翳風を刺激するとバランスが整うのはなんでか | クラニオセイクラルな日々-あたまをさわれば幸せになる

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大阪市淀川区西中島かなや整骨院院長のブログ

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ちょくちょくあっちこっちで記事にしている経穴の「翳風」。耳たぶの裏側に口を開けると凹むところがあるでしょう?そこがツボの位置。経穴としての効果効能は「頭痛・肩こり・乗り物酔い」だという。美容効果もあるという。それでね、ここを刺激すると身体のバランスが整うのよ。

 

この数か月間、うちの治療院においでの患者さんはここに金属粒の付いた絆創膏を貼られたことと思う。以前からおいでの患者さんは「またなんか変なこと始めたな」と思っておられるかもしれない。もともとはエレキバンとか張り替える時に使う小さな絆創膏を耳の後ろに貼ると全身のバランスが整う、というのを健康雑誌で読んでやってみたのが始まり。

 

足の痛い患者さんがおいでになって、処置してから歩いてもらうとね、「痛くはないけどなんか歩き方が自分でもヘン」とおっしゃるので翳風に手持ちのテーピング用テープを小さく切って貼ってみた。そしたら「楽に歩けるわ」。調子に乗ってチタンテープやら金属粒やらをいろんな症状の患者さんに貼るようになった。

 

てきめんなのが開口障害。顎関節症で口が痛くて開けられないという方の翳風に金属粒を貼ると開口が改善するの。これは歯科大学できちんとデータがとられていて、誤嚥予防にも有効だという。それからね、全身のバランスが整う。私ごとなんだけれど母親(88歳)がインフルエンザになってしばらくしたら歩けなくなった。熱発の後いつも歩行が怪しくなるんだけれど、今回はなんかふにゃふにゃでね、どうしたものかと思案してた時に思いついて翳風にこの時はチタンテープを貼ってみた。そうしたらね、歩くようになったのよ。今は普通に歩行している。

 

翳風への刺激がどうして効くのか、について耳の裏にテープを貼ることを提唱した先生は「全身の屈筋のスタート地点」に微弱な刺激を与えることで緊張を緩める、というお考え。翳風の辺りは胸鎖乳突筋とか咬筋とかの起始部だからね。もちろんそれで理にかなってはいる。でもね、筋肉の緊張が取れたらいきなり立てなかった母が立ってすたすた歩いた、というのは筋緊張の緩和だけでは説明できないような気がする。

 

翳風を触診すると第1頸椎に触れる。第1頸椎に問題があると頭痛やめまいなどが起きる。そうであればこそこれらの症状に効く経穴として認識されているのだけれど、第1頸椎(と、第2頸椎)は自然治癒力を司るカギとされてもいるのよ。古典的なカイロプラクティックでは自然治癒力は脳から脊髄へ、中枢から末梢へと伝わると考えられている。だからね、上部頸椎に問題が起きると心身に不調が起きる、ていうかすべての心身の不調の原因は上部頸椎のズレ、歪みが原因と考えるのが古典的カイロプラクティックの病理観なのよ。

 

実際には上部頸椎カイロプラクティックというのは膨大な技術体系で、耳裏にテープを貼付するくらいで作用機序をうんぬんするのは烏滸の沙汰ではあるんだけれどさあ、うんと時代を経て洋の東西で同じようなことをやっているのが興味深くはあるね。100人目のセラピスト現象みたいなのがいつかどこかであったんだろうか。