・・・はぁ・・・

お腹空いたな・・・。

今何時だろう?僕の部屋の時計は壊れていて、いつもケータイで時間を確認していた。

こんなことになるんだったら早くなおしておくんだったな。

カーテンも閉まっていて外の様子が分からない。

僕の部屋は一階にあり、カーテンを開けて、窓を開けて大声で助けを呼べば誰か気付いてくれるだろう。

でも、あいにく僕は縛られている。立つことすらできない。

外の微かに聞こえる声からして、下校途中の小学生だと思う。


――――コンコン


ん?

いろんな声に混じりながらも窓をノックする音が聞こえた。


――――コンコン・・・ル・・・開け


今、確かに声がした。

でも、開けようにも開けれない。

僕はゴロゴロと窓まで転がる。

窓は窓でも、大きい壁が窓になったみたいな大きいサイズだったため鍵に位置が低かった。

僕はなんとかカーテンを開けた。

「なっ・・・なつ!」僕はびっくりした。

そこには元気いっぱいのなつがいた。

「早・・あけ・・・」

窓ごしのため、いまいち何をいっているのかわからなかったが開けてほしいといっているのはわかった。

僕はなんとか足をめいいっぱい伸ばし鍵をガチャンッと降ろした。


――――ガラガラッ


「テルキ!!ちょっと何それ!?なんで縛られてるの!?」

なつは靴を脱ぎすて部屋の中に入ると僕を縛っているモノをほどこうとした。

「ダメだ。ほどいたらなつがここに来たことがバレてちゃう。」

「・・・そっか・・・でもさ、なんかこの部屋変だよ。」

部屋の中をグルッと見わたす。

「そう・・・?」

「なんか変。ちょっと静かにして・・・」

僕はいわれた通りに静かにする。


――――ヴゥゥゥ…


「小さいけど何か音がするでしょ。」

「うん。」

本当に微かだが機械が動くような音がした。

「多分これ、カメラの音だよ。テルキを監視するための。ユナちゃんがつけたのかな。」

声のボリュームを下げるなつ。

「全然知らなかった・・・。じゃぁ今のこれもユナが見てるってこと?」

「うん。多分ね。学校にも来てないし。」

「どうしよう。これをみたユナは絶対ここにくるって。」

「ごめん。ユナちゃんに何かされるかもしれないけど、今日一日だけは耐えて。」

申し訳なさそうにいう。

「今日だけ?」

「うん。私、もしかしたら、テルキくんがユナちゃんに捕まっちゃったんじゃないかと思ってね。だから、逃げ出せるように作戦考えてきたよ。」

にっと笑うなつ。なんと賢い子だ。

「この紙にかいてあるから後で読んでね。そしたら食べちゃって。捨てたら証拠が残っちゃうでしょ、だから飲みこんで。」

「う・・・うん。わかった。ありがとう。」

紙をもらうと同時に小さな目薬を入れる入れ物みたいなのをポッケにさりげなく入れられた。

「鍵・・・できる?」

「うん、なんとか。」

「じゃぁ、計画通り。今日何かされるかもしれないけど、頑張って。」

「うん。ありがとう。きっと死にはしないから。」

なつはピョンッと垣根を飛び越えると走って帰って行った。

「はぁ・・・。」

僕はなんとか窓の鍵をかけた。

そいして上手にカーテンを閉めるとそのままゴローンと寝ころんだ。

それにしても、いつ読めばいいんだろう。

隙をみて・・・なんてね、出来っこないさ。縛られてるんだもん。

そんなことを考えていたら玄関のドアが開く音がした。


――――ドンドンドン


昨日より足音が激しい。

多分ユナだ。

怒っているんだろう。


――――ガチャガチャッ・・・バタンッッ


勢いよくドアがあいた。

「・・・・テルキくん・・・。」

そこには怒りに満ちた顔をしたユナが立っていた。

「・・・許さないからね・・・?」

あぁ、僕は今日一日もつだろうか。



・・・・ん?

