ギターを持った渡り鳥
『ギターを持った渡り鳥』
映画 トーキー 78分 カラー
昭和三十四年（1959年）十月十一日封切
製作国 日本
製作言語 日本語
製作会社 日活
配給 日活
原作 小川英
脚本 原健三郎
山崎巌
音楽 小杉太一郎
撮影 高村倉太郎
編集 近藤光雄
出演
小林旭（滝伸次）
浅丘ルリ子（秋津由紀）
中原早苗（庄司澄子）
渡辺美佐子（リエ）
青山恭二（安川）
白木マリ（マリ）
二本柳寛（沼田）
木浦佑三（庄司明夫）
鈴木三右衛門（海上保安官1）
神戸瓢介（マッサージ師）
青木富夫（鉄）
弘松三郎（馬場）
伊丹慶治（船長）
野呂圭介（サブ）
片桐恒男（スベニヤショップ店長）
近江大介（源治）
高田保（清水）
宮川敏彦（秋津組子分）
衣笠一夫（澤田土建の作業）
原恵子（小料理屋のおかみ）
清水千代子（房子）
菊田一郎（秋津組子分）
倉田栄三（澤田土建の作業員）
渡井嘉久雄（秋津組子分）
金子信雄（秋津礼三郎）
宍戸錠（ジョージ）
監督 齋藤武市
◎
白木マリ＝松島恭子＝白木万理
青木富夫＝突貫小僧
◎
鑑賞日時場所
令和元年（2019年）十二月十五日
京都文化博物館
◎
美男の若者滝伸次はギターを持って渡り
鳥として港町に流れてきた。バーで助けた
男サブからその親分秋津礼三郎を紹介され
る。秋津は伸次を気に入り自分の元で遊んで
いるようにともてなし仕事を斡旋した。伸
次は秋津の指示通りマーケット住民の立ち退
きを為し鬼と恐れられる。
礼三郎の美しい娘由紀は伸次に悲しみが
根にあって乱暴な振舞をさせていることを
感じていた。
秋津は沖合の小島にアミューズメントセンタ
ー建設をしようと狙って丸庄産業を叩き潰そう
と狙い伸次を派遣する。丸庄産業の澄子は秋津
の妹であった。伸次は親分秋津の命令でもあって
も断りを決める。
神戸の田口組で活動していたジョージが秋津を
尋ねてきた。ジョージは伸次のダイスさばきに感
嘆する。
ジョージと伸次は麻薬取引の為船で沖合に向かう。
伸次はジョージに勝負を挑まれる。伸次が過去に自
身の舎弟を殺害し神戸市警を解雇された刑事であっ
たことにジョージは気付いた。巡視艇が来たため勝負
は伸ばされる。丸庄が殺され秋津の犯行であると伸
次は洞察し彼の傘下から離れることを決める。
ジョージは馬場と戦い彼を倒した。
伸次は秋津に決戦を挑む。
◎渡り鳥伸次◎
小林旭は昭和十三年（1938年）十一月三日に
誕生した。二十世紀・二十一世紀の日本音楽・
映像の大スタアである。
滝伸次は美男旭によって命を吹き込まれた。
旭が伸次を演じ勤め『ギターを持った渡り鳥』を
歌う。アクションはかっこいい。
過去にジョージの舎弟を殺してしまったこ
とを痛み神戸市警を解雇され渡り鳥となり、美
女由紀に惹かれる。由紀の父礼三郎に雇われて
立ち退き仕事を為すが、親分の非道に怒り対決
を決める。
惚れた美女の父親と戦う。この伸次の苦渋を
旭が繊細に尋ねる。大詰のジョージとの激突に
痺れる。
浅丘ルリ子は昭和十五年（1940年）七月二日
満洲国に生まれた。本名淺井信子である。家族は
バンバートン抑留所に収容された後、昭和二十一
年（1946年）に引き揚げを始める。
昭和二十九年（1954年）映画『緑はるかに』
でデビューを飾る。自分は『緑はるかに』を未見
である。この作品で淺井信子は浅丘ルリ子の芸名
を名乗った。
十九歳で勤めた秋津由紀は美しさが絢爛と輝い
ている。
旭・ルリ子の伸次・由紀はまさに美男美女だ。
金子信雄は大正十二年（1923年）三月二十七
日に東京府に誕生した。俳優・料理研究家として
活躍した。
老獪な策略家秋津礼三郎を三十七歳の若さで
演じた。既に悪役名優として堂々たる存在感を
見せていたことが窺える。
平成七年（1995年）一月二十日金子信雄は七十
一歳で死去した。
宍戸錠は昭和八年（1933年）十二月六日大阪
府に誕生した。昭和二十九年（1954年）日活ニ
ューフェイスに合格し翌三十年（1955年）『警
察日記』薮田巡査で映画初出演を飾る。
灰汁の強い個性を輝かせタフで粘りのある役柄
で大スタアになった。
エースのジョーは逞しい。
白木マリ・渡辺美佐子・中原早苗も綺麗だ。
齋藤武市監督は渡り鳥伸次が親分秋津の残忍さ
に抵抗戦を挑み、その娘由紀への恋心の道に悩む
というドラマも鋭く描く。
大詰の後の伸次・由紀の会話に心を打たれた。
くどくなって申し訳ないが惚れた美女の父親が
強敵という伸次のドラマに自分は興奮する。
令和五年（2023年）二月七日NHK総合『うたコ
ン』に小林旭は出演しハロー！プロジェクト末っ子
グループOCHA‐NORNAと共演した。
小林旭
米村姫良々
アキラキララの美男美女。
八十四歳にして益々若々しくて堂々たる歌声
は熱い。
『ギターを持った渡り鳥』における小林旭の
滝伸次は不滅のヒーローである。
金子信雄生誕百年・百歳誕生日
令和五年（2023年）三月二十七日
合掌