お互いに関与しない同居を望みます | 非・劇的な日常

非・劇的な日常

朗読公演ユニット「本読みの時間」主宰・甲斐祐子です。公演情報は、https://lit.link/honyominojikan にまとめて記載しています。こちらは終演報告がメインかもです。ご了承下さい。

イエグモがいます。

あ。
いきなりで、すみません。

いきなりですが、まあ、イエグモのお話です。

イエグモ。
蜘蛛です。
2~3日前から、ちょこちょこ遭遇します。
5cm弱くらいです。
結構デカい。

爬虫類・両生類・昆虫類と総じて、リアルミニチュア怪獣系生物を苦手とする私ですが、蜘蛛だけは、なんとなく怖くないのです。
もちろん、触れません。
近づきたくはないです。

でも、まあ、同じ空間にいることに恐怖は感じないです。


イエグモは殺しちゃダメ、って言われませんでした?

私、これ、親に言われた記憶はないんですが、結構、至る所で聞いてます。

蜘蛛って、他の虫食べてくれるんで、私みたいな「虫さんとの共存?無理無理無理ー>_<」な人間には、ちょっとだけ頼もしいのです。

でも、一番は多分、大昔の経験です。

ガタイのデカさに反してひ弱かった私は、子供の頃、しょっちゅう発熱する子でした。
特に、思春期と呼ばれる10代前半は、ホントにもうしょっちゅう。
今思えば、あれは、一種の自家中毒みたいなもんだったのだろうとわかるのですが、にしても、しっかり毎回結構な高熱が数日続くわけですから、本人も周りもたまりません。

中2の時。
相変わらずの発熱で、しかも、その時は38度くらいの熱が3、4日続いて弱り切ってる時でした。
起きてんだか、寝てんだか、はっきりしない感じで、ぼーっと布団の中にいた私の頭の上で、正確には、左斜め上くらいで、

ゴソッ

と音がしたのです。
割としっかりとした、ゴソっ。


先にも書きましたが、私は本当に哺乳類以外の生き物が、特にそのフォルムが苦手で、中でも G(あまりにも苦手過ぎて、その名前を自ら記すことも嫌で、某先生の命名に従い、タロウさん、と私が呼ぶところの生きた化石生物です)が、怖いんです。

あれは、怖い>_<

ウチは早くに父を亡くしましたし、兄とも歳が離れているので、私の10代は母との二人暮らしが殆どです。
今思えば、多分、お嬢様育ちの母ですが、やはり、母は強し、です。
多分、私と二人になって母は強くなりました。
家の中でタロウさんに遭遇した私は、タロウさんを刺激しないよう、でも、恐怖で普段より高くなった声で

お、おか~さん~

と呼べば良いのです。

なんせ、私が進学で家を出る時に、母が私に言ったことは、
「これからは、電話でお母さん~って言われてもお母さんすぐには行かれないから、自分でなんとかしてよ」
だったくらいで。

お恥ずかしい。笑


さて。
枕元のゴソッ、です。

どれだけ、熱で朦朧としていても、恐怖には反応します。

瞬間的に目を向けた左斜め上には、当時愛読していた雑誌「花とゆめ」。
(ちなみに、私は、なかよし→りぼん→花とゆめ、です。この、なかよし→りぼん→の後にどの少女系コミックに行くかで、その女子のその後が決まるという分析は、我が友人・メガネヤの持ちネタのひとつですが、それは、また、別の機会に。笑)

雑誌に覆いかぶさるような、黒いカニ?

いえ、蜘蛛でした。


ドン! と心臓が波打ったのを覚えています。

一瞬。
本当に一瞬だと思います。

それまでのダルさやなにも忘れて、凝視。

多分、ものすごくか細い声で、母を呼びました。
届かないだろうくらい、小さな声。


親って、凄いですね。
聞きつけて、もしくは感じとって、きてくれました。

でも、古い家の軋む階段を登ってる音や振動ででしょうか?
母が私の部屋の襖を開けた時には、枕元には雑誌しかありません。


母が襖を開けて、
私が母の顔を見て、
二人で、私の枕元を見て、
(母が部屋に来た時、私は起き上がってました。布団にぺたんと座っていたのです。3日間、お手洗いへも這うようにして行っていたというのに。どのタイミングで起き上がったのか、自分では、全く覚えていないんですけどね)

泣きはしませんでしたが、とにかくデカい蜘蛛がいたということを伝えて、母が部屋の中を探し回って、でも、見つからなくて、としている内に、あれ? 

アタシ、動き回ってる?

なんせ、怖いので、自分の部屋の捜索を母に任せて、私は隣の部屋に逃げ込んでました。
その間、母に、机の下は?とか、押入れの方は?などと指示だけは出していたのです。
立ったまま。


どうやら、あまりのショックに、一気に熱が下がってしまったようです。


妙に身体が軽くなって、
次の日、念のため、病院には行きましたが、元々が原因不明に近い発熱ですから、熱が下がって本人が元気なら、当時のお医者さんはこだわりません。

それから、私が画期的に発熱しない子になったかというと、そんなことはなくて、相変わらず、しょっちゅう熱を出す子ではあったのですが、ただ、なんか、発熱したことで自分を追い詰める気持ちはなくなった気がします。

ドン!ってなった自分の心臓の音と、

階段を登ってくる母の足音と、

見てないのに、一緒にデッカい蜘蛛を怖がってくれた母と、


なんか、上手くまとめられませんが、私の中で、やっぱり

イエグモは殺しちゃいけないよ、

なのです。

とはいえ、あんまり唐突に出て来られると、ふぎゃ!ってなるので、お互い関与しない形での同居を望んでいたりするのです。




いろんなことが、やっと少し落ち着いてきた気がします。
まだ、整理しきれていない感情は多々あるのですが、それは表に出しても得のないことだとアドバイスをくれる人がたくさんいることもわかったので、自分だけで整理をするのでなく、許される場で少しずつ吐き出して処理しようと思えるようになりました。


憶い、は
様々なきっかけで、自分の中に浮かび上がってきます。
昔のまんまだったり、
形や手触りを変えていたり、

思い出すことは、時に、辛いけれど、
でも、それが、一歩前進の力になることもある。
そんなことを思って取り組んだ時間のことを、これからちょっとずつ、お披露目していこうかな、思ってます。


でも、
あのデッカい蜘蛛!

ホントにいたのよ。。。。。もう、会いたくないけど。>_<