痛ッッ――――・・・なんだ?この痛みは・・・。

そうか、思い出した。ユナに殴られたんだ。

あれ?今何時だ?外は少し明るいっぽいし・・・


――――ガチャッ


玄関のドアが開く音がした。


――――ヒタヒタ


ろうかを歩く音もする。


――――カチャカチャ・・・キィィ―


僕の部屋のドアが開いた。

「起きたんだ、テルキくん。」

ユナが僕の頭をなでる。

「ちょっ・・・離せよ!」そういいつつも、抵抗したいが、両手が縛られていて上手く動けない。

「今何時だ?」

ユナは腕時計をみて答える。

「今は・・・お昼の12時だよ。」

お昼の12時ってことは、僕は昨日からお昼の12時まで寝てた・・・いや、倒れてたってことか。

ってことは・・・「学校始ってるじゃんっ!!」

「ん?大丈夫だよ。学校には私とテルキくんはしばらく休むって校長先生に今伝えてきたから。」

ニコッと笑うユナに僕はかえす言葉がなかった。

「・・・縄・・・解いてあげる。」

そういって縄を外した。

「ごめんね、手首・・・跡ついちゃったね。」そういって僕の手首を優しくなでる。

「あぁ、大丈夫だから・・・」といいながら何気に手を隠す。

「あのさ・・・トイレ行ってもいいかな?」おそるおそる聞いてみる。

少し考えながらも「うーん・・・いいよ。病気になったら嫌だしね」といった。

僕はトイレに向かう。その後ろをユナもついていく。

「中までは入らないよね?」

「うん。そんなことしたらテルキくん可哀そうだもん。」

この時点で僕は可哀そうだと思うけど・・・。



部屋に戻ってから、特に何かをするわけでもなくけっこう退屈だった。

僕はあることに気付きユナに聞いてみた。

「僕のさ、ケータイってどこにあるの?」

「うん、それはねー・・・ユナのポッケの中。」

ユナの顔が少し怖くみえた。

「それ、貸してくれない?」ユナに向かって手を差し出す。

「ヤダ・・・」うつむいていう。

「なんで・・・?」なんだか嫌な予感がした。

「さっきね、誰かからメールがきたの」少し明るい声ではなす。

「その誰かって誰?」

「あきら・・・って人。」

そ・・・それは、なつじゃないか。

なつが男の名前で登録しとけっていってたから、架空の人物名で登録したのだ。

「友達だよ。だから・・・」

「そのメールの文がおかしいの。なんか女の子みたいなメールでね、

『学校来ないから心配した』とか『ユナちゃんとはどう?』とか。」

汗が一気にあふれる。

「なんかおかしいよね?まるで・・・あの子みたい。」ニヤァっと笑う。

「ど、どうしてなつだなんて・・・」僕は焦りまくる。

「あっれぇ??ユナ、一回もなつなんていってないよぉ?」

僕は困惑する。

「・・・ククク・・・ケケッ・・・ケケケケッ・・・!!」


狂ったように笑い続けるユナに背筋がゾォっとする。

「やっぱ仲良しだね、お二人さん。でも、もう大丈夫。あの子は始末するから・・・」

僕の手をとり体をひっつけてくる。

「はぁ?始末ってなんだよ・・・。まさか・・・!」

「そのまさかだよ。テルキくん家の包丁で何回も何回も刺し殺すの。」

ふふふっと笑いを浮かべる。

「そんな・・・」

「明日にでも実行しようかな。」

「おい・・・!そんなことはやめろ。殺したとしてもユナは刑務所いきだよ。」

僕は必死でユナを止める。

「・・・どうしてそんなこというの?」

「ユナが殺人者になるのは嫌だから。」

それもあるけど、なつを殺されるのは嫌だからってほうが強いかな。

「そう・・・、じゃぁ、もう少し考えてみようかな。」

ほっ・・・

まずは一安心だ。

「じゃぁ、ユナそろそろ行くね。」

「あぁ、」

「あっ、でも縛んなきゃダメだね。勝手にどこかにいったら嫌だから。」

そういって僕の両手を縛った。

ついでに足も縛られた。

「またね。」

そういって部屋の鍵を前よりも頑丈にかけた。

そういえばご飯を食べるのを忘れた。

ユナがいるときはお腹がすくより恐怖のほうが強かったからな。




『この間ユナに別れようって話したんだ。でも、別れたくないっていってて。僕どうしたらいいんだろう』

僕はこのメールをなつに送信した。

返事がきた。

『でもさ、彼氏にあんなヒドイことするるんだよ?これからまた同じことがあるかもしれないじゃない』

