最近のテレビCMで興味深いのがあります。
スタジオでの番組制作の裏方風景でね、本番前に使用しようとした風船膨らませ器が故障してディレクターが「どーすんだよぉ」と言ったところで、うら若き女性ADが近づいてきてズバッとひと言。
「やめてもらえますか?弱音吐くの!」
その後、みんなで缶コーヒーをぐびーっと飲んで手分けして人力でふ~~って風船膨らませてるっていうやつ。
わが社は局での番組制作ではないですが、モノづくり…という意味ではビジネス的に、また職場環境もわりとこういった系統に近いのです。なので、このCMはやけに共感してしまいます。
採用において、通常の会社勤めよりも、こういうクリエイティブな仕事に是非関わりたい、興味があるという学生さんは少なくないです。ありがたいことです。
でもね、そこで採用担当としては、学生さんに表面的な華やかさとは裏腹にいかにそういったビジネスが一筋縄ではいかず、精神的身体的に過酷であり、理不尽であり、ちょっとやそっとの「やる気」だけでは続かない仕事なのか…ということを理解してもらうように努めます。
ビジネスの魅力ではなく実態を伝える、入社した社員の1年2年3年のリアルな姿を伝えるのです。この仕事に就くとこんな目にあうよ、こんな日々が続くよっていう話です。
それが辞めない社員集団づくりの最大のポイントになるのですね。
そもそも実社会ってのは甘くはないんです。
『カジマンのブログ』プロフィールの横の欄に書いた通り
「やりたい・入りたい・入社したら頑張ります」という人は採用できないのですね。
採用には、前述「カジマンの法則」のここは「マ」に関連してきます。
就職活動をする時点から先のことよりも「マエ」にこそその学生さんの魅力が潜んでいるわけです。
よって、これまでどんな学生生活、どんな状況でどんな対応をしてきたかの事実を学生さんに質問してみます。で、どんな回答が出てくるか集中してその話に耳を傾けます。
世の中、周到な準備しても当初予定した段取り通りにコトが運ばなかったり、突然のトラブルに見舞われることってあったりするんですよね。
そんなときに臨機応変に対応する頭の切り替え、なんとかする能力が求められる…。
そんな筋書き通り行かない可能性が多い仕事に対して、その体験談を尋ねて目の前の学生にそんな引き出しがあるのかどうかの確認をするんです。
実体験・エピソードの中からしか“使えそう”や“ものになりそう”の雰囲気が伝わって来ない。
言われたことを一所懸命やることはできても、さてこの場をどうしたものか?の応用問題に立ち向かってゆけるかどうかの取り調べ…。
刺激に満ち溢れた一般社会、世の中での実体験を数多く積み重ねて、試行錯誤の中から多くの引き出しを体感させておくこと…。
家庭の中でもそれは仕組むことができると考えています。
親の意識と場の設定ですね。さらに学校でも。
先週名古屋の専門学校で、モノづくりの現場実習でみんなテキパキ動き回ってる中で、ボーッとつっ立ってるのはいつも男子学生だ…と先生が嘆いていました。