ディア・ファミリー | Pessimistic Optimist

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徒然の想いと出来事

今年15本目となる劇場鑑賞映画は前作に引き続き邦画でした。

 

「ディア・ファミリー」という作品です。

 

バルーンカテーテルを作り上げた方の実話がベースで、町工場の社長が、生まれつき心臓疾患のある娘を助けたい一心で、何等、医学知識もない中、猛勉強しながら職人技術を駆使して、当時から硬直しまくりの日本医学会では成し得なかった偉業を達成した23年間に渡る戦いを描いた作品です。

 

大泉洋演じる主人公と妻役の菅野美穂、そして3人の娘達という5人家族の絆を中心に、何度も何度も、権威主義的硬直化した、医学界の壁に跳ね返されながらも、私財を投げ打ってでも、生まれつき心臓病を患う次女を助けたい一心で、人工心臓を作ろうと奔走する父親像にまず感動しますし、それをサポートする家族の姿に感動します。

 

しかし結果は人工心臓は実現に向けての臨床試験、総額2,000億円もかかるという大きな壁に跳ね返され断念せざるを得ず、次女の命は救えないというものなのですが・・・

 

自分の為にどれだけ父母が頑張ってきたかを知る次女が、自分の命の事は良いから今迄頑張ってきた知識と経験を生かして、他に救える人を救って欲しい、と父親に願った事で、結果バルーンカテーテルという、それ迄常用されていたアメリカ製のものとは異なる素晴らしい器具が開発され、既に17万人もの人の命を救っているという話に帰結し、次女は23歳でこの世を去ります。

 

実話だけに非常に心打たれる部分が多いのですが、惜しむらくは約2時間の上映時間で23年にも及ぶ苦闘を描くのは土台無理があり、出演陣も豪華な分、各自の出演場面も優先される忖度もあってか、全体的にオムニバス的軽さを感じてしまう点でしょうか。

 

メジャーな今作ですし、それこそTV的に軽く描きながら、それ也に感動も出来る、皆さんが観易いお得な映画でしょう・・・といった感覚になってしまうところが気になりました。

 

今作の前に観た「かくしごと」という映画のじわじわと胸掻きむしられる様な深い感動と比較すると非常にオーソドックスで馴染みのある、お気軽お涙頂戴邦画という感じが否めませんでした。

 

ただ、実話ならではの凄みがありますし、こんな人が実在し、現在も現役で、メディカル器具の開発会社を運営されているという事実を知る意味では非常に価値ある映画だと思います。

 

普通の感覚で涙も流れそれ也に爽やかな気分にもなれる映画として鑑賞されるには最適ともいえ、密かにお薦めしたいです(^-^;