「昨日はね、あれがあってー・・・」

今日の放課後もユナと帰った。

ユナは僕の隣で昨日のテレビ番組の話しをしている。

「・・・いい・・・かな?」

???

ユナが照れた顔で僕を覗き込む。

・・・話し聞いてなかった・・。

「ん・・・?いい・・よ。」

よくわからないけど言ってみた。

「よかったぁ!じゃぁ、服はそのままでもいいよね。親はいないし。」

「へ?」

なんの話しをしているのかわからない。

「じゃ、決まりだね。さぁさぁ。上がってよ♪」

「ちょっ・・・」

ユナが僕の背中を押す。

手を引っ張りつれてこられたのはユナの部屋だった。

「なんかあったらいってね。夕飯の準備するから。」

ユナは台所に立って料理を始めた。

なんかこの流れでいくと、僕がここに泊まることになったみたいだ。

まぁ、いいか。

家に親いないし。今は旅行中なのだ。

僕はテレビのリモコンを手に取る。

「あっ。もうすぐできるからね。」

「うん。」

しばらくして机の上に料理が並べられた。

「うまそーっ!!」

「ははっ。味はどうだろ・・・」

「いただきまーす!」

僕の大好きなオムライスだった。

パクッと一口食べる。

「おいしい・・・?」

「うん!最高!」

僕は夢中で食べ続ける。

「ふふっ・・・よかった。」


「はぁ。お腹いっぱい。お皿かた・・・」

――――チャラン♪チャララン♪

僕のケータイが鳴った。

僕は聞こえてないかのようにお皿を運んだ。

「いいの?でなくて。」

「あぁ・・・いいさ。」

もし出た相手が女だったらユナはきっと怒るだろう。

そんな予感がした。

「あっ。先にお風呂入っちゃっていいよ。その間にお皿洗っておくから。」

「ありがとな。」

僕はお皿洗いをユナにまかせると風呂に入った。

ケータイを残して・・・


「あー。いいお湯だった。」

僕は着替えてユナの部屋に入る。

ユナが後ろを向いている。

「ユナ・・・?」

「ねぇ・・・またケータイ鳴ってたよ・・・。」

「あぁ、ごめん。今度は出るから。」

ユナがゆっくり振り返る。

「大丈夫。もうケータイは鳴らないから・・・。」

「えっ???」

ユナの手元を見ると真っ二つに折られたケータイがあった。

「何してるんだよっ!!」

「何してる・・・?見ればわかるでしょ。」

「なんでケータイ折ってんだよ!」

僕は怒鳴る。

「ねぇ。誰からかかってきたかわかる?」

「・・・。」

僕は下を向いて黙ってしまう。

「なつ・・・。なつっていう女だよ!なんであいつはテルキって呼び捨てにしてたの?ねぇ!」

ユナは僕を突き飛ばした。

「痛っ・・・!」

腰を強く打ったみたいだ。

「なつって子と、この間も会ってたよね・・・?あの子なつって子だよね?」

「そうだけど・・・」

「なんで!?どうして!?さっきなんで電話にでなかったの?ねぇ!」

ユナは狂ったように僕にペンや本や近くにあった物を投げつけてくる。

「やめっ・・・!やめろっ・・!!」

「・・・っ・・」

ユナの手が止まった。

「落ち着けって・・・」

ユナが僕に近づいてくる。

「じゃぁさ、あの子と仲良くしないって約束できる?」

不気味に笑うと僕にハサミをむけた。

僕は怖くなり震えが止まらない。

「はぁっ・・・はぁっ・・・!」

「約束・・・できないの?」

僕の喉にハサミをあてる。

冷たい感触がした。

「するっ・・・約束・・・するから・・」

「・・・わかった。」

そう言うとユナは僕から離れた。

「ユナ・・・ごめん。」

僕は謝った。

「・・・いいの。ユナが悪かったの。勝手にケータイに出ちゃったから・・・。」

ユナは僕の体をみて驚いたようだった。

「・・・っ!大丈夫!?ごめんねっ・・・痛かったね・・ごめんね・・・」

ユナは僕の体に傷ができた事を今しったかのように泣きながら謝り続ける。

「・・・いいよ。悪いのは僕だ・・・。」

そう言いつつも目はユナを見ていない。

怖くて見れないのだ。

今のユナはいつものユナだ。

でも、さっきのユナは別人だった。

・・・誰だったんだよ・・・

「おはよ。テルキくん。」

「あぁ。おはよう。」

玄関を開けたらユナが立っていた。

帰る時は一緒だったけど学校に行く時はいつもバラバラだった。

「嫌だった・・・?」

「ううん。嬉しいよ。」

僕はニコっと笑う。

「クラスも一緒なんだし、一緒に行ってもいいかなって思って。」

そう言うとユナは歩き出した。

僕はユナの隣を歩く。

学校まで半分の距離になったときユナが口を開いた。

「・・・・あのさっ・・」

「ん?何?」

「昨日・・・放課後何してた・・・?」

「えっ・・・」

心臓がドクンと音をたてる。

「・・・何してた?」

ユナの足が止まる。

「公園にいたよ・・・。」

「・・・誰と?」

なぜこんなにしつこく聞いてくるんだろう。

「友達と・・・。」

ユナは知るはずないんだから、ここはごまかしてもいいよね。

「・・・友達って・・・あれが?」

「あれって・・・?」

ユナの顔が怖い。

「・・・隣のクラスの女の子よっ!!」

ユナが怒鳴り声をあげる。

どうしてそれを・・・

「・・・あの子が友達なわけないよね?

