばやし・あきら)左の男性
昭和十三年(1983年)十一月三日生まれ。
歌手・作詞家・俳優・映画監督。
冒頭画像の女性は浅丘ルリ子
大スタア小林旭が『週刊ポスト』2024年
1月12・19日号で現代の日本芸能界の軽薄
さを嘆き、昭和時代の熱き芸道探求を語り
ました。
「NHK大河の『どうする家康』にした
って、主役が軽すぎて、まるで家康
に見えない。俺が大河の『琉球の風』
(1993年)で家康役をやった時は、
必死で人物像を掘り下げて演じたけ
ど、今はアイドルを出せば視聴率を
稼げるという安易な考えで制作し
てるから、重みのないドラマばかり
だ」
(出典『NEWSポストセブン』)
NHK大河ドラマ『どうする家康』をわたく
しは視聴しなかったのだが、旭批評の厳しい
指摘を聞いて、「松本潤に家康は無理だろう」
と感じた事を想い起した。
平成五年(1993年)のNHK大河ドラマ『
琉球の風』における徳川家康/小林旭は風格・
貫録があった。
アイドルで視聴率を稼ぎ軽いドラマを作る
NHKを始めとするテレビ局の安易さをビシビシ
と糾弾し叱責している。
セクハラやパワハラも昔はザラにあり、大部屋
時代の旭さんは、衣装を溝に捨てられたり、殴られ
るシーンは本気で殴られることもあったという。
そうした虐めやハラスメントは一掃される
べきと旭氏は確かめつつ厳しい現場だから学
べることもあったと確かめている。
令和の現代ではやくざとの交流は厳禁とされて
いるが、昭和時代は映画会社重鎮とヤクザの大幹
部の交流があった。
東映の大プロデュ―サー俊藤浩滋と山口組大
幹部菅谷政夫は親友だった。東映やくざ映画で
凄みのあるシーンが多く撮影された事の源には
撮影所にやくざが来て、スタッフ・キャストが
学べたからである。
『仁義なき戦い』の撮影前には、政治結社「共
政会」の二代目会長・服部武さんと銀座で飲
み食いさせてもらった。俺が演じた武田明の
モデルになった人物だ。」
(出典『NEWSポストセブン』)
『仁義なき戦い 代理戦争』(昭和四十八年九
月二十五日封切)『仁義なき戦い 頂上作戦』(昭
和四十九年一月十五日封切)『仁義なき戦い 完結
篇』(昭和四十九年六月二十九日)において小林旭
は武田明を演じた。
シリーズの主役広能昌三(菅原文太)のライバル
で知恵者のやくざである。
『仁義なき戦い』(昭和四十八年一月十三日封切)
『仁義なき戦い 広島死闘篇』(昭和四十八年四月
二十八日封切)『仁義なき戦い 代理戦争』『仁義
なき戦い 頂上作戦』の脚本家笠原和夫が広能昌三
のモデル美能幸三や服部武に取材をして様々な事柄
を教わったことはよく知られている。
小林旭も服部武との会食で質問し学んだことをイン
タビューで確かめている。
「あまりにしつこく俺が質問するから若い衆が
怒りだして、「おいコラ! 何しとんのや!」
と怒鳴るのを、親方が「いいから、いいから」
とたしなめてくれた
(出典『NEWSポストセブン』)
芸への熱意から小林旭が武田明を演じるに当たって
モデル服部武に詳しく質問した。若い衆に怒られると
服部親方がたしなめてくれた。
「主演の菅原文太よりも俺のほうが目立ったのは服
部さんのおかげ」と小林旭は感謝している。
平成年(1998年)八月新世界東映において十三日
『仁義なき戦い』『仁義なき戦い 広島死闘篇』『仁
義なき戦い 代理戦争』、十六日『仁義なき戦い 頂
上作戦』『仁義なき戦い 完結篇』を鑑賞し心身全体
で熱くなり大感激を覚えた。
リアルタイムで映画館でご覧になった先輩方の緊張
と興奮は凄まじいものであったと思う。
「最近のやくざ映画は見ない」と小林旭は語る。不
良性を排除してリアルなやくざ映画は撮れないと抑え
ている。
石原裕次郎・勝新太郎・鶴田浩二・萬屋錦之介との
交流を語っている。
真っ正直に歩んできてスタアの王道を極めた小林旭
の言葉は重い。
現代令和のテレビ界・歌謡界・映画界に対する厳しい
叱責は昭和・二十世紀の黄金時代を身で知るが故に出る
愛の鞭だ。
令和五年(2023年)二月七日NHK総合『うたコン』
において小林旭はハロー!プロジェクトOCHA-NORM
A10人と共演した。
OCHA-NORMA10人は全員21世紀生まれの女性アイ
ドルグループである。
八十四歳(当時)小林旭と十八歳(当時)米村姫良々
の「アキラ キララ」競演にわたくしは感嘆した。
「お父様おいくつですか?」と大スタア小林旭は窪田
七海に礼儀正しく質問した。「父は六十代近いです」と
窪田七海は答え、父上が小林旭さんの大ファンで、今大
スタアさんのオーラに圧倒されていますと感嘆した。
OCHA-NORMA10人が大スタア小林旭との貴重な競演
から得た事を今後の音楽活動で確かめて行くと期待して
いる。
ななみんには、大スタア旭さんから存在感の大きさか
ら沢山の事柄をキュルルンと盗んで欲しい。
五十年前の今日1974年1月15日『仁義なき戦い 頂上
作戦』は封切られた。
抗争で戦った広能昌三と武田明は共に逮捕され、警察
署において偶然再会し出所後の厳しさを予測しながら寒
さが現在の身体に応える事を確かめ合う。
笠原和夫が書き深作欣二が撮り、菅原文太と小林旭が
演じた芸に、物語の終わり方の理想を学んだ。
令和五年(2023年)一月十五日
文中敬称略
合掌