映画 「PLAY 25年分のラストシーン」 令和2年11月6日公開 ★★☆☆☆

(フランス語、 字幕翻訳 村上伸子)

 

 

 

1993年のフランス、パリ。

マックスは両親からプレゼントされたビデオカメラで撮影を始め、いつしかそれがライフワークになる。

38歳になったマックス(マックス・ブーブリル)は、25年間の映像を編集しようと思い見返すと、

遊びや旅行、サッカーのワールドカップ、ミレニアムなど、そこには常に仲間の姿があった。

マックスは、この映像のラストシーンを準備しようとする。               (シネマ・トゥデイ)

 

 

さえないアラフォーのマックスは、

25年前から自分が撮りためたビデオ映像を編集しようと思い立ちます。

 

25年前、ビデオカメラ(スーパー8?)を買ってもらった13歳のマックスは嬉しくて嬉しくて、

常にカメラを持ち歩き、日常のいろんなシーンをカメラに収めていました。

最初はホームパーティの準備とか、とりあえず被写体は家族から。

両親はカメラのまえでノリノリでおどけてくれますが、

年頃の姉には嫌がられていました。

 

「指を鳴らしたら上半身裸になる」とか

「別の場所に瞬間移動する」とか

カメラの特性を生かした特殊撮影的なことをやって喜んでいたのですが、

そのうちに、殺人事件のビデオを撮ろう!と仲間たちが集まります。

友人のマチアスとアルノー、それに

「降霊術のシーンに処女がいる」といって、近所の女の子エマとオリビアも誘います。

 

 

出会ったころの5人です↑(そのうちオリビアとは疎遠になってしまうみたい)

 

バカロレアの準備でカメラ禁止の時期があったり、

98年のワールドカップ優勝

マックスが免許をとって初めて運転し、前の車にぶつけて騒動になったり

ミレニアムやバルセロナ旅行で羽目をはずしたり・・・・

エマとは何度かいい感じになるんですが、結局すれ違ってしまいます。

 

大人になった彼らは、仕事や結婚を考えるようになります。

医学の道をあきらめてカメラマンを目指すエマ、

仕事に成功しニューリッチとなったマチアス、

マックスは俳優を目指しながらピザ配達のバイトをしています。

 

(2008年、マックスの母が入院・手術をし、退院後にサプライズパーティ)

 

やがてエマはDJの男性と結婚

アルノーもかなり年上のクリステルと結ばれ、

マックスは、劇を見に来ていた美女のファニーと一夜を共にしたら妊娠、

ルーが生まれてマックスはパパになります。

 

 

マックスの実家を明け渡すことになり、

(その際にたくさんのテープを発見した?)

「ケーキを作ったけど、お母さんのケーキには及ばない」とエマから動画が届きます

(マックスの母が亡くなった?)

 

「25年カメラに隠れていたが、これからはちゃんと向き合おうと思う」

「伝えないと後悔するとわかった」

「タバコを控えればあと50年生きれる。残りの日々を君と生きたい」

そして、エマの職場に侵入し、サプライズのプロポーズをするのでした。

                              (あらすじ  おしまい)

 

「撮りためたビデオ画像をつなぎ合わせた」

という体(てい)で作られているので、説明不足は重々承知で

充分ハードルを下げてみていたんですが、

それにしても、マックスにもエマにも(フランスだから正式に結婚してないとしても)

ちゃんとパートナーがいて、離婚したともいってないのに、

最後のハッピーエンドっぽい「ラストシーン」はなんなのかな?

 

 

チラシのこの3枚の写真を見る限り、

13歳から38歳まで、この4人をリアルに追った映画だとおもっちゃいますよね。

リンクレーター監督の「6才のボクが大人になるまで」が12年だからその倍だ!・・・・

ってね。

 

 

↑はフィクションですが、ガチで12年かけて撮影しています。

本作は、実際は、25年分のビデオ再生という設定の下に

似てる子役を探して普通に台本つくって撮影しているんですよね。

最後までそのことを気づかせないレベルだったいいんだけど、

同一人物にしか思えなかったのはエマだけで、

男性3人はまあまあ似ている程度。

「突然人が変わったぞ!」と気づく瞬間があって、

そうなると、写してるカメラの機種を時代にあわせたり

カメラでとった画像の隙間に「刑事コロンボ」の録画がはいりこんだりの細工も

全部嘘っぱちに見えてきて、がっかりです。

 

この映画、ミレニアムやサッカーの大群衆のシーンとか時代の再現に

地味にお金かかってるんですけど、そこにかけるんだったら、

男性三人に完璧な特殊メイクをしてでも、最後まで騙しつづけてほしかったな。

 

 

私が一番好きだったのは(年齢的なこともあるでしょうけど)

時々映像に紛れてくるマックスの母。

最初は夫婦仲も良かったのですが、

そのうちケンカする声がビデオに聞こえてきます。

多分離婚したんでしょうね。

 

そのあと、病気になり、2008年2月に入院。

手術室に向かう直前に、昔のカンニングの話を面白おかしくしはじめて

「じゃあその話の続きは手術のあとにしてね」とマックスにいわれます。

これ、映画的には死亡フラグなんですけど、

無事手術を終えて退院、サプライズパーティとなります。

その後もマックスの舞台を見にきたりしていたけれど

「治ったわけじゃない」といっていたから、

命の危険は続いていたんでしょうね。

 

そしてエマからの涙のビデオレター、家の明け渡しなどから

母のことは何も語られなくても

「ママは死んじゃったのかな?」とわかるわけです。

 

こういう「ビデオの裏に隠された話」がほかにもあったらいいのに・・・

(私が気づかなかったからかもしれませんが)

 

90年代には、こういう常にビデオを持ち歩いている男の子いましたよね。

最近見た作品でも・・・

 

 
 
↓こちらは2000年代だけれど、
「カメラをもっていて画面には映っていない子の気持ちが一番伝わる」
というのは本作と共通する気がしました。

 

 

 

★の数が少ないのは、私と相性が悪かっただけで、

(38歳で人生ドラマのラストシーン考えるなんて、50年早いよ!というのが本音)

国は違っても90年代に青春を送った同年代の人には

流れる当時のヒット曲とか、懐かしいのではないかと思います。