それもそうだけど・・・

『ユナは、自分はあんなことやっていないって。それで自分で死のうとして・・・。』

『やっていないなんておかしいんじゃない?確かにあれはユナちゃんだったよ。また会って話そう』

『うん、明日また行っていいかな、バイト先。』

『うん、いいよ。学校終わったらすぐ来てね。』

『わかった、じゃぁね。』

僕はメールの内容を全部削除した。

前になつにいわれてから気をつけているのだ。


***翌日***


「テルキくん、一緒に帰ろう。」

「あっ、ごめん。今日は用事があるんだ。また明日な。」

僕は手をあわせ頭を下げる。

「そう・・・、いいよ。また明日ね。あっ、テルキくん服に汚れついてる。用事があるんでしょう?綺麗にしてかなきゃね。とってあげるから制服脱いで。」

「あぁ、ありがとう。」そういって僕はブレザーを脱いでユナに渡した。

「はい、いいよ。ここに置いとくね。またねっ!」

大きく手をふり帰っていった。

・・・なんか以外。どうして?とか聞かれると思ったのに。

しかも、なんか優しかったし。もしかしたら別れ話をしたからかも。

まぁ、よかった。安心していける。

僕はそうしてブレザーを着てなつのもとへと向かった。


「いらっしゃいませ~!」となつの声がきこえた。

なつは手招きをして、店の奥へと僕を連れていく。

「あのさ、メールの続きなんだけど・・・。」

この間まであったダンボールは消えていて、代わりに大きなテーブルが置いてあった。

そこに2人で座る。

「ユナちゃん・・・嘘ついてるのかな?テルキと別れたくないから。」

「あー・・・。それもあるかもしれないけどあの涙は嘘にみえなくて・・・」

「そっかぁ・・・。でもね、テルキは知らないと思うんだけど、病院でね・・・」

なつは病院でユナにナイフで脅されたことを話した。

「・・・っ・・ごめん。僕のせいでなつにこんな苦しいこと・・・」

「大丈夫。私そんなに弱くないし。それよりどうするの?ユナちゃんとこれからも付き合うつもり?」

「うん・・・。でも、もしまた同じようなことがあったら・・・。」

「そのときはそのときで。まぁ、様子みてからだね。」

「うん。」

「じゃぁ、気をつけて帰ってね。」そういってまたもどっていった。




「ただいまぁ・・・って誰もいないか。」と独り言をいいながらリビングにはいる。

「おかえりなさい・・・」

「えっ・・・!?」

薄暗い部屋にユナが1人座っていたのだ。

「どうしてここに・・・、鍵だってないはず・・・」僕が戸惑ってる中

「鍵なんかいらないよ。窓あいてたしね。」

僕はユナを自分の部屋に連れてきた。

「で、何しにきたんだ?」

「・・・なにって・・・、テルキくん。今までどこにいた?」

「えっ・・・。だから用事に・・・」

「場所は?誰と?何してた?」僕にだんだん迫ってくる。

「えっと・・・」

「なつでしょ。なつって子と話してたよね!?」

「なんでそれを・・・」

「やっぱり。そのブレザーよく見てみなよ。」

僕はいわれたままブレザーのあちこちをみる。

「あっ!!」

服の中側のところに何かが付いていた。

「これは・・・」僕がいう前にユナがこたえた。

「盗聴器。ずっと2人の話し聞いてたの。」

僕の体は恐怖のあまり震えだす。

「どうしてそんな・・・」

「テルキくんが嘘つくから・・・ユナのこと信じてないから・・・!!」

怒鳴るユナ。

「信じてないんじゃなくてその・・・」

「言い訳なんて聞きたくない・・・。でも、いいよ。今日からテルキくんはゆなのものになるんだから・・・。」

「え??」意味がわからなかった。

「この部屋にきたのも意味があるの。今日からテルキくんを監禁しようかと思って。」

「はぁ!?」

「ユナがみてないとテルキくんすぐどっか行っちゃうから。」

そういって後ろからロープをとりだした。

「ちょっとまてって・・・」

僕のいったことなんか耳にはいる様子もなくユナは近くにあった棒のようなモノで僕の頭を殴った。

「うっ・・・」

僕はその場にうずくまった。

そこでユナは僕の両手を後ろでしばった。

力をいれようにも、さっきの衝撃で力がはいらない。

「また明日くるよ・・・。」

そういい残し、部屋をでて外から鍵をかけてでていった。