「そ、相談をうけてたんだよ。心配ごとがあるからって。」

「・・・ユナの?ユナのこと話してたよね。」

どうしてそれを・・・。

「いいよ。もう。」

「へ?」

急な展開についていけない。

「今日ユナの家に来て。」

「・・・わかった。」

わけがわからないまま、また歩き出す。

***放課後***

学校は何事もなく終わった。

ユナと僕と2人で帰る。

「・・・朝のこと覚えてる?」

「うん。」

僕は家に帰らず、ユナの家に上がる。

「ここに座ってて。」

僕は言われた通り座る。

ユナがジュースをもってきた。

「ありがとう。」

僕はジュースをうけとる。

「・・・・ユナね、いろいろ心配になってきて・・・不安なの。」

ユナが今にも泣きそうだ。

そんなユナをそっと抱きしめる。

「テルキく・・・ん?」

「ごめん。大丈夫。僕はユナのこと大好きだから。」

ユナを抱きしめベッドに運ぶ。

「いい・・・かな?」

ユナはコクリと頷く。

僕はユナをたしかめるようにゆっくりとひとつになった。


「・・・ごめんね。」

「何が?」

ユナが謝ってきた。

「朝問い詰めちゃったでしょ?テルキくんはただ相談のってただけなのにね。」

「あぁ、いいよ、別に。」

「ユナの悪口でも言ってたかと思って・・・。」

「・・・違うよ。だから安心して。」

答えるまでに少し時間がかかった。

別に悪口ではないけど、ユナの過去のことを話してたわけだし。

今日はその申し訳なさからひとつになったってのもあるんだけどね。

でも、ユナは今日僕を誘ったのは何故だろう。

これも作戦・・・!?

なわけないさ。

自分の彼女をそんなふうに見てはいけないよ・・・。

僕は三沢テルキ。

僕には彼女がいる。

あっ。きたきた。あれが僕の彼女だ。

「テルキくーん?一緒に帰ろう?」

「うん。」

僕の彼女は佐々木ユナ。

付き合い初めて一か月程度だ。

「今日もユナの家来てくれる?」

「いいよ。ユナのおいしいクッキーが食べたいな。」

ユナの手作りクッキーはとてもおいしい。

僕の大好物だ。

「ははっ。照れちゃうな。」

ユナはふわふわしていて笑うととっても女の子らしい。

***翌日の放課後***

「今日も一緒に帰れる?」

「ごめんっ。今日は用事があってさ。」

「用事って?」

「まぁ、いろいろと・・・。」

「ふーん・・・。・・・・・・・・・ねぇ、何か隠してる?」

「いやっ・・・別になにも・・・」

「まぁいいや。また明日ね。」

ユナは走って帰ってしまった。

はぁ・・・。

危なかった。

僕がユナの誘いにことわる事はめったにない。

だから怪しく思ったのか、今日はちょっとしつこかったかな・・・。

でも、今日は塾が一緒の女の子に相談したいことがあるって言われたし。

まっ、いいか。

はやく行かなきゃ。

***待ち合わせ場所***

「ごめん。待たせちゃったね。」

「あっ、いいよ!別に。」

この子は木元なつ。

ユナとは違い、明るくて元気なかんじだ。

「相談って何?」

僕はそう言いながらなつの隣に座る。

「あのね、テルキってさぁ、ユナちゃんと付き合ってるじゃん?」

「うん。」

「ユナちゃんって子さぁ、なんかいろいろヤバイんだよ。」

「いろいろって?」

僕はちょっと不安になった。

中学はユナとは違う学校で、高校になって一緒になったから中学のユナは知らない。

「元彼がひどいめにあったってきいたし。顔にアザとかできてたり。」

「でも、それをユナがやったって証拠はないでしょ?」

「元彼が、一時期学校来なかったんだよ。で、ある日突然学校にきて話しを聞いたら、ユナちゃんに両足首の骨折られたんだって。入院してたから学校こなかったんだって。」

「・・・。でも、女の子が骨折るような力あるのかな。」

「そのときはいつもと違って別人のようだったって。」

「・・・・・・・。」

僕はうつむいたまま黙り込んだ。

「ごめんね。こんな話。」

「いいよ。本当の事なんでしょ?でも、僕ユナのこと好きだから・・・。」

「嫌いになれとかそんなんじゃなくてさ・・・。ただ、なんかあったら言って欲しいなって思うの。」

なつはニコっと元気な笑顔を僕に見せる。

「なつ、ありがとう。なんかあったら言うから。」

「うん♪ユナちゃんに今日のこと怪しまれないようにね・・・。」

「わかった。」

「じゃぁ、またねっ☆」

「うん。また・・・。」

なつは大きく手を振り帰った。

ユナがそんなことするなんて・・・。

でも、一応気をつけておこう。

あたりが暗くなってきたとこで、僕は家に帰った。